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第7話-問題は足トレではなかった…
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お盆休みの最中、ふと時間が空いた。
普段なら筋トレや歩数稼ぎが自然と日課になっているのに、この日はなぜか気が抜けてしまい、ぼんやりとしたまま何となく過ごしていた。原因は間違いなくさっきまでのAIとのやりとり。正直まだ自分の中で納得できる回答がみつからないのだ。
せっかくの休みだから、日頃の食事サイクルやトレーニングの流れを見直してみよう──そう思ったのだが、どうにも考えがまとまらない。
特に、前日の背中トレで感じた“妙な違和感”だけは、ずっと胸の奥で重たく居座っていた。
「……足トレの問題じゃない気がするんだよな」
体力が削られた感覚。回数が落ちるスピードの早さ。
ただ、それが何に原因しているのかまでは自分では判断がつかない。
ひとりで悩んでいても進まない。
そこで、再びAIとのチャットを開いた。
まずは足トレについて聞くつもりだったが──この時点の俺はまだ気づいていなかった。
本当の問題は、足トレではなく“背中”にあったということに。
「トレ直前に糖質を入れるより、前日に摂った方がパフォーマンスは維持しやすいよね?」
自分としては「直前だと間に合わない」という感覚が強かった。
ただ、それがどれくらい正しいのかを知りたかった。
AIの答えは明快だった。
【はい、その通りです。
当日の糖質補給は“回復用”。
トレーニングのパフォーマンスを上げるには、前日にグリコーゲンを満たしておく必要があります。】
筋肉にエネルギーが届くまでには時間がかかる。
前日に蓄えておいて、当日はそのストックを使うというわけだ。
「やっぱりそうか……」
自分はアスリートではないが、こういう情報が重なるとどうしても迷う。
けれど、AIの説明は整理されていて、すっと腹に落ちた。
AIは親切に足トレの話にも触れてくれた。
だが、正直なところ足トレのパフォーマンスについては、そこまで違和感はなかった。
本当に気になっていたのは──
前日の背中トレでの“回数落ち”の速さだ。
特に加重懸垂。
序盤は普通にこなせていたはずなのに、2セット目・3セット目でガクッと落ちる。
単なるコンディション差と言われればそれまでだが、どうにも腑に落ちなかった。
そこでAIに聞いた。
「背中トレのパフォーマンスがあそこまで落ちた原因って何?」
返ってきた答えは、想像以上に核心を突いていた。
【背中トレは、足トレより“グリコーゲンの減りが早い”です。
大筋群+多関節動作で負荷が広く、姿勢維持で体幹も常に使うため、エネルギー消費が急激に進みます。】
たしかに。
加重懸垂は重りを下げたまま体幹を固定し続ける必要がある。
ロウ系種目も、姿勢維持と負荷処理の両方で体力を消費する。
心当たりが多すぎて、苦笑するしかなかった。
この日の背中トレは以下の通りだ。
プルオーバー:20-20-20
加重懸垂(オーバー):10-9-8
加重懸垂(アンダー):9-6-5
ワンハンドロウ(27kg):9-9-9
チェストサポーテッドロウ(10kg):13-13-13
懸垂(仕上げ):8-6-5
インターバル3分、トータル75分。
こうして改めて見ても、なかなかのボリュームである。
特に加重懸垂の落ち方は顕著だった。
これに対してAIの評価はこうだ。
【あなたの背中トレは“総負荷量が高め”。
足トレと同等、もしくはそれ以上のエネルギーを使います。
そのうえ姿勢制御が必要なので、中枢疲労も出やすく、後半で一気にパフォーマンスが落ちます。】
さらに続く。
【前日の糖質が少ないと、その影響が背中トレに最も出やすいです。
背中は“大筋群・高重量・姿勢維持”の三拍子で、グリコーゲン消費が急激だからです。】
──ああ、なるほどな。
昨日の食事量、思えばいつもより軽かった気もする。
AIの説明を聞いて、あの違和感の正体がようやくはっきりした。
「背中が落ちてたのか……」
そう納得すると同時に、また別の悩みが浮かんでくる。
自分は今、減量モードに入っている。
糖質も必要最低限に抑えて、脂肪を落とすことを優先している。
だが──背中トレのような大筋群の高強度トレーニングは、どうしても糖質不足の影響を受けやすい。
減量しつつ筋力を維持したい。
でも糖質は増やしたくない。
両立しようとすると矛盾が生まれる。
「……これ、かなり難しいバランスなんじゃないか?」
家トレのエンジョイ勢とはいえ、筋トレを続けている以上は、可能な限り成長も感じたい。
そのためには、ただ“頑張る”だけでは済まされない局面も増えていく。
けれど──その葛藤こそが、成長の証のようにも思えた。
背中トレの落ち込みの理由が分かっただけでも、だいぶ気持ちが楽になった。
栄養・コンディション・負荷の関係性は単純じゃない。
だが、こうして一つずつ理解していけば、確実に前へ進める。
減量とトレーニングの両立は相変わらず難しい。
それでも迷いながら、悩みながら進んでいく過程こそ、俺の日常の“冒険”だ。
そして今日、またひとつ答えを見つけた。
