11 / 16
悪夢と危機
しおりを挟む「私の思いを無下にするなんて、本当に氷の心しか持っていないのですね」
女の声
そなたは誰だ
姿が見えぬ
「あなたはそうやって、人の心も、命も、思いも、簡単に壊す。…ご自分のしたことに、何の気持ちも浮かばないのですか…?」
…何を言っている
他人がどうなろうとも、私には関係のないことだろう
そなたは形式上は私の婚約者ゆえ、それなりに丁重に接している
それの何が悪いのだ
「ふふ…。お分かりではないのですね。無情というのは、人を、大切な人を傷付けるもの。あなたなら、分かるはずですよ…」
……うるさい、消えろ
「未央様!未央様!!」
「ん…」
目を開けると、侍女が私の顔をのぞいていた
「目を覚まされましたか。良かったです」
「なぜそなたがここに。入っていいとは言っておらぬはずだが」
「呼びかけてもお返事が無かったので独断で入りました。それに未央様が険しい顔をなさっていたので、悪夢を見ているのかと心配だったのです」
悪夢…?
さっきのは夢、だったのか
「心配は要らぬ、問題ない」
「ですがお辛そうです」
「…問題ないと言っているだろう。着替える、手伝え」
「…はい」
服を着る
侍女から朝餉を受け取って食べる
「外を歩く」
「はい。珒卿殿には…」
「伝えるな。自由に歩かせろ」
「かしこまりました」
朝餉を食べ終え、外に出る
しばらく歩き、あの店の前に着く
歩く足を止め、女子と食べた麺を思い出す
「深児様のことを?」
「違う、退屈になったら一人で来ようと思っただけだ」
「…深児様のことを気にかけておられる証拠ですよ、きっと。何も思わない方ならば、この店の前で足を止めることはありませんから」
私が、あの女子を気にかけている?
…なぜ、気にかける必要があるというのか
「馬鹿なことを言うでないわ。私は消滅のことだけを気にかけている。あの女子が何をしようと、私の消滅の事実は変わらぬ」
「未央様は消滅のこと以外は頭に無いのですね」
「そなたがあの女子を離すなと言うからだぞ、仕方なくそれを守っているだけだ」
「守って頂いているのは嬉しいです、やはり未央様はお優しいですね」
「誰が優しい」
「未央様ですよ?」
「笑わせるな」
「ふふ」
…全く、何を言っているのか
私が優しいなど、あり得るものか
「そこのお嬢さん」
「…」
呼ばれた方を見ると、ゴマをすりにでも来たような人間が立っていた
「お嬢さんに見てほしいものがある、来てくれないか」
「未央様」
「…よい、行こうではないか」
「…どうぞ、こちらです」
案内に付いていくと、小さい家に着いた
すると侍女の声が聞こえなくなり、後ろを向くが、消えていた
「…そうか。やはり私を狙っていたか」
「ふふ。流石、穆公爵のご令嬢だな。こうなっても冷静か」
「好きにすればいい」
「すまねえな、恨むなら父親を恨め。父親のせいでこうなるんだから」
…あやつは父親などではない
人間でさえ思っていない
人の面を被った鬼、だ
そんな奴の血が流れていると考えただけで吐き気がする
「望みはあやつの命か」
「ああ。…ふっ、令嬢なら父親を父上だとか父だとか呼ぶんじゃねえの。あやつって、父親とも思っていないようだな」
「母を捨てた愚かな鬼だ」
「ふっ。一緒に来てもらおうか。ここじゃあ、すぐ見つかるだろうからな」
目の前の男に連れられ、馬車で移動することになった
…目を覚ましたら必ず夜月に行って珒卿に助けを求めること
それくらいのこと、侍女は分かっているだろう
私の侍女ならば、分かっていて当然のこと
「安心しろ、お前に危害を加えるつもりはない。だがあんたの父親次第では、約束できないぞ」
「言ったはずだ。…好きにすればいい」
男がニヤリと笑う
どのようなことをされても構わぬ
消滅に一歩近づくのだから
こうなってはあの女子も、抗えるまい
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
👨一人用声劇台本「寝落ち通話」
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。
続編「遊園地デート」もあり。
ジャンル:恋愛
所要時間:5分以内
男性一人用の声劇台本になります。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる