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喫茶モフモフ
案の定、王子が様子を見に来ていました
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「ふむ。ふむふむ。ふーむふむ。」
王子はカウンターの、一番奥の席で一人で見えないようにして、テーブルの繁盛の様子を見ながら唸っていた。今回はチョコレートとプラリネのフルーツパフェと、コーヒーを頼んで、そっちもシッカリ食べていた。
「様子が見たいならおっしゃってくだされば。今回はそちらの仕事でもあるんですし。
許可が下りなかったんですか?」
「いや……丁度暇になって、ここにお忍びで来る用事もあって、つい様子を見てみようと。
ちょっとだけのつもりで。」
王子も偶然、ここに来られたようだった。
「いつもは閉店後にいらっしゃいますからね。」
「あ、そうだ。フェア中、閉店後に来てもいいですか?」
「いいですよ。いつものように事前に連絡を頂ければ。」
サナダさんは呑気に王子と会話をしているようにみえるが、動き回りながら様子を見ては会話をしていたのだった。
「うんうん。モフモフも元気に走り回っているし。みんなに撫でられていますね。」
王子が目で追う三匹の魔獣も人にスッカリ慣れた様子であいさつ回りをするようにお客さんの所をあちこち回っては撫でられていた。
「やだー、カワイイ。」
「ワンちゃん、こっちにも来て!」
「ワウ、ワウッ!」
人懐っこいちょい悪ワンちゃんもスッカリ人気だった。
「いい眺めだな……私の国の料理を隣国で、こんな形でみんなが食べる姿を見るのは。」
「ええ。王子様が紹介してくれたおかげですよ。」
「こちらでお気に入りいただけそうなのを選んだつもりですが。こんなにとはね。」
王子は王子で、実際に自分の国の料理が隣国の街の一角でも受け入れられるのを目の当たりにするのは珍しいようだった。普段は社交界や応接サロンなどでも振舞うのだろうが、招待や接待の範疇だから、お付き合い以外の、こういった形で来るか来ないか分からない状態で人が入るのを見るのは滅多にないのだろう。
「王子の国はご飯が美味しいので有名ですし。近場に大都市もありますからね。
そこの料理だと、みんな食べたくなるんでしょう。」
「あの……サナダさん、今日は泣いていいですか。」
「いいですよ。」
「ああ……世界中がこうなればいい……。」
「大袈裟ですね。」
王子が決壊したように、その場にうずくまった。
・・・・・・。
「皆さん、初日目、お疲れさまでした。」
「お疲れ様でしたー。」
「お疲れさまでした。」
その後、閉店時間になるまでずっと人が途切れず、初日から成功の予感を感じさせていた。
「お疲れさまでした……。」
王子もまだ残っていた。
「いかがでしたか、フェアの様子は。」
「いやもう、何て言ったらいいか……感無量です。」
王子も閉店まで様子を見守ったからか、力尽きたようになっていたが、その表情は満足げだった。
「それじゃあ、コーヒーを淹れますから、皆さん飲んでからお帰りください。」
「おお、かたじけない。」
ゴンドウさんは故郷の口癖が出た。
「ありがとうございます。」
マスエさんもサナダさんに挨拶をする。
「私も……いいんですか?」
「ええ。今回のフェアの成功は王子様のお陰でもあるんですし。
飲んでいかれてください。」
「うう……っ。やはり、世界中がモフモフ喫茶になればいい……。」
「またですか。」
「またですね。」
実はさっきもサナダさんの横でゴンドウさんは聞いていたのだったが、王子はまた、テーブルに突っ伏した。
・・・・・・。
「やっぱり、コーヒーを飲むと疲れが取れますねぇ。」
仕事終わりのコーヒーをサナダさんが堪能する。豆は店のブレンドだった。
「この一杯と、仕事の繁盛で、何もかもが満たされる気がします。」
ゴンドウさんも満足げだった。
「美味しいです~。今日は大変だったけど充実したな~。」
マスエさんも仕事終わりにようやく一息、吐けたようだった。
「うん。美味しいですね。」
王子も一日、自国とのフェアの様子を見守った後だから、やり遂げた顔だった。
「明日もまた、こんな感じだといいですが。そうなったら皆さん、よろしくお願いしますね。」
「はーい。」
「はい。」
サナダさんの言葉にしっかりと挨拶をするモフモフスタッフ。
「ワフワフッ!」
「バウッ!」
「クンクン。ピスピス。」
犬たちも返事をしていた。
「ええ。君たちもですね。ジャーキーをどうぞ。」
「がつがつ。」
魔獣にもジャーキーをあげると嬉しそうに食べている。
「……僕たちにとって、これが当たり前の日々になりそうですが。
なるべく続けられるようにしましょう。」
「ええ。」
「ですね。」
サナダさんたちが言い終えると、いつの間にかジャーキーを食べ終えた魔獣たちはマスエさんの所に寄っていき、魔力を貰うように撫でられていた。
「ふっ。フェアとあればまた呼んでください。隣国には国境近く以外にも。
観光地は沢山ありますからね。」
「ええ。王子もよろしくお願いします。」
王子も王子自ら、重要な取引先にいつの間にかなっていた。
「僕たちにとっては、次の住処にいつの間にかなっていましたが。
これはきっと、僕たちだから作れた居場所だと思います。
僕たちが成功すれば、その輪は広がっていく。
そうだと思えるようにしていきましょう。」
「はい。」
「ですね。」
マスエさんとゴンドウさんがサナダさんの言葉に大きく返事を再びすると。
「……。ちょっと私のポケットマネーで皆さん、このまま好きなものを食べていきませんか?」
「おお! ありがとうございます。」
