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episode.23(2007/4/17④)
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高校に入ると、僕と朝美は同じ文系のクラスになった。朝美は文系科目が得意だった。僕は文系科目が中学時代からからっきしダメで、僕が朝美に数学を教える代わりに国語を教えてもらっていた。そんな僕も文系のクラスに入ったのは、何も朝美を追ってのことではない。中学時代に遊びのように持ったギターで曲作り紛いのことを始めた僕は、作詞に凄く興味を持ったのだ。そしてそれと同時に文学に興味を持った。自分で言葉を紡いで作品を作っていくのに、文系科目が苦手なままではダメだと思ったのだ。僕と朝美は所謂特進クラスと言われるクラスに属していた。入学直後の試験で振り分けられるらしい。僕は文系の科目は奮わなかったけれど、理数系科目で得点を稼いだらしかった。僕みたいに理数系が得意な人間は皆理系クラスを希望していたので、僕はクラスでも浮いた存在だった。文系科目が苦手な文系なんて僕くらいしかいなかったのだ。知里も文系を希望していたが、僕らのクラスに配属されることは無かった。正直、知里も普通に勉強は出来る方だったので、同じクラスになりやしないかと思っていたけれど、受験勉強を始めるのが遅く、上積みが足りていなかったらしい。まぁ僕にとっては好都合だった。中学同様、これ以上知里に振り回されたくは無かった。
朝美とはこれまで通りの関係が続いた。僕が朝美に数学を教え、朝美が僕に文系科目を教える関係。むしろ勉強の中身が難しくなったぶん、教え合う為に一緒にいる時間は長くなった。朝の始業前はもちろん、放課後も朝美の部活の無い日は教室で勉強を教え合った。朝美は茶道部に入っていた。特に興味があるというわけでは無いけれど、何か部活に入っておいた方が良いし、活動も忙しく無いから、という理由だった。僕は何部にも入らなかった。興味があった軽音楽部は僕の高校には存在しなかった。音楽をやっていると成績が落ちる、という誰が言ったか分からないような文句を伝統的に受け継いでいるということだった。田舎の高校なんてそんなものだ。旧態依然という言葉がこんなに似合うことはない。だから放課後のほとんどは朝美と一緒に過ごしていた。クラスメートはそんな僕らの様子を冷やかしもせず、干渉もしてこなかった。朝美は容姿も端麗で、大人しそうな雰囲気から男子からの隠れた人気が高かったので、最初こそ僕らのことを揶揄するクラスの男子がいたけれど、僕や朝美が説明をすると、皆すぐに納得し、そんな噂や揶揄は無くなってしまった。仕方ない、僕は全く女子からの人気が無かったし、それこそ冴えない人間と思われていたようで朝美とは全く釣り合いが取れない、そう判断されたのだ。クラスの女子にも朝美は上手く説明をしていたようだった。それもあって、僕らは半ば公認を貰ったような形で多くの時間を過ごすことができたのだった。
しかし、それでも時間が足りなくなって、僕たちは始業前の時間を増やすことになる。8時半から始まるというのに、僕らは7時前からもう学校に来ていた。田舎の進学校ということもあり、受験生の自習が多く、毎朝6時半頃には学校に入れたのだ。そうしているうちに僕たちは登下校も共にすることが増えるようになった。特に朝は、お互いが休んでは無駄足になる、という理由で途中で待ち合わせをして登校した。もしお互いが時間までに来なければ、めいめい好きなことをして始業までを過ごす。朝美は滅多に休むことは無かったけれど、たまに休む時には登校途中のカフェに入り、モーニングコーヒーを飲んでから登校した。今になって考えるととても生意気だったけれど、当時はそれがライフスタイルとして確立していた。今なら携帯電話を使ってすぐにやりとりが出来るかもしれないけれど、まだ当時は高校生が全員携帯電話を持っているわけでは無かったし、メール機能が一般的になるのも遅かった。なので僕たちは待ち合わせスタイルを採用し、お互いが携帯電話を持ってからも、特に変わることなく、当たり前のようにそのスタイルを維持していた。
待ち合わせ場所は少し目立つ色の屋根が特徴的な大きな家の脇だった。特に途中にわかりやすい店やスポットが無かったことと、庭が広いぶん、その辺りでずっと待っていても家主に見つかりにくい、ということが理由だった。その場所は朝美が指定し、登校途中に大きなショッピングモールが出来上がった後も変わらなかった。朝美がこの場所を切望したからだった。
