弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

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第2.5章『魔王懐柔編』

114 騎士、仲間の元に向かう

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* * *

「――と、いうわけでルインが協力してくれることになったよ」
「よろしくぅ!!!」
「どういうことだよ!?」

 めっちゃ簡単にルインが仲間になった流れを説明したのだが理解してもらえなかったようだ。
 まず、ルインは未来視を持っていて世界が滅びる光景を見てしまい俺に諦めさせようとした、そこで俺はルインに勝負を挑み勝ったほうの提案を飲むということになった。
 んで、俺が勝ったからルインはめでたく仲間になりましたと。うん、分かりやすい。分かりやすいけど意味わかんないね。

「んー、どう説明すればいいのか。とにかく、ルインが仲間になって戦力が増えたってことだよ」
「よくわからんが、大丈夫なんだな?」
「うん。大丈夫大丈夫。さ、早く寝てトワ村に帰ろう」

 流石に俺がルインを道具にした、と伝えた場合確実に誤解を招くので言わなかった。
 ルインとの戦闘がどのようなものだったのかも伏せさせてもらった。他国の山に隕石落としましたとか問題行動以外の何物でもない。今気づいちゃったんだけどとんでもないことしてるんじゃないの俺。
 何はともあれ、カリウスには納得してもらえたし、あとはエリィやドレイクにも説明して終わりだね。正式に仲間になったとだけ伝えても大丈夫そう。というかそう報告させて。

* * *

 翌日、目覚めた俺は朝食を食べながら今日のことを考えていた。
 帰ったらまた話し合いをしてロンテギアの戦力強化などに力を入れるようにしなければ。

「なあレクト、今日ちょっといいか?」
「ん?」

 醤油欲しいなぁなんて思いながら目玉焼きを口に運んでいると、カリウスがそんなことを言い出した。

「この前話した、オレの騎士仲間が死んだ話あるだろ? その時の場所に寄りたくてな。墓参りは昨日したし、今日は改めてオレの原点を見に行きたいんだ」

 ふむ、昨日行ってなかったってことはふと思いついたのだろう。
 俺は構わないがルインは……まあ俺が決めることになるか。

「あたしはレクトくんが行くなら行くよ」

 やはり、ルインの行動は俺次第のようだ。
 これはこれで大変そうだぞ、でもあやふやに命令して問題起こされるのもなぁ。難しいところだ。

「そっか。ならお昼まではカリウスについていこうかな」
「助かる。それじゃあ早速いいか?」

 朝食を食べ終えた俺たちは、カリウスのトラウマである場所に向かうことになった。
 今日の天気は曇り。まだ朝だというのに、辺りは薄暗く重い雰囲気が漂っていた。
 もうすぐ雨が降る、そんな天気だ。急いで向かわなければ雨に打たれてしまう。

「あの日もこんな天気だった。何か嫌な予感がして、胸がざわざわしてたんだ」

 歩いている途中で、カリウスがそう呟いた。

「それでもオレたちは警戒をしていなかった。どうせ大丈夫だってな。馬鹿だよな本当に、大事な任務なのに……」
「後悔しても仕方ないよ。問題はこれからどうするかだと思う」
「……だな。さ、降られたら困るし、早く行こうぜ」

 早足になったカリウスは、そう言いながら先に向かってしまった。
 俺とルインはその背中を追いかける。こちらも必然的に早歩きになった。
 焦っている?いや、ただ急いでいるだけか。
 郊外に出て、門をくぐった先に道が見える。普段は通る機会の無い道だ。この道で事件が起こったのだろう。

「この先だ」

 先程の早足とは違い、ゆっくりと地面を踏みしめるカリウス。
 いざ目の前にして足が重くなっているのだ。本当は行きたくないのだろう。これ以上思い出したくないのだろう。
 でも、しっかりとその現実を思い出さなければならないと自分に言い聞かせているのだそれが原動力であるから、行かなければならない。

「見えた、あの木の辺りだ」

 遠くに見えたのは、一本の木だった。
 この辺りは高低差の激しい丘が多く、森は少ない。なのであの一本の木がやけに目立っている。
 山賊がここで現れたのは、隠れやすく開けている土地だったからだろう。

「このお墓は?」

 一本の木の周辺には、石でできた墓標がいくつか見られた。
 カリウスは昨日お墓参りにいったはず、ではこのお墓はなんだろうか。

「これはあいつらの一つ目の墓だ。ここで死んだわけだからな、死体は王都にある墓に埋まってるけどな」
「なるほど、それで……」

 死んでからお墓に入るまでに時間があったのだろう。先に作られた墓がここなのだ。
 貴族の墓は……流石にここには無いか。ってことは王都かな。
 カリウスはしばらく無言で墓を見つめていた。思い出しているのだろうか、時々苦しそうな顔をする。

「ねえレクトくん。馬車が来てるよ」

 興味なさげなルインが遠くから来ている馬車に気付いたようだ。
 今俺たちは道の上に立っている。このままでは馬車が通れなくなってしまう。墓の前に立つのなら道の上に立つ必要はないので避けた方がいいだろう。

「ほんとだ。カリウス、避けよう」
「あ、ああ……」

 放心状態だったカリウスは言われるがままに道から外れる。
 馬車が通り過ぎるのを待っていると、その馬車は目の前で止まった。
 あれ、なんで止まったの?

 馬車の中から出てきたのは、高級そうな服を着た女性だった。

「あら? 貴方は……」
「っ、どうして、ここに……?」

 どうやらカリウスの知り合いらしい。俺は当然知らない人なので黙っていよう。そう、俺は木だ。

「お母様ー、誰とお話しているのですか?」

 続けて馬車から人が出てくる。
 女性の子供だろうか。小学校高学年くらいの年齢の子供だ。

「騎士のお兄ちゃん?」
「お、お久しぶりです。大きくなりましたね」

 これまた面識があるらしい。

「カリウス、この人達ってもしかして……」
「ああ、想像通りだよ」

 やっぱり、ここで死んでしまった貴族の妻と子供か。
 まさか今日この人達と出会うとは。運がいいのか悪いのか。
 とりあえず、カリウスのメンタルが心配になってきた。少しは会話に参加しようかな。
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