わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「師匠‥クリスがまた無茶を言ったのではないですか?」
ルンバートが王城でミルアージュの補佐をする事になったとクリストファーから聞いたミルアージュはすぐ様ルンバートに会いに来た。

「‥そんな事はないですよ。」
ルンバートは苦笑いした。

「ルービオを次期領主にしてやると取引がしたのですか?脅したのですか?師匠にいてもらったら心強いですが、無理やりは嫌なんです。」
ミルアージュは心配そうにルンバートを見た。

「クリストファー様はルービオ様の件を通してくれると言いました。私はその恩を返したいのです。その件で脅されてたりはしてません。」
別件では脅迫されましたが‥
喉元まで出かかってルンバートはその言葉を飲み込んだ。

あまりにスラスラと答えるルンバートにミルアージュは顔をしかめた。

「私ならクリスを止められます。本当の事を話してくれませんか?王城に行けば、師匠は医者として求められる事が出てきます。」

医者は辞める。
ルンバートはそう言った。
いくらミルアージュが補佐官としてルンバートを扱ってもアンロックの筆頭医師長をしていたのがバレれば、医者としての仕事を求められるのは間違いない。

ミルアージュはルンバートの性格とクリストファーのやり方を知っている。
ルンバートが一度言った事を覆す何かがあった。
それにクリストファーが絡んでいる。
そう考えるのが1番納得できる結論だ。

顔をしかめているミルアージュを見てルンバートはフッと笑った。
「昔のように抱きしめても良いですか?」

「構いません。師匠に慰められてた頃を思い出しますね。」
ミルアージュがそう答えるとルンバートはミルアージュを抱きしめ、背中をポンポンと叩いた。

「姫様は相変わらず他人を優先するんですね。私の事よりご自身の事を考えてください。」

「師匠は私に巻き込まれて人生を変えようとしています。私のせいでそうなるのならば、止めるのも私の義務です。」

ルンバートはミルアージュをギュッと抱きしめた。

「姫様‥全てを自分のせいだと思うのは、もうやめてください。姫様のせいでも義務でもありません。今も、アンロックで起こったことも、どれも姫様の責任ではないのですよ。」

ルンバートは今までもずっとミルアージュにそう言ってきた。

ミルアージュがアンロックを離れた事で少しでもミルアージュを苦しめ続ける責任と義務から解き放たれるのを願っていた‥

姫様を女王にすることが正しいのか?
余計に姫様を追い詰める結果にならないか?
だが、誰よりも過保護のクリストファーがそうすると決めたという事はそれが姫様にとって1番良いと判断したのだろう。

姫様の味方を増やす。
クリストファー様は1番の味方としてこれからも姫様の生きやすい環境を作っていくのだろう。
その為には手段を選ばない。
周りの人間が苦しもうと嫌がろうとクリストファー様にはどうでもいい事なのだから。

「‥‥」
ミルアージュは黙ったまま、目を閉じて抱きしめられている。

悪役王女として人を遠ざけていたミルアージュを抱きしめられる人間はそう多くない。

アンロック前王は罪悪感で姫様との距離を縮められず、アンロック軍部大将や宰相ですら王女として崇め、臣下の立場を崩さなかった。

姫様を純粋に愛して壁を超えたクリストファー様には感謝はしているが‥
更に姫様を苦しめる可能性はある。

私がそばで見守るのがよいか‥
クリストファー様の思惑通りに動くのは少し腹立たしいが、王城へ行く決定を前向きに捉えるとしよう。
そう自分に言い聞かせるルンバートだった。






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