どうしてこの場所が良いのか訊いたことがある。朝美はこの家の庭から道路にはみ出している紫陽花がその理由だと答えた。朝美は紫陽花が好きだ、と言った。その色も香りも初夏のうちにしか咲かない儚さも好きだと言った。その庭からはみ出した紫陽花は確かに立派なもので、ガイドブックに載っているような紫陽花の名所にわざわざ数時間をかけて行くよりは、間違いなく手頃で、近所の人からも評判であった。初夏の頃には朝美は必ず僕よりも早く待ち合わせ場所にいて、自転車から降りて、紫陽花を見ながら僕を待っていた。その姿がとても印象的で、待ち合わせのことを思い出す時、僕はいつも朝美とその朝顔を思い出した。僕は花に造詣があるわけでも無いから、特に何も感じてはいなかったし、香りも特別感じたことは無かった。けれど、朝美はその花をまるで赤子を見るような優しさで眺め、そして親と生き別れるような目をしながらその場を離れた。僕にとっては紫陽花は朝美の花だった。
もちろんその待ち合わせにも登下校にも知里はいなかった。知里は高校に入ってから勉強をしなくなったようだった。部活にも入らず、クラスの少し派手なメンバーと遊び回ることが増えた、と朝美から聞いた。それなら関わらずに済むと安心していたけれど、そういうわけにはいかなかった。ことある毎に知里は僕たちにちょっかいをかけてきた。僕は新平の手前、どう接して良いか分からなかったから、正直迷惑だった。
ある日、部活の無い朝美といつものように放課後に勉強をする準備をしていると、朝美が僕のところに来て、ちょっと先に用事を済ませるから待っていてほしい、と言ってきた。別に良いけど、急にどうしたのか、と訊くと、どうやら知里に呼び出されたらしかった。そんなに長くならないらしいから、と言うと、朝美は教室を出て行った。僕は特に疑問を感じることもなく、自習をしながら待っていた。数学のテキストを開いて、問題を解きながら、朝美が質問してきたらどうこたえよう答えようかをかを思案していた。最近ではもう問題を少し解くだけで、朝美が訊きそうかどうかがわかった。しばらく問題に集中していたが、気がつくと30分近くが経っていた。朝美はまだ戻らないのだろうか、そんなことを考えていると、誰かが教室の後方から入ってくる音がする。音のする方を振り返ると、そこにいたのは朝美ではなく、知里だった。
「朝美と会ってたんじゃないのかよ」
知里は表情を少しも変えずに澄まして言う。
「今も私のことを待ってるんちゃうかな、私、嘘ついたから」
「なんの為に」
そんなの、と知里は即答する。
「佑矢くんと2人きりになりたかったからに決まってるやん」
高校に入ると、知里は僕のことを名前で呼ぶようになった。僕は違和感しかなくて、止めるように言うけれど、知里は一向に止めてくれない。少しづつ関西弁のイントネーションが薄くなっていることも相まって、気持ちが悪かった。
「だっていつも朝ちゃんとおるやん、正直邪魔なんよね」
「邪魔ってなんだよ」
「言葉通りよ」
知里は携帯電話を操作しながら言うと、そのままスカートのポケットに入れた。知里のスカートは何度も腰のところで折り曲げられている。その格好は知里の格好とマッチして見えた。
「それで、朝美に嘘ついてまでオレに何の用だよ」
僕が言うと、知里はこれまたあっけらかんと言ってのけた。
「何も無いよ」
僕は拍子抜けしてしまう。
「2人でいたいだけ、それだけ」
「なんでそんなこと」
「いつも朝ちゃんと2人きりの佑矢が、今日は私と2人」
知里は不気味に笑うと、小声で言った。
「これを他の人が見たら、どう思うだろうね」
その表情に一瞬時が止まる。知里の目的がわからなかった。
「別にどうも思わないだろ」
そうかなぁ、と知里はわざとらしく笑う。こんなに標準語が似合わないのは知里以外にいないだろう。
「でも、朝ちゃんは」
知里が時計にチラリと目をやる。
「朝ちゃんは、どう思うだろうね」
その表情で僕はようやく意図を汲み取ることが出来た。わかった。知里は僕と朝美の関係を崩しにかかっているのだ。何が理由かわからない。崩す、までの悪意はなくて、波風を立てたいだけなのかもしれない。それにしても理由がわからないが。
「別に、朝美も何も思わないよ。オレらは中学のクラスメートなんだし」
そっか、と少し不服そうな顔をする。今日だけで色々な表情を見たけれど、どれが本心か全くわからない。
「朝ちゃんのこと、『朝美』って呼んでるんだね」
それは…と口籠ると
「そりゃあんなに一緒にいるんだから、そうか」
と自己完結させている。
「でも、そういうの見ると、壊したくなるんだ」
