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旅立ちの森
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狩人達は武器を持ち、魔獣の住まう西の森に降り立つ。
皆王国からある程度支給された物資を受け取り、各チームごとに散らばった。
「静かだ」
馬車のある方向は確認してある。帰るときはコンパスを使ってその方向に移動すれば大丈夫だろう。
この森には所々に開けた空間がある。時折魔獣が現れ住みやすく木を切り倒したりするらしく、現れるたびに狩っていたらいつしか点々と空間が生まれたのだとか。
だから、その空間を回りながら魔獣を探すといいらしい。
そう言えば、故郷の村の近くにあった山もいくつか空間ができていた。あそこも過去に魔獣が現れたのだろう。
「これ、飲んでおいた方がいいかな?」
ポコがバッグから黄色いポーションを取り出した。馬車の中で飲んでいた緑色のポーションとは別らしい。
ということは魔力関係ではないのかな。
「何のポーションだっけそれ」
「一時的に疲れにくくなるポーション。探すのにも戦うのにも必要かなって」
「うーん……支給されたのは一個だけだしなぁ」
確かに探すのにも体力は必要だ、森を走り回るのだから。
だが、疲れにくくなるのは一時的にだけ。見つかるころには効果が切れているかもしれない。ここは慎重に使いたい。
この狩猟には制限時間もある。馬車の手配が関係しているのだ。
左手首につけられた腕輪、そこに石がはめられている。本来は一日の時間によって色が変わる石をはめて使うのだが、今回はその石を取り外して二時間で色が変わる石を取り付けている。
この石の色が完全に変わったら狩りは終了。急いで馬車に戻らなくてはいけない。
「あ、なんかいるよっ!」
空間を見つけたところで、ポコが何かを見つける。
「あれは……小さいね」
身体の小さいデクセスが三頭集まっていた。
体の表面に泥やコケが生えた巨大なトカゲ、それがデクセスだ。
ポコが見つけたのはデクセスの特徴に似ているが、どうにも身体が小さい。それに、目も赤い。
もしやあれは、魔獣が近くにいる場合に現れる特殊な魔物ではないだろうか。
魔獣は大きな魔力を持っている。その魔力が空気中の魔力と合わさり、魔物が生まれやすくなる。
ラピットスの周りにキラーラビットが多く現れたのもこの影響だそうだ。と言っても、キラーラビット自体は自然に現れるらしいが。
「ナーフデクセスだったかな、魔物として生まれた小型のデクセス」
このタイプの魔物は魔獣の近くにいることが多い。それなら、近くにいるかもしれない。
「手始めに戦ってみようよ!」
「いいけど、魔力は大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、あのポーションなくても問題ないくらいだもん」
魔力お化けじゃん、お兄さん相手に結構魔力使ったものだとばかり。
いや、もしかしたらあの弓は少ない魔力で光の矢を放つことができるのかもしれない。それに元々多いポコの魔力を合わせれば最強である。もう何も怖くない。
「よし、準備運動だね。やろう」
「やった!」
黄色いポーションを飲んだのち、ポコがマジックボウを、私がアイアンナックルを装備しナーフデクセスに近づく。
私が走り出すと同時に、ポコが矢を放つ。一頭目、先頭にいたナーフデクセスに着弾。ひるんだ時にナーフデクセスが腹を見せていたので、そこに当てる。強烈な一撃がナーフデクセスの腹に叩き込まれる。
「ギャウッ」
爪を出さなかったため、衝撃の方が大きく、一頭目は遠くに吹き飛ばされる。
それに反応した二頭が私に攻撃をしようとするが、その前にポコの矢が二頭目に直撃する。
「どりゃあああ!!!」
二頭目も爪を出さずに殴り吹き飛ばし、三頭目と向かい合う。
「ポコ! 飛ばした二頭お願い!」
「りょーかい!」
飛ばした二頭がこちらに向かってくる前に、ポコが矢を当てる。あの二頭はポコに任せて、私は残りの一頭を倒す。
爪を出し、拳を構える。
「ギャオォォォウ!!」
あちらから先に攻撃を仕掛けてきた。トカゲ特有の長い体を使い、タックルをしてくる。
