弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

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第二章『黄金の羊毛編』

078 コレクター、悪魔に会う

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 郊外へ出た俺は、引き続き獣人を刺しながら先頭の獣人を探していた。
 足が速い獣人が多いのか、先頭はまだまだ先だ。
 そんな中、倒しながらもあることに気付いた。

「なんか、やけに人がいないなぁ」

 そう、住民がいないのだ。
 騒ぎで逃げているのなら分かるが、郊外とはいえ大きな街の一部。民家もちらほらあるにもかかわらず住民は一切見かけなかった。
 不気味に思いながら走ると、目に見える範囲の獣人が林に入っているのが見えた。
 あそこにいるのか。よし、慎重に入ろう。

「よし、この先に……っ!?」

 林に入った瞬間周りの景色が一転、暗い空間に変わった。
 視界が暗くなる状態異常……ではなさそうだ、目の前を走る獣人は相変わらず見える。
 しかし先程まであった木々がない。そのまま走ってしまえばぶつかってしまうはずだが……こちらも当たらない。
 混乱しながらも目の前の獣人を倒していく。あれ、急に獣人がこっち向いて……てか、その先に誰か……

「初めまして~、レクト様っ」
「……誰?」

 目の前にいたのは、ピンク色の髪の毛が特徴的な悪魔族だった。
 黒くきわどい服を着ていて、悪魔の角、尻尾、翼が生えている。

「あたしはリスティナ! よろしくね!」
「その獣人は君が従えてるの?」
「そうだよっ。もっと宝石が手に入ると思ってたんだけど……やっぱりレクト様はすごいね~」

 俺の何を知っているのか。リスティナはキャハハと笑いながらこちらを見つめてくる。
 やけに視線が激しい。こちらの動きを警戒しているのか?

「ここはどこ? どういうつもり?」
「ここはね、あたしが作った空間なの。二人っきりで話してみたかったんだぁ~」

 空間作成魔法……〈空間作成スペースクリエイト〉か?
 だがあれは個室が欲しいときなどに使われる魔法であり、一瞬で閉じ込めることはできなかったはず。
 そうなると独自の魔法か、悪魔なら未知の魔法を扱っても不思議ではない。

「二人っきりの割には部外者が多いみたいだけど?」
「これは何の口出しもしないし、何も記憶しないから大丈夫だよ~」

 これ、ね。
 今操られている獣人たちは全員この国の国民だ。それを物扱いとは、末恐ろしい。

「そっちは俺のこと知ってるみたいだけど、俺は君のことを知らないんだ。何者なの?」
「そうだなぁ~……じゃあ、バーンっ!」

 リスティナは人差し指を前に、親指を上に出してこちらに向けてくる。所謂拳銃の形だ。
 そして、バーンと言うと同時に手首を動かす。何かを撃ち出したのだろうか。
 咄嗟に避けると、身体の横に魔力を感じた。見えなかった。
 見えない……魔法……? まさか!

「ふふっ、そのまさかだよぉ~? あの時、王子様と戦ってたレクト様を撃ったのはあたしなのっ」
「なんでそんなことしたのさ」
「だってそうでもしないと勝っちゃうでしょ~? まあ、結局勝ったんだけど、そんなレクト様も素敵っ!」

 ここに来てルディオ戦での謎の麻痺毒の正体を知ることになるとは。
 見えない、消滅する針でも使われたのかと思っていたが、本当に見えない魔法とは。
 しかしモーションが無いと撃ち出すことができないのか、リスティナは透明な麻痺毒魔法を使ってこなかった。

「後は~……ああ、ロンテギアを襲ったよぉ~」
「やっぱり君がやったんだ」

 もう驚くことはなかった。
 初見で悪魔だと気づいてから、もう完全にそう決めつけていた。
 ここで取り乱しはしないが、小さく怒りは湧いてくる。国宝を奪ったのは目の前にいる悪魔なのだ。

「うんっ! あの国宝が簡単に手に入っちゃったよぉ~。警備も雑でさぁ、大人しく他の種族の支配下に入ればいいのにね~」
「人間は進化する生き物だよ。今回失敗しても、また強くなれる」

 最も、それが取り返しのつかない失敗になることもあるが、それは他の種族も同じだ。
 何故力のない人間族がまだ国として残っているか、それは生き残る術を持っているからだ。単純な強さ意外にも取り柄はある。

「レクト様のいた世界なら確かにそうかもだけど、ここは人間以外の種族がいるんだよぉ~? 無駄な努力なんて滑稽だよぉ~」

 俺のいた世界……?
 つまり、日本。いや、地球のことか。
 やはりジャスターと同じく裏の神との繋がりがあるらしい。

「……俺のどこまで知ってるの?」
「全然知らない! だからいっぱい知りたいのっ!」

 おそらく、リスティナが知っているのは俺が日本出身であるということだけだろう。
 それ以外は、この世界での俺の行動か。どうやら俺の過去は知られていないらしい。ここで出身校とか言われたらビビりまくってた。

「それでもあの戦いを見たなら俺の強さはある程度知ってるよね? 流石にこっちの方が魔法も上だと思うんだけど」

 こちらは第五魔法まで使えるのだ。
 相手の神はそこまでの魔法は使えないはずなので、その下にいる彼女は神よりも弱いということになる。
 もちろん、下にいるだけで神よりも強い可能性はあるが。

「もちろん、正面からは倒せないよぉ~」
「なら……」
「それでも、あたしはレクト様が欲しいの」
「欲しい?」

 欲しいとはどういうことだろう。
 並んでいる獣人のように、操って駒にしたいということだろうか。

「そうそう! 一目惚れ、ってやつ!」
「はぁ……? ちょっと言ってる意味が分からないんだけど……どういうこと?」
「えっとねぇ~……倒すんじゃなくて、捕まえたいの! あたしの物になって?」
「嫌だよ!」

 レイザーさんとの話で出てきた通り、自由の無い世界は俺には合っていないのだ。
 俺は物を大切にするが、物にはなりたくない。愛でる側でいたい。

「あはっ! そう言うと思った! だからね、出てきて」

 奥から人影が現れる。
 剣を持っているシルエットからして剣士だろうか。耳は普通で獣人でもエルフでもない。
 やがて人影がはっきりと見えるようになる。髪色、顔つきまではっきりと。

「レクト、コロス、オマエダケハ、コロシテヤル」

 あの金髪……あの顔……まさか……

「ルディオ……?」
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