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ふたりは狩りキュア
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干し肉が消えた。
その事実に、私の精神は著しく消耗され……るということはないのだが、理由が知りたくてうずうずしている。
「およ、どしたの」
「干し肉が減ってるんだ!」
「減ってるって……なんで?」
それを知りたいのだ。袋から飛び出したとか? 干し肉が突進したの? そんな馬鹿な。
「ちょっと、さっきキラーラビットの肉って言ってたわよね? なら、消えるのは当たり前じゃない」
「えっ」
「えっちゃんボスの肉じゃなくてキラーラビットの肉使ったの? なら消えちゃうでしょー」
「えっえっ、なんで?」
逆にボスの肉なら消えなかったということ?
「あのねエファちゃん。魔物の死体は、時間が経つと魔力になって消えるのよ」
「なんだってーーー!!!」
事件解決。
いやなにそれ、初耳なんですけど。確かに魔物の死体を長時間放置したことはないけど、消えるのか。
あの時キラーラビットを燃やして埋めたのは意味なかった? でも濃い魔力が蔓延してたら他の魔物が集まって危ないし一か所に大量に死体があるのはよくないから結果的に意味はあるか。
「さっきもキラーラビットの肉を食べたと話してくれていたけど、その場で食べれば体内で魔力になるはずだから無駄にはなっていないわ、安心して。ただ、食べ物が消化されるよりも早く胃の中から消えるから空腹感は増えるでしょうね」
「だからかぁ……ボスの肉を干し肉にすればよかった……」
ただ、魔力にはなるのか。魔力を回復する手段がないときには使えるかもしれないね。
だとしても干し肉は完全に無駄にした! わざわざ魔術で干し肉を作ったのに消えちゃったよ!
「じゃあお腹空いたしご飯にしようよ」
「そうね、しばらく待っててくれる?」
こうして、私とポコは夕飯を食べることになった。
セルコンさんがお皿に盛りつけられた肉料理をテーブルに置く。ハンバーグだ。ソースにはキノコが入っており、香りが食欲を誘う。さらに、キノコのスープに、キノコの炒め物。
まとめると夕飯のメニューはハンバーグとキノコとキノコ。キノコだらけじゃないか!
「あ、これ美味しい……」
「ふふ、このキノコは魔力が回復する不思議なキノコよ。魔力を使った日こそ、こういう料理で回復するの。そうしたら明日に響かないわ」
「魔力が回復するぅー」
明日旅に出る私達を後押しするために、このような料理を作ってくれたのだろう。今日は魔術を使ったからこれは助かる。でもキラーラビットの肉を食べたおかげかすでに魔力を使った後の気怠さはない。
ということは明日は絶好調ということ。ポコの魔術に頼ってしまおう。
「ハンバーグも美味しいです」
「ハンバーグは固い肉でも柔らかく食べられるから、旅の料理でもおすすめよ」
「なるほど……確かに」
今日食べたボス……青の白兎の肉は固かった。たまたま殴った部分が少し柔らかくなっただけで、それ以外の部分は食べるにしても焼くだけじゃ髪切れなさそうだった。
なら、ハンバーグにしてしまえばよかったのだ。少し勿体ないことをしたな、なんて思ったが仕方ないか。次からはもう少し調達しよう。そうしよう。
「そういえば、旅をしながら魔獣を食べるのよね? それなら、ダガーだけじゃ武器が心もとないわ。王国に行ったら武器屋か鍛冶屋があるはずだし、行ってみたらどう?」
「流石に魔獣と戦うなら武器が必要ですよね……」
今回はたまたま運が良かっただけ。そう、本当にたまたま運が良かっただけなのだ。
本来魔獣とはもっと身体が大きく、かつ凶暴なのだ。話に聞いただけだが。
とにかく、魔獣は巨大で凶暴という話を聞いていたため、青の白兎が魔獣だとは思えなかったのだ。
美味しかったから魔獣かなと思ってしまう私って……。
「わたしも補助に慣れないと」
「先は長いね。ま、どうせ旅は長いんだから気楽にいこうよ」
「そうだねー」
武器を手に入れるのにもお金がいる。村で用心棒をしていた人の武器はランスだったか。あんなに大きい槍を振り回すとか考えられない。人の可能性すごい。
「私ももう少し挑戦してみようかしら」
「えっ!? お母さん何かするの!?」
「ふふ、ポコが旅に出たら私暇になっちゃうもの。なにか思い切ったことをしてみたいのよ」
「そっか……わたしが旅に出たらお母さんが一人に……」
確かにそうだ。この家でセルコンさんは一人になる、それはとても寂しいことだろう。
私の家も、私が居なくなるだけでどれだけ変化することか。旅に出たばかりなのに、こういうことを考えてしまうのはよくないかな。きっと、家族は私が居なくても毎日にぎやかだろう。
それはそれでどうなんだ。
「だ、大丈夫よ! 定期的にお父さんは帰ってくるし、最近は魔術を習いたいって子が何人か……あっ、そうよ、今決めたわ。私、街の子供たちに魔術を教えるわ」
「ええっ!? いいんですかそんないきなり決めて」
魔術を教える……確かに、簡単な魔術ならば教えておいた方がいいだろう。火を出せるだけで生活は大きく変わる。私も魔術を覚えたときは感動した。
ちなみに、魔術は例の村に来た旅人が教えてくれた。最も、その旅人も簡単な魔術しか使えなかったのだが。
「いいのいいの、どうせ錬金術を研究して新しい錬金術を見つけたら王国に報告するって生活だし、魔物退治も任されたりするもの。娘が挑戦するなら私も負けていられないわ」
「私達も頑張ろうね」
「うんっ!」
そう改めて気合を入れなおし、食事を続けた。
そして次の日、食糧や荷物を準備した後、王国の場所を確認しながら私とポコは旅に出たのだった。
その事実に、私の精神は著しく消耗され……るということはないのだが、理由が知りたくてうずうずしている。
「およ、どしたの」
「干し肉が減ってるんだ!」
「減ってるって……なんで?」
それを知りたいのだ。袋から飛び出したとか? 干し肉が突進したの? そんな馬鹿な。
「ちょっと、さっきキラーラビットの肉って言ってたわよね? なら、消えるのは当たり前じゃない」
「えっ」
「えっちゃんボスの肉じゃなくてキラーラビットの肉使ったの? なら消えちゃうでしょー」
「えっえっ、なんで?」
逆にボスの肉なら消えなかったということ?