私はそれを下がりながら回避しようとする。が、このナーフデクセス、なかなかにタックルの距離が長い。足を動かすのが速くなり、転びそうになる。
だが、なんとか手をついて一回転。体勢を立て直す。
「だりゃあああ!」
少し離れたため、思い切り地面を蹴り、一気に距離を詰める。
攻撃が入る間合いに入った瞬間、身体を殴る。多少弾かれるが、なんとか殴りぬく。爪の当たった場所の泥やコケが剥がれた。あれが魔力を纏った装甲なのだろうか。
ならば、そこに一気に攻撃をする。
「らあっ! はっ! はああああっ!!」
「ガウォォォ!」
攻撃をすればするほど、相手の魔力が削れるのがわかる。どんどん柔らかくなっていく。
そして、ひるみ続けた末に爪がナーフデクセスの身体に突き刺さった。チャンスとばかりにそのまま背中に向けて引き裂く。
「ガ……ガボァッ」
血が流れ出る。横に倒れたナーフデクセスは口から血を吐き出すと、そのまま動かなくなった。
よし、倒した。
「そっちはー?」
ポコのほうを見ると、既に二頭を倒し終わっていた。
「終わったよー、えっちゃんの殴りで魔力がかなり削れたみたいで、楽に攻撃が通ったんだー」
最初の攻撃だから気合が入って、かなり強く殴っちゃったんだよね。
それに、爪を出していないときは力が入りやすい。爪を出すと、思いっきり力を入れるのが難しくなる。
魔力を削るときは殴った方がいいのかもしれない。
「このままの勢いでデクセスも倒したいな」
「だねー、まあそう簡単に見つかるとは思えないけど――――――!?」
ドス、ドスと足音が聞こえる。地面が揺れるほどの足音、相当の巨体だ。
恐る恐る振り向く。
「ギャオオオオオオォォォォォォォォウ!!!!!」
巨大なデクセスの咆哮が響く。声でっか。
見たことのない大きさの生き物に開いた口が塞がらない。チラリとポコの顔を見ると、ポカンとした顔をしていた。多分私も同じ顔をしているんだろうな。
そして、こういう時に叫ぶ言葉はただ一つ。
「で……」
「でっ……」
「「でかああああああい!!!!」」
説明不要ッ! 突撃してくるデクセスを、二人で避ける。
戦闘開始、戦闘開始!!!
ナーフデクセスとの戦闘から休む暇なく本番だ。目的は目の前にいる。
こいつを倒して、本当の狩猟生活が始まる。
皆王国からある程度支給された物資を受け取り、各チームごとに散らばった。
「静かだ」
馬車のある方向は確認してある。帰るときはコンパスを使ってその方向に移動すれば大丈夫だろう。
この森には所々に開けた空間がある。時折魔獣が現れ住みやすく木を切り倒したりするらしく、現れるたびに狩っていたらいつしか点々と空間が生まれたのだとか。
だから、その空間を回りながら魔獣を探すといいらしい。
そう言えば、故郷の村の近くにあった山もいくつか空間ができていた。あそこも過去に魔獣が現れたのだろう。
「これ、飲んでおいた方がいいかな?」
ポコがバッグから黄色いポーションを取り出した。馬車の中で飲んでいた緑色のポーションとは別らしい。
ということは魔力関係ではないのかな。
「何のポーションだっけそれ」
「一時的に疲れにくくなるポーション。探すのにも戦うのにも必要かなって」
「うーん……支給されたのは一個だけだしなぁ」
確かに探すのにも体力は必要だ、森を走り回るのだから。
だが、疲れにくくなるのは一時的にだけ。見つかるころには効果が切れているかもしれない。ここは慎重に使いたい。
この狩猟には制限時間もある。馬車の手配が関係しているのだ。
左手首につけられた腕輪、そこに石がはめられている。本来は一日の時間によって色が変わる石をはめて使うのだが、今回はその石を取り外して二時間で色が変わる石を取り付けている。
この石の色が完全に変わったら狩りは終了。急いで馬車に戻らなくてはいけない。
「あ、なんかいるよっ!」
空間を見つけたところで、ポコが何かを見つける。
「あれは……小さいね」
身体の小さいデクセスが三頭集まっていた。
体の表面に泥やコケが生えた巨大なトカゲ、それがデクセスだ。
ポコが見つけたのはデクセスの特徴に似ているが、どうにも身体が小さい。それに、目も赤い。
もしやあれは、魔獣が近くにいる場合に現れる特殊な魔物ではないだろうか。
魔獣は大きな魔力を持っている。その魔力が空気中の魔力と合わさり、魔物が生まれやすくなる。
