山

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この山には神様がおるんじゃ…

 

そういっていたお祖父ちゃんはある日、山で猪か何か大きな獣に襲われて死んだ。

 

神様に僕は助けてくださいってお願いしたけれど、神様はお祖父ちゃんを助けてくれなかった。

 

お祖父ちゃんは血まみれだった。

 

周りの大人達に応急処置で止血されて救急車で大きい病院に運ばれた。

 

それでも病院に着いた時にはもう息を引き取っていたらしい。

 

だから神様なんていないし、この山は無くなってもいいと思う。

 

「えぇ、そうですね。その条件で大丈夫です」

「では、そういう事で。山は我が社が責任持って開発、利用してまいりますので」

「よろしくお願いします」

 

先祖代々受け継がれてきた山を、僕は土地開発で売却して欲しいと言われたので売った。

 

正直お祖父ちゃんを助けてくれなかった山の神なんて信用していない。

 

神なんていない。

 

 

 

数年後、山は綺麗さっぱり無くなってキャンプ場になった。

 

そのキャンプ場もある時、猪とも熊とも鹿とも判別がつかない大きい獣に襲われて人が死んでしまったので、閉鎖される事になった。

 

もしかしたら神はいたかもしれない。疫病神が。