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ミルアージュはルンバートの言葉に納得はしていなかった。
だが、それ以上追求しても意味がないとわかるとため息をついた。
「師匠、もうこれ以上は何も言いません。ですが、約束してください。無理は絶対にしないと‥」
「わかっています。ありがとうございます。」
ルンバートはニコリと微笑んだ。
ルンバートもミルアージュとの話を早く切り上げたかった。
ミルアージュに嘘をついているのが心苦しいからだ。
だからこそ、ミルアージュが諦めてくれた事にホッとした。
そんなミルアージュとルンバートの間に沈黙が続く。
「そろそろ、お部屋に戻られた方が良いのではないですか?お待ちの方がいるでしょう?」
先に沈黙を破ったのはルンバートだった。
「そうね、クリスが待ちくたびれてるわね。」
ミルアージュは拗ねているクリストファーを頭に浮かべ、苦笑いをした。
「その前に師匠に聞きたい事があります。」
「何でしょう?」
「ランケットの毒に侵された事がある女性は妊娠できるのかしら?私の友人がこの間結婚したんだけど、心配していました。」
ミルアージュはルンバートに聞いた。
「ランケットですか?その方は耐性はありましたか?」
ルンバートの表情が変わった。
ランケットの様な高価な毒を使われるとした高貴な貴族または王族くらいだ。
「耐性はないわ。意識がしばらく戻らないくらい重症化していたの。服毒後、すぐに対処したけど、命を繋ぎ止めたのが奇跡だわ。」
ミルアージュの言葉にルンバートは同意した。
「そうでしょうね。意識がなくなるくらい飲まれたのだとしたら、そのまま亡くなる場合が多いです。姫様が初期対応されたのですか?さすがです。」
ルンバートはミルアージュから服薬当時の話を聞きたかったが、ミルアージュの表情が真剣そのものだったため、質問の返答をした。
「助かる事例があまりありませんし、妊娠可能な若い女性となると更に少なくなります。ランケット服毒の後、妊娠したとの報告は今のところありません。臓器がボロボロになるので妊娠できない可能性が大きいとは思いますが、実際のところはわかりません。」
「そうね‥」
ミルアージュにもわかっていた。
ランケットについて徹底的に調べたのだから。
だが、ミルアージュが知らない別の答えが欲しかった。
ランケットを飲んでも妊娠できるのだと言う事実を‥
ミルアージュの表情が少しだけ硬くなったのにルンバートも気づいたが、次の言葉を続ける事はなかった。
今のルンバートにはミルアージュの望む返答ができないのがわかるからだ。
「では私は領主様の様子を見に行きます。おやすみなさい。」
ルンバートはミルアージュに頭を下げ部屋から退室した。
「‥えぇ。おやすみなさい。」
ミルアージュもルンバートに答えるが、心ここにあらずでボーとしていた。
先にルンバートが退室をしたが、ミルアージュはなかなかその場を動く事ができなかった。
「妊娠ができない可能性が高い‥」
知っていた事とはいえ、ルンバートから言われた言葉にミルアージュを思っていたよりも傷ついていた。
ミルアージュもルンバートと同じ答えを出していた。
だから、ルンバートが悪いわけではない。
だが、どうしても受け入れたくないという気持ちがあるのだ。
ミルアージュがクリストファーの元に戻ったのはルンバートと別れてだいぶたった頃だった。
部屋に戻り、クリストファーを見たミルアージュから出た一声。
「怒ってるわね。遅くなってごめんなさい。」
「怒ってなどいない。」
そうクリストファーは言うが、誰が見てもわかる。
クリストファーは拗ねている。
扉の前で腕を組み、仁王立ちで待ち構えていた。
だが、ミルアージュの眼が充血し少し腫れているのに気づいた瞬間クリストファーの怒りはおさまった。
「大丈夫か?泣いたのか?ルンバートと話をしに行っただけなのに‥ルンバートに何を言われたんだ?」
クリストファーはオロオロしながらミルアージュにハンカチを差し出す。
「師匠からは何も言われていないわ。ただ、受け入れられないだけ‥」
「何をだ?ルンバートは王城に行くと決めたのだろう?その決定が受け入れられないのか?それならルンバートともう一度、話をしてこよう。」
ミルアージュは横に首を振った。
「師匠は王城に行ってくれるわ‥受け入れられないのは別件。」
「別件?私には言えない事か?」
クリストファーはミルアージュを真っ直ぐに見つめる。
「気持ちの整理がついたら言うからそれまで待ってくれない?」
ミルアージュはクリストファーから目を逸らした。
そう言われるとクリストファーはそれ以上何も言えなかった。