ラピットスの周りにキラーラビットが多く現れたのもこの影響だそうだ。と言っても、キラーラビット自体は自然に現れるらしいが。
「ナーフデクセスだったかな、魔物として生まれた小型のデクセス」
このタイプの魔物は魔獣の近くにいることが多い。それなら、近くにいるかもしれない。
「手始めに戦ってみようよ!」
「いいけど、魔力は大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、あのポーションなくても問題ないくらいだもん」
魔力お化けじゃん、お兄さん相手に結構魔力使ったものだとばかり。
いや、もしかしたらあの弓は少ない魔力で光の矢を放つことができるのかもしれない。それに元々多いポコの魔力を合わせれば最強である。もう何も怖くない。
「よし、準備運動だね。やろう」
「やった!」
黄色いポーションを飲んだのち、ポコがマジックボウを、私がアイアンナックルを装備しナーフデクセスに近づく。
私が走り出すと同時に、ポコが矢を放つ。一頭目、先頭にいたナーフデクセスに着弾。ひるんだ時にナーフデクセスが腹を見せていたので、そこに当てる。強烈な一撃がナーフデクセスの腹に叩き込まれる。
「ギャウッ」
爪を出さなかったため、衝撃の方が大きく、一頭目は遠くに吹き飛ばされる。
それに反応した二頭が私に攻撃をしようとするが、その前にポコの矢が二頭目に直撃する。
「どりゃあああ!!!」
二頭目も爪を出さずに殴り吹き飛ばし、三頭目と向かい合う。
「ポコ! 飛ばした二頭お願い!」
「りょーかい!」
飛ばした二頭がこちらに向かってくる前に、ポコが矢を当てる。あの二頭はポコに任せて、私は残りの一頭を倒す。
爪を出し、拳を構える。
「ギャオォォォウ!!」
あちらから先に攻撃を仕掛けてきた。トカゲ特有の長い体を使い、タックルをしてくる。
私はそれを下がりながら回避しようとする。が、このナーフデクセス、なかなかにタックルの距離が長い。足を動かすのが速くなり、転びそうになる。
だが、なんとか手をついて一回転。体勢を立て直す。
「だりゃあああ!」
少し離れたため、思い切り地面を蹴り、一気に距離を詰める。
攻撃が入る間合いに入った瞬間、身体を殴る。多少弾かれるが、なんとか殴りぬく。爪の当たった場所の泥やコケが剥がれた。あれが魔力を纏った装甲なのだろうか。
ならば、そこに一気に攻撃をする。
「らあっ! はっ! はああああっ!!」
「ガウォォォ!」
攻撃をすればするほど、相手の魔力が削れるのがわかる。どんどん柔らかくなっていく。
そして、ひるみ続けた末に爪がナーフデクセスの身体に突き刺さった。チャンスとばかりにそのまま背中に向けて引き裂く。
「ガ……ガボァッ」
血が流れ出る。横に倒れたナーフデクセスは口から血を吐き出すと、そのまま動かなくなった。
よし、倒した。
「そっちはー?」
ポコのほうを見ると、既に二頭を倒し終わっていた。
「終わったよー、えっちゃんの殴りで魔力がかなり削れたみたいで、楽に攻撃が通ったんだー」
最初の攻撃だから気合が入って、かなり強く殴っちゃったんだよね。
それに、爪を出していないときは力が入りやすい。爪を出すと、思いっきり力を入れるのが難しくなる。
魔力を削るときは殴った方がいいのかもしれない。
「このままの勢いでデクセスも倒したいな」
「だねー、まあそう簡単に見つかるとは思えないけど――――――!?」
ドス、ドスと足音が聞こえる。地面が揺れるほどの足音、相当の巨体だ。
恐る恐る振り向く。
「ギャオオオオオオォォォォォォォォウ!!!!!」
巨大なデクセスの咆哮が響く。声でっか。
見たことのない大きさの生き物に開いた口が塞がらない。チラリとポコの顔を見ると、ポカンとした顔をしていた。多分私も同じ顔をしているんだろうな。
そして、こういう時に叫ぶ言葉はただ一つ。
「で……」
「でっ……」
「「でかああああああい!!!!」」
説明不要ッ! 突撃してくるデクセスを、二人で避ける。
戦闘開始、戦闘開始!!!
ナーフデクセスとの戦闘から休む暇なく本番だ。目的は目の前にいる。
こいつを倒して、本当の狩猟生活が始まる。
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