弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

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序章『始まりの領地』

005 コレクター、一人宴をする

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「はぁっ、へぇ~……うへへぇ~……」

 宝石を並べ、地面に這いつくばりながら鑑賞する。
 綺麗だ。ゲーム内の宝石も綺麗だったが、リアルになったこの世界ではそれ以上に綺麗だった。
 ここは天国か。ゲーム内で集めたアイテム一つ一つが輝いている。本来の魅力が引き出されているのだ。

「うっ、これやばい……おっほぉ……!」

 カーペットに置かれた宝石の数々。
 一つのアイテムを鑑賞するのも好きだが、こうして綺麗に並べる方が好きなのだ。
 なんだろう、集めたって感じがする。いずれはこの世界にアイテム専用の保管庫を作りたい。

「剣すご……」

 ストレージから剣を取り出す。鈍い金属の輝きに興奮が隠せなかった。
 ポリゴンの集合体なんてもんじゃない、モデリングもされていない本物の剣だ。
 いや、実際はモデリングされた剣がリアルになって本物の剣になったというか。何言ってんのか分かんなくなってきた。
 とにかくすごい。この世界での剣がどれほどの物なのかは知らないが、やはりレアな武器はそれだけの切れ味とかがあるのだろうか。

「どうせなら剣士の方がいいよね」

 一冊の本、『職業の書』を取り出した。その名の通り他の職業に変えることのできるアイテムだ。
 表紙には三つのマークが記されている。左から剣、弓、杖だ。その中から剣をタッチする。
 すると、『職業の書』が自動でペラペラと捲れ始める。同時に俺の身体は光に包まれた。
 光が弾ける、装備が変わる。マイセットに登録されている剣士装備だ。真っ白な金属に、金色の装飾がついた鎧。現時点での最強装備だ。

 『トワイライト』には三種類の職業が存在する。
 【剣士ソードマン】【弓使いアーチャー】【魔術師ウィザード】その三つを軸に派生していく。
 あまりにもシンプルな職業システムだが、シンプルだからこそいいのだ。
 職業が大量にある場合、選択肢が大量に増えることになる。もちろんそれに乗じてアイテムは増えるのだが、流石に多すぎると収拾が追い付かなくなる。
 この世界には職業システムは存在しているのだろうか。

「……おおお!!」

 鏡を取り出し自分の姿を見る。剣に鎧。さらに美少女(男の娘)
 俺が初めて『トワイライト』にログインした時もこんな気持ちになった。
 ファンタジー世界に生きている。それがたまらなく嬉しかったのだ。
 何度かポーズを決めながら俺かっこいい、俺可愛いと悦に浸る。
 俺の宴は夜まで続いた。

* * *

 夜。村人たちを集め、俺は領主として挨拶をした。
 何度目かもう忘れたが、女と間違われた。もう気にしない。もしかしたら俺は女だったのかもしれない。
 それはそれとして、村人たちは村がどうなってほしいか。それを聞いた。
 皆一様にエリィと同じ意見でそこまで欲はない。多くの者が領主様のやりたいようにと言っていた。

「――――と、いうわけでこれから農民の皆さんには花の栽培をしてもらう」

 そしてその後、花の栽培についての説明を行った。
 この村の気候から考えて今は春だ。そうなると、春の種を植えなければならない。
 花の種には種類がある。春夏秋冬、それぞれの種。春から夏にかけての種など様々だ。
 今回栽培をしようと考えている花は『グリーンクローバー』と『ピンクブロッサム』の二つ。
 この世界での栽培がどうなるのかは研究が必要だとして、この二つならば栽培が楽だろう。

「『クローバー』とは違うのですかな」

 村人の一人が質問を飛ばしてきた。
 俺はあらかじめストレージから出しておいた『グリーンクローバー』と『ピンクブロッサム』を取り出し、村人たちに見せる。

「これが現物だ。この完成度を目指して栽培してほしい」
「これは……!」

 『グリーンクローバー』はその名の通りクローバーだ。しかし色の深みが違うし、葉の大きさも違う。ついでに薬草の代わりにもなる。
 『ピンクブロッサム』は本物の桜に限りなく近い芝桜だ。ゲーム内で桜を鑑賞するために育てる人が多かった。フラワーポーションの材料になる。確か回復だったか。

「これを特産品とし王国に売り出す。そうすれば王国もトワ村を必要とし、待遇も良くなるだろう」

 主に俺のな! とはあえて言わない。
 村人の待遇も良くなるので嘘は言っていないのだ。手っ取り早く権力を手に入れ、情報を集めてやる。
 そしてこの世界でもアイテムを集めるのだ。もちろん、元の世界に帰る方法を探しながらね。

 俺の言葉を聞いて、村人たちが希望を見出す。
 これまで王国に見向きもされなかったのだ。見返してやろうという気持ちは少なからずあるだろう。
 俺自身も、話を聞いていて見返してやりたいと思ったくらいなのだ。

「そのために栽培方法を確立し、作物を独占する。他の者がその花を育て市場を奪ってくる可能性もあるが、その時はその時だ。俺に任せてほしい」

 勢いでここまで言ってみたが、まあ何とかなるだろう。
 前の領主がよっぽど酷かったのか、村人たちは俺の予想以上に喜んでいた。
 うんまあ、喜んでくれるなら何より。俺は俺でやりたいことをやれるし、早速この世界を調べてみようかな。

 挨拶や説明が終わり、村人たちは明日から研究だぁと言いながら帰宅した。
 領主の屋敷前に残ったのは、俺とエリィとカリウスの三人。

「んじゃ、オレはいつも通り屋敷に泊まるかね。先入ってるぜ」
「ん、そっか」

 どうやら村にやってきた騎士は領主の屋敷に泊まるのが基本らしい。
 俺のマイホームが、男との二人暮らしになってしまう。俺一人じゃ狭いし丁度いいか。
 部屋はたくさんあるのでプライベートな空間が無くなったわけじゃない。アイテム鑑賞するためのスペースがあればそれでいいのだ。
 俺もさっさと寝てしまおうか。なんて思っていると、エリィが駆け寄ってきた。

「レクト……その、ありがとうね。色々」
「? うん、領主だしこのくらいはやっておかないとね」
「……おやすみ!」

 それだけ言うと、エリィは走り去ってしまった。なんなんだ。
 今日は本当に色々あって疲れた。こっそり設置したゲーム産のベッドで寝よう。
 明日から本格的な情報収集だ。
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