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シュバニアルの歴史1
放浪の王子と従者
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ある国のエルフの王子が、政争に敗れて国を追われた。
王子を支援する仲間とともに諸国をさまよい続けた彼らは、山岳の麓に小国シュバニアルに辿り着く。
彼らを迎え入れたシュバニアルは貴族も平民も平和な人々で、国を乗っ取られるとは露ほども思わず、もとは大国のエリートであった王子たちに国の運営について相談し、小国は少しずつ発展を遂げていった。
王子たちはシュバニアルに馴染み、豪勢ではないが豊かなこの国に根を下ろして穏やかな生を送るはずだった。
しかし、彼らの生まれ故郷である大国が編纂した歴史書を確認したとき、「もう過去など忘れて生きていこう」とお互い笑い合っていたのは結局表面上のこと、奥底にしまわれていた恨みと復讐心が燃え上がった。
大国は追放した王子たちについて、他国へ情報を流した売国奴であり、圧政を敷いて民から酷い搾取をした大罪人であるとして新王即位の正当性を示したのだ。
王子たちは怒りに燃えながらも冷静だった。抗議をしようにもこちらは小国で相手にされるはずはなく、逆に制圧され今度こそ殺されるだけならまだしも、この国が属国となる恐れがある。
王子たちは行く当てもなかった時に受け入れてくれたことに恩義を感じているのだ。
戦争なんてもってのほか、ではどのようにして相手を打ち負かすのか。
「私たちの生きている間は諦めよう」
そう告げたのは王子だった。反対しようとする部下をなだめ、彼はこのように続けた。
「今は力が足りない。だが息をひそめてやつらを削り続けることはできる」
「いったいどのようにして?」
部下の1人が尋ねた。
「この国が、世界中の歴史を担保し文化保存につとめる情報国家となるのだ」
部下たちはよくわからないようでお互いに顔を見合わせた。
「そのようなことをして、あ奴らに勝てるというのですか?」
「全世界の国、民族全ての歴史と文化を集めるのだ。なんの虚偽もない、事実のみが書かれたものをひたすらに集める。それらを保存することでこの国は世界にとって無視できない立場になるだろう。我らの価値を知らしめるのだ。この国へ正しい歴史を納付しなければ王の即位ができなくなるほどに」
王子の構想に誰もが息をのんで聞き入った。
「表向きは希少文化を廃れさせないための公益行為だ。特に国内や部族間で争っている場合には、善意の介入としてその歴史や文化を守る役割になろう。全世界の信頼を集め、誰もが認めざるを得ない国となるのだ」
「時間がかかるだろう。もしかしたら我らの孫たちに託すこととなるかもしれん。だが土台は我らが造る」
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王子たちはシュバニアルに馴染み、豪勢ではないが豊かなこの国に根を下ろして穏やかな生を送るはずだった。
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