「だから、壊れるもなにも」
「こういうことをしても」
僕の言葉を遮るように知里が勢いよく僕に向かってきた。その勢いに僕は思わず瞼を閉じる。何かが口に当たった感触がある。それは今まで感じたことのない感覚だった。慌てて目を開けると、目の前に知里の顔があった。知里も目を瞑っていた。こんなに知里を至近距離で見たことがない。
そして、知里の唇が僕の唇にぴたりと当たっていた。僕たちはキスをしていた。一瞬のことで何がなんだか分からずに、僕は頭の中でパニックを起こす。何だ、何が起こっているんだ。とにかくこの唇を離さなきゃ、そう思うと、至近距離にある知里の顔の向こうに、もう1つ小さく見える顔があった。
朝美だった。
朝美とはこれまで通りの関係が続いた。僕が朝美に数学を教え、朝美が僕に文系科目を教える関係。むしろ勉強の中身が難しくなったぶん、教え合う為に一緒にいる時間は長くなった。朝の始業前はもちろん、放課後も朝美の部活の無い日は教室で勉強を教え合った。朝美は茶道部に入っていた。特に興味があるというわけでは無いけれど、何か部活に入っておいた方が良いし、活動も忙しく無いから、という理由だった。僕は何部にも入らなかった。興味があった軽音楽部は僕の高校には存在しなかった。音楽をやっていると成績が落ちる、という誰が言ったか分からないような文句を伝統的に受け継いでいるということだった。田舎の高校なんてそんなものだ。旧態依然という言葉がこんなに似合うことはない。だから放課後のほとんどは朝美と一緒に過ごしていた。クラスメートはそんな僕らの様子を冷やかしもせず、干渉もしてこなかった。朝美は容姿も端麗で、大人しそうな雰囲気から男子からの隠れた人気が高かったので、最初こそ僕らのことを揶揄するクラスの男子がいたけれど、僕や朝美が説明をすると、皆すぐに納得し、そんな噂や揶揄は無くなってしまった。仕方ない、僕は全く女子からの人気が無かったし、それこそ冴えない人間と思われていたようで朝美とは全く釣り合いが取れない、そう判断されたのだ。クラスの女子にも朝美は上手く説明をしていたようだった。それもあって、僕らは半ば公認を貰ったような形で多くの時間を過ごすことができたのだった。
しかし、それでも時間が足りなくなって、僕たちは始業前の時間を増やすことになる。8時半から始まるというのに、僕らは7時前からもう学校に来ていた。田舎の進学校ということもあり、受験生の自習が多く、毎朝6時半頃には学校に入れたのだ。そうしているうちに僕たちは登下校も共にすることが増えるようになった。特に朝は、お互いが休んでは無駄足になる、という理由で途中で待ち合わせをして登校した。もしお互いが時間までに来なければ、めいめい好きなことをして始業までを過ごす。朝美は滅多に休むことは無かったけれど、たまに休む時には登校途中のカフェに入り、モーニングコーヒーを飲んでから登校した。今になって考えるととても生意気だったけれど、当時はそれがライフスタイルとして確立していた。今なら携帯電話を使ってすぐにやりとりが出来るかもしれないけれど、まだ当時は高校生が全員携帯電話を持っているわけでは無かったし、メール機能が一般的になるのも遅かった。なので僕たちは待ち合わせスタイルを採用し、お互いが携帯電話を持ってからも、特に変わることなく、当たり前のようにそのスタイルを維持していた。
待ち合わせ場所は少し目立つ色の屋根が特徴的な大きな家の脇だった。特に途中にわかりやすい店やスポットが無かったことと、庭が広いぶん、その辺りでずっと待っていても家主に見つかりにくい、ということが理由だった。その場所は朝美が指定し、登校途中に大きなショッピングモールが出来上がった後も変わらなかった。朝美がこの場所を切望したからだった。
どうしてこの場所が良いのか訊いたことがある。朝美はこの家の庭から道路にはみ出している紫陽花がその理由だと答えた。朝美は紫陽花が好きだ、と言った。その色も香りも初夏のうちにしか咲かない儚さも好きだと言った。その庭からはみ出した紫陽花は確かに立派なもので、ガイドブックに載っているような紫陽花の名所にわざわざ数時間をかけて行くよりは、間違いなく手頃で、近所の人からも評判であった。初夏の頃には朝美は必ず僕よりも早く待ち合わせ場所にいて、自転車から降りて、紫陽花を見ながら僕を待っていた。その姿がとても印象的で、待ち合わせのことを思い出す時、僕はいつも朝美とその朝顔を思い出した。僕は花に造詣があるわけでも無いから、特に何も感じてはいなかったし、香りも特別感じたことは無かった。けれど、朝美はその花をまるで赤子を見るような優しさで眺め、そして親と生き別れるような目をしながらその場を離れた。僕にとっては紫陽花は朝美の花だった。
