わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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クリストファーの表情を見ると本心である事がわかる。

「何を馬鹿な事を…」
普段は冷静なアビーナルから出るはずのない独り言が漏れる。

王太子に向かって無礼な発言に気づかないくらいアビーナルは混乱していた。

「ミルアージュ様は女性で、この国の方ではありません。」

「そうだな。」
クリストファーは興味がなさそうに返事をする。

そんなクリストファーの態度にアビーナルの苛立ちが増していた。

そんなアビーナルの表情を見たクリストファーはアビーナルに問いかける。

「この国に相応しい王は誰だ?アルトは答えなくていい。」

アルトの返事など聞かなくてもわかっているとばかりにアビーナルの返答のみを待った。

「…ミルアージュ様なら十分その素質はあるでしょう。いえ、誰よりも王としての素質があります。ですが、ここはルーマンです。クリストファー様は自分が王になり、ミルアージュ様を裏から支えるつもりだったでしょう?それではいけませんか?」
アビーナルが答える。

それが1番反発の少ない方法だ。
貴族の反発はクリストファーではなく、ミルアージュに向かう。
それだけは避けたい。
そうアビーナルは思っている。

そんなアビーナルの神経をクリストファーは逆撫でるように鼻で笑う。

「…それはお前自身の負担を減らしたいからか?貴族達を相手にするのは面倒だしな。」

「違います!これ以上ミルアージュ様を傷つけたくないのです!」
アビーナルの声は大きくなる。

「ミルアージュ様はこの国を何度も救ってくれました恩人です。ですが、その度に苦しむミルアージュ様を見てきました。もうこれ以上苦しめたくないのです。」

「そうだな。」
クリストファーはアビーナルの返答に同意する。
そう、ミルアージュの心情を優先するクリストファーがなぜ、このタイミングでこんな事を言い出すのか…

今まで黙っていた王が口を開いた。
「どうして、考えが変わった?」

「ミアにバレたからだ。」

「何がバレたんだ?」
今更…全部バレてるだろう。
王は呆れた様に聞く。

「私が世界滅亡させるかもしれないとな。」
クリストファーは世間話をする様に軽い口調で言った。

「はっ?世界滅亡?」
今までクリストファーに付き合わされて色々と苦湯を飲まされてきた王はクリストファーをわかったつもりになっていた。

そんな王だが、まさかクリストファーが世界滅亡も視野に入れていたなんて考えた事もなかった。

「ミアを幸せにする。それが私の生きる目的だ。だから、ミアを不幸にするものは滅びるべきだ。もし、ミアに何かあれば…この世界は必要ない。」
クリストファーは真顔だ。

「だからって!大体、世界はお前が滅ぼせる訳がない!」
耳が痛くなるくらい王の叫び声が部屋の中を響き渡る。

「あぁ、ミアにバレなければ冗談で終わらせられた。」
クリストファーの表情は硬い。

冗談ではないのか?
いくらクリストファーが優秀でも世界滅亡なんて出来るはずがない。

「何度も何度も頭の中では成功している。ミアも可能だと判断した。だが、その上で私と一緒にいてくれると言った。」
クリストファーは硬かった表情が緩み、惚気る様にうっとりと遠くを見ている。

「ミルアージュ妃が可能だと判断したのか?」
本当にそんな事が可能なのか?
部屋の中は静まり返る。

「あぁ、ミアに一生隠し通そうと思っていた。そんなのがバレれば、ミアは私を捨てると思ったが、そうはしなかった。ある条件をつけてな。」

「条件?」
ルーマン国王はこれ以上、クリストファーの話を聞きたくなかったが、聞くしかない現状に後悔していた。

クリストファーより劣ってもいい。
国を支えられる後継を育てておくべきだったと。

「ミアが亡くなれば、私もすぐにあとを追う。」
クリストファーは幸せそうに言うが、皆はドン引きしていた。

「いい加減にしろ!!」
ルーマンの事を何も考えいないクリストファーの言葉にルーマン国王は切れた。
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