弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

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序章『始まりの領地』

006 コレクター、王都に向かう

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 村人たちに花の栽培を命じた数日後、俺は寝ぼけながら馬車に揺られていた。
 王国にある街、王都に向かっているのだ。カリウスがワイバーンの回収に来た王国軍と共に王都に帰ると言うので、それに同行させてもらった。

 目的は情報収集と、過去の俺についてなど。ついでに他のプレイヤー探しなども行う予定だったりする。
 トワ村での情報収集はどうだったのかって? あの屋敷ろくに本が無いんだもん。やる気無くなるよね。
 異世界転生の情報収集は王都の図書館が定番! この手に限る(この手しか知りません)

「いいのか? 村は放っておいて」
「大丈夫大丈夫。何かあった時のために罠を仕掛けたから」

 トワ村を守るゴーレムを設置しておいた。敵意がある者を見つけ次第俺に報告がいくアイテムだ。
 それに、もし本当に何かあったら俺が直接助けに行く。〈空間移動テレポート〉で一瞬だ。
 この魔法を使って宅急便とかやったら儲かりそう。コレクターの宅急便。しまった、黒猫がいない。

「ほお。途中から思ってたけど、聞いてた話とだいぶ違うよなぁ、レクト」
「どんな?」

 この世界では、俺は貴族という設定だ。
 俺がこの世界に転生する前に、俺はこの世界にいたことになっている。
 なので、過去の俺が何をしたのかはよく知らない。
 領主を引き受けている時点で、少なくとも本質は変わっていないはずなのだ。さらに、俺が強力な魔法を使えること、様々なアイテムを持っていることは知られていない。
 上手く隠していたのか、そもそも過去の俺は『トワイライト』から引き継いだ魔法やアイテムを持っていなかったのか。

「なんでも変わり者の落ちこぼれ。自由奔放な底辺貴族」
「俺じゃん」

 やはり俺だった。

「そうかぁ? オレは“落ちこぼれ”って部分が気になって仕方ないんだ。あんな種の研究してたのに落ちこぼれっておかしいだろ」

 ……確かに。新種の種を持っている底辺貴族がいるものか。
 カリウスは新種の種を研究していたのなら落ちこぼれになどならない。そう思ったのだろう。
 だが、カリウスは一つ勘違いをしている。優れていようが、立場によっては落ちこぼれになるのだ。
 まあ現実の俺は特に優れてげふんげふん。

「……誰も俺を認めてくれなかったからねー」
「あー……そういうことか」

 ようやく理解したようで、カリウスは苦虫を噛み潰したような顔をした。
 どこの世界でも、正しい評価が下されないということはあるんだなぁ。現実から逃げてゲームやってたのに、異世界で底辺になってるのなんで?
 てかなんで異世界にいるの俺。なんだこの状況。楽しいじゃん。

「レクトは……領主になって何をしたいんだ?」
「権力を手に入れる」
「おお、大きく出たな」

 今の目標がそこなのだから仕方ない。
 やろうと思えばアイテムを使いまくってチートの限りを尽くせるのだが、それは何か気に入らない。
 あくまでゲーム内で手に入れた力、アイテムだからだろう。やるとしても、そんな力で人を迷惑させたくない。
 だから、俺は貴族として権力を手に入れる。
 それに、過去の俺とはいえ領主をやると言ったのは俺なのだ。その責任は持つ。
 自分の所有物は大切にするのがコレクターというものなのだ。

「カリウスはどうなん? どうして騎士になったの? どうなりたい?」
「どうなりたいか……守れるものを守りたい、だな。理由は秘密だ」

 きっと騎士を目指す大きな理由があったのだろう。
 家系的に騎士になるって人はいるかもしれないが、カリウスはそういう流れでなったわけではないらしい。
 誰かに影響された、って感じかな。こいつの方が主人公なんじゃないかな。いや俺が主人公的な立場なのも変な話なんだけども。

「守れるもの……特定の誰かとかじゃなく?」
「特定の誰かか……特に思いつかねぇんだよなぁ、王様には悪いけど」

 それは確かに悪いね。騎士って王様を守るためにいるんだから。
 だが、そのくらいの意気込みの方が信頼できるというもの。変に忠誠心が高いと面倒なことになる。
 ソースは大体の創作。なんで勘違いして主の邪魔してしまうん。

「ああそうだ、目標はあった。その特定の誰かというか、特定の何かを決めることだ。適当に村を歩き回って警備すんのは飽きた」
「飽きたって。そんなんでいいの?」
「守れればいいんだよ。守りたいって少しでも思ったならな」

 守りたい、かぁ。
 タンカーのシルガルドさんもそんなこと言ってたな。誰かの役に立っていると感じたい。だとかなんとか。
 その気持ちは悪いことではないだろう。承認欲求なんて誰にでもあるのだ。俺もアイテム自慢しまくってウザがられてたし。
 むしろ、誰かの役に立っていない俺なんかよりももっと素晴らしい承認欲求だと思う。アイテムコレクターなんて、基本は俺一人で完結する話なのだ。アイテムを引き継ぐ人がいれば話は別だけど。

「見えてきたぞ、ロンテギア王国だ」

 そんなこんなで、馬車の窓から大きな王城が見えてくる。トワ村からそこまで離れていないのは嬉しい。そのうちトワ村とパイプが繋がるのだ。
 ロンテギア王国。世界にただ一つの、人族が統べるたった一つの小さな国だ。
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