もちろんその待ち合わせにも登下校にも知里はいなかった。知里は高校に入ってから勉強をしなくなったようだった。部活にも入らず、クラスの少し派手なメンバーと遊び回ることが増えた、と朝美から聞いた。それなら関わらずに済むと安心していたけれど、そういうわけにはいかなかった。ことある毎に知里は僕たちにちょっかいをかけてきた。僕は新平の手前、どう接して良いか分からなかったから、正直迷惑だった。
ある日、部活の無い朝美といつものように放課後に勉強をする準備をしていると、朝美が僕のところに来て、ちょっと先に用事を済ませるから待っていてほしい、と言ってきた。別に良いけど、急にどうしたのか、と訊くと、どうやら知里に呼び出されたらしかった。そんなに長くならないらしいから、と言うと、朝美は教室を出て行った。僕は特に疑問を感じることもなく、自習をしながら待っていた。数学のテキストを開いて、問題を解きながら、朝美が質問してきたらどうこたえよう答えようかをかを思案していた。最近ではもう問題を少し解くだけで、朝美が訊きそうかどうかがわかった。しばらく問題に集中していたが、気がつくと30分近くが経っていた。朝美はまだ戻らないのだろうか、そんなことを考えていると、誰かが教室の後方から入ってくる音がする。音のする方を振り返ると、そこにいたのは朝美ではなく、知里だった。
「朝美と会ってたんじゃないのかよ」
知里は表情を少しも変えずに澄まして言う。
「今も私のことを待ってるんちゃうかな、私、嘘ついたから」
「なんの為に」
そんなの、と知里は即答する。
「佑矢くんと2人きりになりたかったからに決まってるやん」
高校に入ると、知里は僕のことを名前で呼ぶようになった。僕は違和感しかなくて、止めるように言うけれど、知里は一向に止めてくれない。少しづつ関西弁のイントネーションが薄くなっていることも相まって、気持ちが悪かった。
「だっていつも朝ちゃんとおるやん、正直邪魔なんよね」
「邪魔ってなんだよ」
「言葉通りよ」
知里は携帯電話を操作しながら言うと、そのままスカートのポケットに入れた。知里のスカートは何度も腰のところで折り曲げられている。その格好は知里の格好とマッチして見えた。
「それで、朝美に嘘ついてまでオレに何の用だよ」
僕が言うと、知里はこれまたあっけらかんと言ってのけた。
「何も無いよ」
僕は拍子抜けしてしまう。
「2人でいたいだけ、それだけ」
「なんでそんなこと」
「いつも朝ちゃんと2人きりの佑矢が、今日は私と2人」
知里は不気味に笑うと、小声で言った。
「これを他の人が見たら、どう思うだろうね」
その表情に一瞬時が止まる。知里の目的がわからなかった。
「別にどうも思わないだろ」
そうかなぁ、と知里はわざとらしく笑う。こんなに標準語が似合わないのは知里以外にいないだろう。
「でも、朝ちゃんは」
知里が時計にチラリと目をやる。
「朝ちゃんは、どう思うだろうね」
その表情で僕はようやく意図を汲み取ることが出来た。わかった。知里は僕と朝美の関係を崩しにかかっているのだ。何が理由かわからない。崩す、までの悪意はなくて、波風を立てたいだけなのかもしれない。それにしても理由がわからないが。
「別に、朝美も何も思わないよ。オレらは中学のクラスメートなんだし」
そっか、と少し不服そうな顔をする。今日だけで色々な表情を見たけれど、どれが本心か全くわからない。
「朝ちゃんのこと、『朝美』って呼んでるんだね」
それは…と口籠ると
「そりゃあんなに一緒にいるんだから、そうか」
と自己完結させている。
「でも、そういうの見ると、壊したくなるんだ」
「だから、壊れるもなにも」
「こういうことをしても」
僕の言葉を遮るように知里が勢いよく僕に向かってきた。その勢いに僕は思わず瞼を閉じる。何かが口に当たった感触がある。それは今まで感じたことのない感覚だった。慌てて目を開けると、目の前に知里の顔があった。知里も目を瞑っていた。こんなに知里を至近距離で見たことがない。
そして、知里の唇が僕の唇にぴたりと当たっていた。僕たちはキスをしていた。一瞬のことで何がなんだか分からずに、僕は頭の中でパニックを起こす。何だ、何が起こっているんだ。とにかくこの唇を離さなきゃ、そう思うと、至近距離にある知里の顔の向こうに、もう1つ小さく見える顔があった。
朝美だった。
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