「あのねエファちゃん。魔物の死体は、時間が経つと魔力になって消えるのよ」
「なんだってーーー!!!」
事件解決。
いやなにそれ、初耳なんですけど。確かに魔物の死体を長時間放置したことはないけど、消えるのか。
あの時キラーラビットを燃やして埋めたのは意味なかった? でも濃い魔力が蔓延してたら他の魔物が集まって危ないし一か所に大量に死体があるのはよくないから結果的に意味はあるか。
「さっきもキラーラビットの肉を食べたと話してくれていたけど、その場で食べれば体内で魔力になるはずだから無駄にはなっていないわ、安心して。ただ、食べ物が消化されるよりも早く胃の中から消えるから空腹感は増えるでしょうね」
「だからかぁ……ボスの肉を干し肉にすればよかった……」
ただ、魔力にはなるのか。魔力を回復する手段がないときには使えるかもしれないね。
だとしても干し肉は完全に無駄にした! わざわざ魔術で干し肉を作ったのに消えちゃったよ!
「じゃあお腹空いたしご飯にしようよ」
「そうね、しばらく待っててくれる?」
こうして、私とポコは夕飯を食べることになった。
セルコンさんがお皿に盛りつけられた肉料理をテーブルに置く。ハンバーグだ。ソースにはキノコが入っており、香りが食欲を誘う。さらに、キノコのスープに、キノコの炒め物。
まとめると夕飯のメニューはハンバーグとキノコとキノコ。キノコだらけじゃないか!
「あ、これ美味しい……」
「ふふ、このキノコは魔力が回復する不思議なキノコよ。魔力を使った日こそ、こういう料理で回復するの。そうしたら明日に響かないわ」
「魔力が回復するぅー」
明日旅に出る私達を後押しするために、このような料理を作ってくれたのだろう。今日は魔術を使ったからこれは助かる。でもキラーラビットの肉を食べたおかげかすでに魔力を使った後の気怠さはない。
ということは明日は絶好調ということ。ポコの魔術に頼ってしまおう。
「ハンバーグも美味しいです」
「ハンバーグは固い肉でも柔らかく食べられるから、旅の料理でもおすすめよ」
「なるほど……確かに」
今日食べたボス……青の白兎の肉は固かった。たまたま殴った部分が少し柔らかくなっただけで、それ以外の部分は食べるにしても焼くだけじゃ髪切れなさそうだった。
なら、ハンバーグにしてしまえばよかったのだ。少し勿体ないことをしたな、なんて思ったが仕方ないか。次からはもう少し調達しよう。そうしよう。
「そういえば、旅をしながら魔獣を食べるのよね? それなら、ダガーだけじゃ武器が心もとないわ。王国に行ったら武器屋か鍛冶屋があるはずだし、行ってみたらどう?」
「流石に魔獣と戦うなら武器が必要ですよね……」
今回はたまたま運が良かっただけ。そう、本当にたまたま運が良かっただけなのだ。
本来魔獣とはもっと身体が大きく、かつ凶暴なのだ。話に聞いただけだが。
とにかく、魔獣は巨大で凶暴という話を聞いていたため、青の白兎が魔獣だとは思えなかったのだ。
美味しかったから魔獣かなと思ってしまう私って……。
「わたしも補助に慣れないと」
「先は長いね。ま、どうせ旅は長いんだから気楽にいこうよ」
「そうだねー」
武器を手に入れるのにもお金がいる。村で用心棒をしていた人の武器はランスだったか。あんなに大きい槍を振り回すとか考えられない。人の可能性すごい。
「私ももう少し挑戦してみようかしら」
「えっ!? お母さん何かするの!?」
「ふふ、ポコが旅に出たら私暇になっちゃうもの。なにか思い切ったことをしてみたいのよ」
「そっか……わたしが旅に出たらお母さんが一人に……」
確かにそうだ。この家でセルコンさんは一人になる、それはとても寂しいことだろう。
私の家も、私が居なくなるだけでどれだけ変化することか。旅に出たばかりなのに、こういうことを考えてしまうのはよくないかな。きっと、家族は私が居なくても毎日にぎやかだろう。
それはそれでどうなんだ。
「だ、大丈夫よ! 定期的にお父さんは帰ってくるし、最近は魔術を習いたいって子が何人か……あっ、そうよ、今決めたわ。私、街の子供たちに魔術を教えるわ」
「ええっ!? いいんですかそんないきなり決めて」
魔術を教える……確かに、簡単な魔術ならば教えておいた方がいいだろう。火を出せるだけで生活は大きく変わる。私も魔術を覚えたときは感動した。
ちなみに、魔術は例の村に来た旅人が教えてくれた。最も、その旅人も簡単な魔術しか使えなかったのだが。
「いいのいいの、どうせ錬金術を研究して新しい錬金術を見つけたら王国に報告するって生活だし、魔物退治も任されたりするもの。娘が挑戦するなら私も負けていられないわ」
「私達も頑張ろうね」
「うんっ!」
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