足トレではなかった。本当に落ちていたのは背中だった。
次のトレでは、もう少し違う景色が見える気がする。
普段なら筋トレや歩数稼ぎが自然と日課になっているのに、この日はなぜか気が抜けてしまい、ぼんやりとしたまま何となく過ごしていた。原因は間違いなくさっきまでのAIとのやりとり。正直まだ自分の中で納得できる回答がみつからないのだ。
せっかくの休みだから、日頃の食事サイクルやトレーニングの流れを見直してみよう──そう思ったのだが、どうにも考えがまとまらない。
特に、前日の背中トレで感じた“妙な違和感”だけは、ずっと胸の奥で重たく居座っていた。
「……足トレの問題じゃない気がするんだよな」
体力が削られた感覚。回数が落ちるスピードの早さ。
ただ、それが何に原因しているのかまでは自分では判断がつかない。
ひとりで悩んでいても進まない。
そこで、再びAIとのチャットを開いた。
まずは足トレについて聞くつもりだったが──この時点の俺はまだ気づいていなかった。
本当の問題は、足トレではなく“背中”にあったということに。
「トレ直前に糖質を入れるより、前日に摂った方がパフォーマンスは維持しやすいよね?」
自分としては「直前だと間に合わない」という感覚が強かった。
ただ、それがどれくらい正しいのかを知りたかった。
AIの答えは明快だった。
【はい、その通りです。
当日の糖質補給は“回復用”。
トレーニングのパフォーマンスを上げるには、前日にグリコーゲンを満たしておく必要があります。】
筋肉にエネルギーが届くまでには時間がかかる。
前日に蓄えておいて、当日はそのストックを使うというわけだ。
「やっぱりそうか……」
自分はアスリートではないが、こういう情報が重なるとどうしても迷う。
けれど、AIの説明は整理されていて、すっと腹に落ちた。
AIは親切に足トレの話にも触れてくれた。
だが、正直なところ足トレのパフォーマンスについては、そこまで違和感はなかった。
本当に気になっていたのは──
前日の背中トレでの“回数落ち”の速さだ。
特に加重懸垂。
序盤は普通にこなせていたはずなのに、2セット目・3セット目でガクッと落ちる。
単なるコンディション差と言われればそれまでだが、どうにも腑に落ちなかった。
そこでAIに聞いた。
「背中トレのパフォーマンスがあそこまで落ちた原因って何?」
返ってきた答えは、想像以上に核心を突いていた。
【背中トレは、足トレより“グリコーゲンの減りが早い”です。
大筋群+多関節動作で負荷が広く、姿勢維持で体幹も常に使うため、エネルギー消費が急激に進みます。】
たしかに。
加重懸垂は重りを下げたまま体幹を固定し続ける必要がある。
ロウ系種目も、姿勢維持と負荷処理の両方で体力を消費する。
心当たりが多すぎて、苦笑するしかなかった。
この日の背中トレは以下の通りだ。
プルオーバー:20-20-20
加重懸垂(オーバー):10-9-8
加重懸垂(アンダー):9-6-5
ワンハンドロウ(27kg):9-9-9
チェストサポーテッドロウ(10kg):13-13-13
懸垂(仕上げ):8-6-5
インターバル3分、トータル75分。
こうして改めて見ても、なかなかのボリュームである。
特に加重懸垂の落ち方は顕著だった。
これに対してAIの評価はこうだ。
【あなたの背中トレは“総負荷量が高め”。
足トレと同等、もしくはそれ以上のエネルギーを使います。
そのうえ姿勢制御が必要なので、中枢疲労も出やすく、後半で一気にパフォーマンスが落ちます。】
さらに続く。
【前日の糖質が少ないと、その影響が背中トレに最も出やすいです。
背中は“大筋群・高重量・姿勢維持”の三拍子で、グリコーゲン消費が急激だからです。】
──ああ、なるほどな。
昨日の食事量、思えばいつもより軽かった気もする。
AIの説明を聞いて、あの違和感の正体がようやくはっきりした。
「背中が落ちてたのか……」
そう納得すると同時に、また別の悩みが浮かんでくる。
自分は今、減量モードに入っている。
糖質も必要最低限に抑えて、脂肪を落とすことを優先している。
だが──背中トレのような大筋群の高強度トレーニングは、どうしても糖質不足の影響を受けやすい。
減量しつつ筋力を維持したい。
でも糖質は増やしたくない。
両立しようとすると矛盾が生まれる。
「……これ、かなり難しいバランスなんじゃないか?」
家トレのエンジョイ勢とはいえ、筋トレを続けている以上は、可能な限り成長も感じたい。
そのためには、ただ“頑張る”だけでは済まされない局面も増えていく。
けれど──その葛藤こそが、成長の証のようにも思えた。
背中トレの落ち込みの理由が分かっただけでも、だいぶ気持ちが楽になった。
栄養・コンディション・負荷の関係性は単純じゃない。
だが、こうして一つずつ理解していけば、確実に前へ進める。
減量とトレーニングの両立は相変わらず難しい。
それでも迷いながら、悩みながら進んでいく過程こそ、俺の日常の“冒険”だ。
そして今日、またひとつ答えを見つけた。
足トレではなかった。本当に落ちていたのは背中だった。
次のトレでは、もう少し違う景色が見える気がする。
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