頼むから俺の前にいる女は泣き叫ばないでください〜ヤンデレ部下と3馬鹿魔法少女は俺の邪魔をするな〜

スパイスマン

文字の大きさ
7 / 51

第7話 リカバリー

しおりを挟む
「それとってください。」



ボスの膝の上に乗った部下は言う。



「はいはい。」



そう言いながらボスはテーブルの上のクッキーを部下の口元に運ぶ。



部下と魔法少女との激しい戦闘の後、綺麗に片付けられた部屋には甘く優しい時間が流れていた。



サクサクとクッキーを噛み締めながら部下はどこかツンとしている。



「ボスはクッキー好きですか?」



唐突に部下は尋ねる。



「あぁ、もちろん好きだよ。」



ボスは答えた。



「じゃあ、あの魔法少女とクッキーならどっちが好きなんですか?」



「いや、部下様。あれは違うんですよ...。」



この甘く優しい空間では、このようなやりとりがもう何回も行われていた。



ボスは参ったなぁと言う表情で、言葉を絞り出す。



「俺があの子に好きだといったのは、敵を油断させるためであってですね...。」



ふーん、そう言いながら部下は冷めた目でボスを見つめる。



「いや、だから、私が本当に好きなのは部下様なんです。」



これでどうか機嫌を直してくれないだろうか、淡い期待を込めてボスはちらっと部下を見た。



「あの女みたいに、そんな手口じゃ騙されませんよ。」



部下の表情は、若干柔らかくなった。しかし、まだまだ手強かった。



「本当に私の事が好きなら、もっともっと愛を囁けるはずですよね?」



部下は言う。

ボスは気恥ずかしそうに、何度も部下に愛を囁いた。



「えへへ...。」



部下は、照れたように可愛らしい笑顔を浮かべる。ボスは、ほっと胸を撫で下ろす。



「でもねボス。言葉だけじゃ愛って伝わらないと思うんです。」



部下は言葉を続ける。



「だからね、キスして欲しいなって。」



ボスは、高まる心拍数を横目に、努めて冷静にわかりました。と呟いた。



そっと目をつむる部下。

2人の距離が徐々に近づいていく。



秒針の音だけが部屋にこだましていた。



唇が触れるか触れないかのタイミングで、部下は自重を突然後ろに傾けた。



完全に油断していたボスは、そのまま、力の流れる方に倒れる。



側から見るとボスが部下を押し倒しているような姿勢が完成する。



そのまま、2人の距離は0になった。



この時ボスは、部下のこの行動の意味を理解していなかった。



突然ドアが開く。



「ボス!頼んでいた最新兵器が出来上がったみたいですよ!!....ってえぇ!?!?」



突如、黒服の人間が入ってきた。



ボスは、やられたなぁと自身の迂闊さを感じていた。しかし、ここで動揺しては悪の組織の長としてメンツが立たない。



気づけばボスは腰を前後に何度も動かしていた。



「ひぇぇぇ、僕が見ている目の前でそんな事まで...!!と、とにかく兵器が出来上がったので後で博士の所に行ってあげてください!それでは!」



ひぇぇぇぇぇという叫び声を上げながら、黒服はもと来た道を戻る。



2人の唇が離れると、部下は悪戯っぽく笑った。



「ボス、あんなに人に見られていたのに、そんなに私としたかったんですか?」



部下は言う。



ボスは仕方なさそうに笑顔を浮かべながら、あぁと答えた。



自分では律する事ができていると思ってはいたが、自身で思っている以上に私は部下に掌握されているのだなぁと満更でもなさそうにボスは思った。



「責任取ってくださいね。」



部下は言う。



「わかったよ。」



ボスははっきりと言った。

ピッという音も聞こえた。明らかに録音したなとボスは思った。



ここまで自分が油断してしまう人間に、責任を求められるのはある意味幸せな事なのかもしれないとボスは少し嬉しい気分でもあった。



「ボスー。」



部下は静かに笑いながら、ボスに抱きつく。

ボスも部下の頭を撫でる。



2人の時間は続いていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

レンタル彼氏がヤンデレだった件について

名乃坂
恋愛
ネガティブ喪女な女の子がレンタル彼氏をレンタルしたら、相手がヤンデレ男子だったというヤンデレSSです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...