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精霊の加護の科学都市
パパとの生活
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「おっはよー、パパっ!」
「ん……うん。」
「パパ、朝なんでしょ、起きないと。」
「あ、ああ……遅れる訳には、いかないからな。」
朝。ここは私の家……正確にはパパの家。私の家にはパパと私しかいない。ママは誰か分からない……と言うか、孤児だった私を軍人のパパが仕事と言うか、任務の終わりに引き取ったらしい。私がパパの部屋に入ってパパを起こすと、のっそりとクマのように大きな体をしたパパは起き上がる。
「毛のセットもしておかないとな。」
「うん! 私も手伝うわ! ブラッシングが届かないところは大変でしょ!」
「ああ。お任せするよ。」
「ふふん。パパの毛も、絡まらないようなブラッシングも覚えたからね。」
「おお。すごいじゃないか。」
パパは起き抜けだからか、随分と声が低く……と言うか、衣服も身に付けるし二足歩行で歩くけど、その体つきはほぼ獣の身体をしている獣人だから冬眠から醒めた動物のような唸り声に近い。そう、私のパパは魔法が使えなくても獣人という、獣のような身体能力と大きな体躯を買われ、軍人になっているのである。強いだけじゃなくて紳士だし、パパとして言う事ないわ。
「ねえ、パパ。今日は学校でテストがあるんだけど。」
「ああ。テストって、魔法力のかな?」
私の通っている学校は魔法と科学。精霊が残したとされる古代文明の解析を魔法で行い、人間の力とここにある物質との法則で再現可能なものを科学と呼び、それで文明を発展させてきたため、魔法科学の学校は素質のある者は通う事が可能なのだった。
科学を習ったり、新しい法則を見つけたりするためには、魔法も学ぶ必要があり、更に言うなら魔法で新たな解析を行ったりするため。超科学の領域まで、この街が発展していても魔法の方が、まだ重要視されている。という訳で。魔法のテストだって試験には日常的に当然あるのだった。
「はあ……パパの毛並みって、フワフワ~。」
「ははは。リリーシャがいつも、すいてくれているからね。」
私はブラッシングをしていく内に、次第にフワフワになっていくパパの髪と言うか全身に生えている体毛にうっとりしていた。
「あ~あ。これでマチルダがいなければ完璧なんだけど。」
「……うん。リリーシャも、マチルダの事は悪く言わないんだ。」
この愚痴は、毎度言っている事のため、パパに止めるよう言われてしまう。しかし出るものは出てしまうのだった。
「悪くは言ってないわよ。馬が合わないの。更に言うなら取り巻きと先生がよ。
いつもマチルダの事ばっかり褒めててさ。こっちを引き合いに出すんだから。」
「うん。でもね。リリーシャにも、育って欲しいんだよ。」
「私だってマチルダはすごいって思ってるわ。
でも、周りがマチルダばーっかりで、あとはその他なの。」
「うーん……。どんな感じなんだい?」
「ええ。みんなマチルダみたいになれ、マチルダを見て学べ。
特にリリーシャみたいに直情的で何でも自分で解決しようとするな、とか。」
「それはリリーシャの行動が危なっかしいと言ってくれているんだよ。」
「だといいけど。」
「その……マチルダって言う子は、どういう子なんだい?」
「人心掌握術を子供の頃から学んでいて。
精霊魔法も全属性を目指していて。
趣味は体術と科学実験。それに伴うお菓子作りと料理。
精霊の加護を受けるための寺院巡りという。
比べられた相手を自信喪失させるような魔法科学の申し子であり人脈スキルに長けている子よ。
チームだって作れと言われたらあっという間にマチルダにいい子が全部さらわれるわ。
全く……毎日比べられる方のみになれってのよ。
あんなのを我慢しているんだから誉めて貰いたいぐらいだわ。」
「……。」
パパも絶句している。私だってえこひいきとか、コネとか、先生の前で気に入られそうな言葉や態度で向こうだけ贔屓されているとかなら問題があるのは先生だと、先生に向かって待遇の改善を要求するけど。今回の相手はガチなのである。見本にしろと言われたら、はいそうですねとしか言いようがないのである。だけど子供は子供なりに、自分でやりたいことがあるのだ。やれることだって限られているのだ。
「ははは。マチルダちゃんか。」
「パパ。笑い事じゃない。」
「いやあ。比べられるのは、確かに面白くないし。
先生ももうちょっと、リリーシャの頑張りを見て欲しいかな。」
「でしょう?」
「うん……近くにそういう子がいると大変だ。」