だが、それ以上追求しても意味がないとわかるとため息をついた。
「師匠、もうこれ以上は何も言いません。ですが、約束してください。無理は絶対にしないと‥」
「わかっています。ありがとうございます。」
ルンバートはニコリと微笑んだ。
ルンバートもミルアージュとの話を早く切り上げたかった。
ミルアージュに嘘をついているのが心苦しいからだ。
だからこそ、ミルアージュが諦めてくれた事にホッとした。
そんなミルアージュとルンバートの間に沈黙が続く。
「そろそろ、お部屋に戻られた方が良いのではないですか?お待ちの方がいるでしょう?」
先に沈黙を破ったのはルンバートだった。
「そうね、クリスが待ちくたびれてるわね。」
ミルアージュは拗ねているクリストファーを頭に浮かべ、苦笑いをした。
「その前に師匠に聞きたい事があります。」
「何でしょう?」
「ランケットの毒に侵された事がある女性は妊娠できるのかしら?私の友人がこの間結婚したんだけど、心配していました。」
ミルアージュはルンバートに聞いた。
「ランケットですか?その方は耐性はありましたか?」
ルンバートの表情が変わった。
ランケットの様な高価な毒を使われるとした高貴な貴族または王族くらいだ。
「耐性はないわ。意識がしばらく戻らないくらい重症化していたの。服毒後、すぐに対処したけど、命を繋ぎ止めたのが奇跡だわ。」
ミルアージュの言葉にルンバートは同意した。
「そうでしょうね。意識がなくなるくらい飲まれたのだとしたら、そのまま亡くなる場合が多いです。姫様が初期対応されたのですか?さすがです。」
ルンバートはミルアージュから服薬当時の話を聞きたかったが、ミルアージュの表情が真剣そのものだったため、質問の返答をした。
「助かる事例があまりありませんし、妊娠可能な若い女性となると更に少なくなります。ランケット服毒の後、妊娠したとの報告は今のところありません。臓器がボロボロになるので妊娠できない可能性が大きいとは思いますが、実際のところはわかりません。」
「そうね‥」
ミルアージュにもわかっていた。
ランケットについて徹底的に調べたのだから。
だが、ミルアージュが知らない別の答えが欲しかった。
ランケットを飲んでも妊娠できるのだと言う事実を‥
ミルアージュの表情が少しだけ硬くなったのにルンバートも気づいたが、次の言葉を続ける事はなかった。
今のルンバートにはミルアージュの望む返答ができないのがわかるからだ。
「では私は領主様の様子を見に行きます。おやすみなさい。」
ルンバートはミルアージュに頭を下げ部屋から退室した。
「‥えぇ。おやすみなさい。」
ミルアージュもルンバートに答えるが、心ここにあらずでボーとしていた。
先にルンバートが退室をしたが、ミルアージュはなかなかその場を動く事ができなかった。
「妊娠ができない可能性が高い‥」
知っていた事とはいえ、ルンバートから言われた言葉にミルアージュを思っていたよりも傷ついていた。
ミルアージュもルンバートと同じ答えを出していた。
だから、ルンバートが悪いわけではない。
だが、どうしても受け入れたくないという気持ちがあるのだ。
ミルアージュがクリストファーの元に戻ったのはルンバートと別れてだいぶたった頃だった。
部屋に戻り、クリストファーを見たミルアージュから出た一声。
「怒ってるわね。遅くなってごめんなさい。」
「怒ってなどいない。」
そうクリストファーは言うが、誰が見てもわかる。
クリストファーは拗ねている。
扉の前で腕を組み、仁王立ちで待ち構えていた。
だが、ミルアージュの眼が充血し少し腫れているのに気づいた瞬間クリストファーの怒りはおさまった。
「大丈夫か?泣いたのか?ルンバートと話をしに行っただけなのに‥ルンバートに何を言われたんだ?」
クリストファーはオロオロしながらミルアージュにハンカチを差し出す。
「師匠からは何も言われていないわ。ただ、受け入れられないだけ‥」
「何をだ?ルンバートは王城に行くと決めたのだろう?その決定が受け入れられないのか?それならルンバートともう一度、話をしてこよう。」
ミルアージュは横に首を振った。
「師匠は王城に行ってくれるわ‥受け入れられないのは別件。」
「別件?私には言えない事か?」
クリストファーはミルアージュを真っ直ぐに見つめる。
「気持ちの整理がついたら言うからそれまで待ってくれない?」
ミルアージュはクリストファーから目を逸らした。
そう言われるとクリストファーはそれ以上何も言えなかった。
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