珍しく驚いたような声をサナダさんが出す。王子がそれに感化されたのか、夕飯は王子のおごりで、美味しいものをまた、食べてきたのだった。
王子はカウンターの、一番奥の席で一人で見えないようにして、テーブルの繁盛の様子を見ながら唸っていた。今回はチョコレートとプラリネのフルーツパフェと、コーヒーを頼んで、そっちもシッカリ食べていた。
「様子が見たいならおっしゃってくだされば。今回はそちらの仕事でもあるんですし。
許可が下りなかったんですか?」
「いや……丁度暇になって、ここにお忍びで来る用事もあって、つい様子を見てみようと。
ちょっとだけのつもりで。」
王子も偶然、ここに来られたようだった。
「いつもは閉店後にいらっしゃいますからね。」
「あ、そうだ。フェア中、閉店後に来てもいいですか?」
「いいですよ。いつものように事前に連絡を頂ければ。」
サナダさんは呑気に王子と会話をしているようにみえるが、動き回りながら様子を見ては会話をしていたのだった。
「うんうん。モフモフも元気に走り回っているし。みんなに撫でられていますね。」
王子が目で追う三匹の魔獣も人にスッカリ慣れた様子であいさつ回りをするようにお客さんの所をあちこち回っては撫でられていた。
「やだー、カワイイ。」
「ワンちゃん、こっちにも来て!」
「ワウ、ワウッ!」
人懐っこいちょい悪ワンちゃんもスッカリ人気だった。
「いい眺めだな……私の国の料理を隣国で、こんな形でみんなが食べる姿を見るのは。」
「ええ。王子様が紹介してくれたおかげですよ。」
「こちらでお気に入りいただけそうなのを選んだつもりですが。こんなにとはね。」
王子は王子で、実際に自分の国の料理が隣国の街の一角でも受け入れられるのを目の当たりにするのは珍しいようだった。普段は社交界や応接サロンなどでも振舞うのだろうが、招待や接待の範疇だから、お付き合い以外の、こういった形で来るか来ないか分からない状態で人が入るのを見るのは滅多にないのだろう。
「王子の国はご飯が美味しいので有名ですし。近場に大都市もありますからね。
そこの料理だと、みんな食べたくなるんでしょう。」
「あの……サナダさん、今日は泣いていいですか。」
「いいですよ。」
「ああ……世界中がこうなればいい……。」
「大袈裟ですね。」
王子が決壊したように、その場にうずくまった。
・・・・・・。
「皆さん、初日目、お疲れさまでした。」
「お疲れ様でしたー。」
「お疲れさまでした。」
その後、閉店時間になるまでずっと人が途切れず、初日から成功の予感を感じさせていた。
「お疲れさまでした……。」
王子もまだ残っていた。
「いかがでしたか、フェアの様子は。」
「いやもう、何て言ったらいいか……感無量です。」
王子も閉店まで様子を見守ったからか、力尽きたようになっていたが、その表情は満足げだった。
「それじゃあ、コーヒーを淹れますから、皆さん飲んでからお帰りください。」
「おお、かたじけない。」
ゴンドウさんは故郷の口癖が出た。
「ありがとうございます。」
マスエさんもサナダさんに挨拶をする。
「私も……いいんですか?」
「ええ。今回のフェアの成功は王子様のお陰でもあるんですし。
飲んでいかれてください。」
「うう……っ。やはり、世界中がモフモフ喫茶になればいい……。」
「またですか。」
「またですね。」
実はさっきもサナダさんの横でゴンドウさんは聞いていたのだったが、王子はまた、テーブルに突っ伏した。
・・・・・・。
「やっぱり、コーヒーを飲むと疲れが取れますねぇ。」
仕事終わりのコーヒーをサナダさんが堪能する。豆は店のブレンドだった。
「この一杯と、仕事の繁盛で、何もかもが満たされる気がします。」
ゴンドウさんも満足げだった。
「美味しいです~。今日は大変だったけど充実したな~。」
マスエさんも仕事終わりにようやく一息、吐けたようだった。
「うん。美味しいですね。」
王子も一日、自国とのフェアの様子を見守った後だから、やり遂げた顔だった。
「明日もまた、こんな感じだといいですが。そうなったら皆さん、よろしくお願いしますね。」
「はーい。」
「はい。」
サナダさんの言葉にしっかりと挨拶をするモフモフスタッフ。
「ワフワフッ!」
「バウッ!」
「クンクン。ピスピス。」
犬たちも返事をしていた。
「ええ。君たちもですね。ジャーキーをどうぞ。」
「がつがつ。」
魔獣にもジャーキーをあげると嬉しそうに食べている。
「……僕たちにとって、これが当たり前の日々になりそうですが。
なるべく続けられるようにしましょう。」
「ええ。」
「ですね。」
サナダさんたちが言い終えると、いつの間にかジャーキーを食べ終えた魔獣たちはマスエさんの所に寄っていき、魔力を貰うように撫でられていた。
「ふっ。フェアとあればまた呼んでください。隣国には国境近く以外にも。
観光地は沢山ありますからね。」
「ええ。王子もよろしくお願いします。」
王子も王子自ら、重要な取引先にいつの間にかなっていた。
「僕たちにとっては、次の住処にいつの間にかなっていましたが。
これはきっと、僕たちだから作れた居場所だと思います。
僕たちが成功すれば、その輪は広がっていく。
そうだと思えるようにしていきましょう。」
「はい。」
「ですね。」
マスエさんとゴンドウさんがサナダさんの言葉に大きく返事を再びすると。
「……。ちょっと私のポケットマネーで皆さん、このまま好きなものを食べていきませんか?」
「おお! ありがとうございます。」
珍しく驚いたような声をサナダさんが出す。王子がそれに感化されたのか、夕飯は王子のおごりで、美味しいものをまた、食べてきたのだった。
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