「でしょ!」
パパに話を聞いて貰って、ようやく私も学校に行く気力がわいてきたのだった。
「ん……うん。」
「パパ、朝なんでしょ、起きないと。」
「あ、ああ……遅れる訳には、いかないからな。」
朝。ここは私の家……正確にはパパの家。私の家にはパパと私しかいない。ママは誰か分からない……と言うか、孤児だった私を軍人のパパが仕事と言うか、任務の終わりに引き取ったらしい。私がパパの部屋に入ってパパを起こすと、のっそりとクマのように大きな体をしたパパは起き上がる。
「毛のセットもしておかないとな。」
「うん! 私も手伝うわ! ブラッシングが届かないところは大変でしょ!」
「ああ。お任せするよ。」
「ふふん。パパの毛も、絡まらないようなブラッシングも覚えたからね。」
「おお。すごいじゃないか。」
パパは起き抜けだからか、随分と声が低く……と言うか、衣服も身に付けるし二足歩行で歩くけど、その体つきはほぼ獣の身体をしている獣人だから冬眠から醒めた動物のような唸り声に近い。そう、私のパパは魔法が使えなくても獣人という、獣のような身体能力と大きな体躯を買われ、軍人になっているのである。強いだけじゃなくて紳士だし、パパとして言う事ないわ。
「ねえ、パパ。今日は学校でテストがあるんだけど。」
「ああ。テストって、魔法力のかな?」
私の通っている学校は魔法と科学。精霊が残したとされる古代文明の解析を魔法で行い、人間の力とここにある物質との法則で再現可能なものを科学と呼び、それで文明を発展させてきたため、魔法科学の学校は素質のある者は通う事が可能なのだった。
科学を習ったり、新しい法則を見つけたりするためには、魔法も学ぶ必要があり、更に言うなら魔法で新たな解析を行ったりするため。超科学の領域まで、この街が発展していても魔法の方が、まだ重要視されている。という訳で。魔法のテストだって試験には日常的に当然あるのだった。
「はあ……パパの毛並みって、フワフワ~。」
「ははは。リリーシャがいつも、すいてくれているからね。」
私はブラッシングをしていく内に、次第にフワフワになっていくパパの髪と言うか全身に生えている体毛にうっとりしていた。
「あ~あ。これでマチルダがいなければ完璧なんだけど。」
「……うん。リリーシャも、マチルダの事は悪く言わないんだ。」
この愚痴は、毎度言っている事のため、パパに止めるよう言われてしまう。しかし出るものは出てしまうのだった。
「悪くは言ってないわよ。馬が合わないの。更に言うなら取り巻きと先生がよ。
いつもマチルダの事ばっかり褒めててさ。こっちを引き合いに出すんだから。」
「うん。でもね。リリーシャにも、育って欲しいんだよ。」
「私だってマチルダはすごいって思ってるわ。
でも、周りがマチルダばーっかりで、あとはその他なの。」
「うーん……。どんな感じなんだい?」
「ええ。みんなマチルダみたいになれ、マチルダを見て学べ。
特にリリーシャみたいに直情的で何でも自分で解決しようとするな、とか。」
「それはリリーシャの行動が危なっかしいと言ってくれているんだよ。」
「だといいけど。」
「その……マチルダって言う子は、どういう子なんだい?」
「人心掌握術を子供の頃から学んでいて。
精霊魔法も全属性を目指していて。
趣味は体術と科学実験。それに伴うお菓子作りと料理。
精霊の加護を受けるための寺院巡りという。
比べられた相手を自信喪失させるような魔法科学の申し子であり人脈スキルに長けている子よ。
チームだって作れと言われたらあっという間にマチルダにいい子が全部さらわれるわ。
全く……毎日比べられる方のみになれってのよ。
あんなのを我慢しているんだから誉めて貰いたいぐらいだわ。」
「……。」
パパも絶句している。私だってえこひいきとか、コネとか、先生の前で気に入られそうな言葉や態度で向こうだけ贔屓されているとかなら問題があるのは先生だと、先生に向かって待遇の改善を要求するけど。今回の相手はガチなのである。見本にしろと言われたら、はいそうですねとしか言いようがないのである。だけど子供は子供なりに、自分でやりたいことがあるのだ。やれることだって限られているのだ。
「ははは。マチルダちゃんか。」
「パパ。笑い事じゃない。」
「いやあ。比べられるのは、確かに面白くないし。
先生ももうちょっと、リリーシャの頑張りを見て欲しいかな。」
「でしょう?」
「うん……近くにそういう子がいると大変だ。」
「でしょ!」
パパに話を聞いて貰って、ようやく私も学校に行く気力がわいてきたのだった。
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