ポインセチアの咲く頃に

白石華

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時期的にはポインセチアの旬な頃に

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「気付いたら夏ですね正さん。」

「そうだねー。」

バレンタインデーの山場から半年程、経過して今は夏真っ盛り。
運のいいことにミズキは、というかミズキの寄り代にしていたポインセチアは夏まで生き延びる事が出来た。

「色々、あったなー。」

「ありましたね。何度、タンポポや春の野花に根城を移そうと思ったことか。」

ミズキは一年草の草花や、鉢植えでシーズンが過ぎたら枯れる植物に宿る妖精だった。

「でも、ポインセチアが枯れなくてよかったね。」

「そうですね。クリスマスの時期に配色していたのとは流石に違ってしまいましたが。」

今のミズキの配色は肌の色以外はポインセチアと同じ緑色。室内で乗り切ったし、赤と緑にする栽培法は全く分からないからこうなってしまった。

「正さんのところでこんなにご厄介になって。」

ミズキが済まなそうに言う。

「いいよ。ホワイトデーもひな祭りもゴールデンウイークも独り身で過ごさずに済んだし。」

「楽しかったですが正さん、彼女がいらっしゃらなくてもいいんですか?」

「うーん……そこは深く考えないようにしている。」

「……。」

ミズキは何か考えているようだ。

「どうしたの?」

「いえ。正さんに彼女さんが出来るかどうかについて私はどうするべきかと。」

「人間の生活に慣れちゃって彼女が出来ても戻る気が無くなったとか?」

「妖精の暮らしの方が長かったから、それは無いですが。」

「じゃあ、何?」

「私がいると正さんが恋人を作る気にならなくなっていくような気がして。」

「うーん。それは無い。人間は人間、妖精は妖精だし。確かに、焦る気は無くなったけど。」

ミズキも考えることだろうし、俺は正直に言った。

「私では満足出来ないということでしょうか。」

ミズキの悩みはエンドレスになっているようだ。

「だから、そうじゃないってば。人間と妖精は考え方も……その、えっちの具合も違うから、比べようがないし、俺だって人並みの生活を得たいとは思ってて。」

説明が再び必要になってしまった。

「すみません。正さんの生活に踏み込むまいとは思ってるんですが。」

「いいよ。妖精だもんね。」

ミズキもミズキで考えているんだよな。人間の生活に興味がある妖精だって、
それはそれで長居しようと思ったら悩むことだってあるだろう。

「まあ俺が彼女を早いところ作ればいい話か。」

「正さん、恋の相談なら微力ながら力になります。」

「今は相手がいない。」

「まずそこから始めないとですね。」

ミズキはさっき込めた力を抜かしながらで言った。

「とりあえず、する?」

「あ、させて頂けるなら。」

こうして今日もミズキと過ごしたのだった。進歩無いな、俺。
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