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【番外編④】「守りたい気持ち ― 王子の庇護と大人の覚悟 ―」
穏やかな日々――図書館でコレットと過ごす時間が、フェルナンドにとって唯一の安らぎだった。
いつものように図書館へ向かう途中、ふと視線を上げた彼の目に、思わず息を呑む光景が飛び込んできた。
数人の貴族令嬢が、コレットを囲むように立ち、罵倒の言葉を浴びせていた。
「貧乏伯爵令嬢の分際で、王子様の傍に行くなんて厚かましいわ!」
「そんなみすぼらしい格好で、恥を知りなさい!」
「年増女が若い王子様にちょっかいを出すなんて、笑止千万!」
その言葉に、コレットは肩を震わせ、目に涙をためていた。
「……コレット!」
フェルナンドの声が響くと同時に、王子は駆け出した。
周囲の視線も、怒りも恐れも、すべて吹き飛ぶ。
ただ、目の前にいるコレットを守りたい――その一心だった。
令嬢たちは一瞬たじろいだ。
「王子様、ちょっと……」
「やめろ!」
低く鋭い声で命じる王子に、令嬢たちは思わず畏まり、言葉を詰まらせた。
しかし、フェルナンドは止まらない。
「君たちは、コレットを侮辱する権利など一切ない。
彼女がどんな家の出身であろうと、どんな服を着ていようと、関係ない。
人を見下すのは恥ずべきことだ。今すぐ謝れ」
その言葉に、令嬢たちは一斉に頭を下げる。
「は、はい……王子様……申し訳ございません……!」
空気が凍る中、彼女たちは逆らうことができず、すぐにコレットから離れた。
フェルナンドは、震えるコレットの肩にそっと手を添える。
「大丈夫だ、もう怖くない」
コレットは小さくうなずき、涙をぬぐった。
その表情に、フェルナンドの胸は熱くなる。可愛くて、守りたくて、抱きしめずにはいられなかった。
自然に彼はコレットを抱き寄せ、額に軽く口づけを落とす。
「……安心していいんだよ」
震えながらも少し安堵した様子のコレット。
その姿に、フェルナンドは心の奥で強く誓った――
誰が何と言おうと、もう二度と彼女を傷つけさせはしない、と。
図書館へ向かういつもの道で、二人だけの時間が深く刻まれた。
穏やかな日常に、劇的な一瞬が加わり――二人の絆は、さらに確かなものになったのだった。
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