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尾泥竜デクセス
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デクセスの攻撃を避けた後に、ポコと顔を合わせる。同時に頷き、ポコがデクセスから離れ、私がデクセスに近づく戦術に切り替えた。
「ギャオォォォォ」
「まずは……削るッ」
爪を出さないナックルモードに変更。そのまま、デクセスの固まった泥が付着した身体を殴る。
ガキンと、およそ泥とは思えない硬さの表面。おそらく、その泥にさらに魔力が集まり鎧のようになっているのだ。それを崩すには、ひたすら攻撃して魔力を削るしかない。
「らああああああ!!!」
今度は思い切り殴る。が、デクセスはどっしりとその場にとどまった。ナーフデクセスの時とは違う、明らかな体重の差。この体重では殴って距離を取る、なんてことはできないだろう。
その分デクセスの動きは鈍い。前足や尻尾の攻撃は速いが、全身を使った攻撃や方向転換には時間がかかる。こちらが大きく動けば、あちらものっしりと動くのだ。
「ガォォ! ギャ、オオオオオ!!!」
それを利用して隙を作る。隙の無い魔獣ではない、むしろ攻撃が当たりさえしなければ安全に攻撃ができる。
身体が大きい魔獣ほど、動くのには時間がかかるのだ。どの方向からでもこちらを攻撃できる魔獣でもない限り、この戦法が一番良いだろう。
回り込み、殴る。回り込み、殴る。その途中でポコの矢が当たる。
単純作業の繰り返し。だが、デクセスにも当然知能がある、こちらの動きを先読みして、拳を突き出そうとした瞬間に攻撃の動作に入る。私は攻撃をやめ、バックステップで避けようとするが、間に合わない。
右足に当たってしまった。数メートル飛ばされる。
それほどダメージがあるわけではないが、私が転んだのを見てポコがデクセスをひるませるべく一気にいくつもの矢を放った。
「しゃらあああああああ!!」
だからその掛け声はなんだ。そんなツッコミをする暇もなく、私は戦闘に戻る。
ポコの矢は複雑な軌道を描き、全弾命中。す、すごい。相変わらず魔力の矢の動きは意味不明だ。
今後あのような攻撃をしてくる魔獣が現れないことを祈りつつ、数発殴る。
「ギャオッ……」
すると、デクセスが私から少しだけ離れ、首を振った。嫌な予感がする。
「転がるよ!」
「…………っ! ありがと」
デクセスがナーフデクセスの時と同じようにタックルをする。身体が大きいから、その範囲も広い。
しかも、今度はただのタックルではない。身体そのものを回転させ、こちらに向かってくるのだ。しかもこの巨体だ、当然泥も飛び散る。
ポコが直前に教えてくれたため、ギリギリで避けることができた。
が、デクセスの身体を見て驚愕する。表面の泥が増えているのだ。
「ひゃーマジかよォっ!!」
なんてチャラく言ってしまうほどの驚きだ。だって頑張って削った鎧がまた復活したんだぜ? むりむりむりむりカタツムリ。
落ち着け、クールになれエファ。牧場育ち、毎日泥まみれになっていた私はよく知っている。身体に付いた泥はすぐには固まらないと。
ドロドロした表面にパンチを叩き込むのはなんか嫌だなぁと思いつつ、仕方がないと転がった後に体制を立て直しているデクセスを殴る。
「はっ……がれろおおおおおおおおお!!!」
右左と殴る。しかし、一発目のパンチが泥で滑ってしまい、そのまま自分の体重がかかって殴る位置がずれる。二発目のパンチは、後ろ足に当たった。
「ギャオォォォ!?」
一見失敗したようにも思えたが、体重のかかったパンチが足に直撃したことによりデクセスは転がった後よりもさらに体制を崩し、横になった。上手く立ち上がれないのか、前足や後ろ足をむやみやたらに動かしている。チャンス。
「ポコ! 一気に行くよ!」
「分かったっ!!!!」
私は横になったことで見えるようになった腹部に潜り込み、ナックルの爪を出して何度も切り刻む。
ここは魔力が薄いのか、数回切った後に刃が通るようになった。デクセスが立ち上がるまでに、できるだけ攻撃を入れたい。
「しょおおおおおいっ!」
だからその掛け声……もういいや、考えるだけ無駄だ。しかも聞くたびにちょっと変わってるし、全部に反応してられない。
チラリとポコを見ると、先程まで頭に放っていた水色の矢ではなく、深い青色の矢がデクセスに向かって放たれていた。あの矢はなんだろうか?
そう思っていると、デクセスが立ち上がりそうになる。下敷きにならないように、一旦離れる。
デクセスの身体の表面に矢が直撃。しかし、矢ではあの泥は簡単には崩せない。
「ギャオォォォオオオオオオオ!!!」
「えっ!?」
効いている。しかも、泥が少し剥がれている。よく見ると、矢が当たった場所は水でびしょ濡れになっていた。水で泥が流されたのだ。つまり、あの矢は水の魔術を組み込んだ矢ということ。
「ナイス! くらえええええええええええええ!!!」
負けじとこちらも爪を突き刺すつもりで突撃する。
が。ズルっと、妙な感覚を足に感じた。
「およっ……?」
私は宙に浮いていた。そう、泥で滑ったのだ。急いで走ったのがいけなかった、デクセスはすかさず私に前足の爪で攻撃する。
まずい! 避けられない! これを受けたら、回復するまでかなりの時間がかかってしまう。
「えっちゃん!」
ポコが叫ぶ。ごめんも言えない。
せめて爪でガードしようと拳を前に出す。次の瞬間、視界がぽわっと光った。
デクセスの爪が直撃。遠くに吹き飛ばされるが、ダメージはない。その変わり外からの魔力が消えるこの感覚、バリアだ!
ポコの顔を見ると、にこっとウインクしながら弓を構えていた。はいはい、偉い偉い。
いや本当に偉い。とんでもなく助かった。そうか、あの弓は支援もできるのか。そうなると回復もできるだろう。便利だが、うっかり魔獣を回復しないか心配でもある。
「ラストスパートだ!」
デクセスは、水の魔術がかなり効いたのかとても弱っていた。
逃げるわけにもいかず攻撃をしてしのごうとしているのがよくわかる。なら、こちらから攻撃をしてやろう。
「えっちゃん! いっけー!」
ポコが赤い矢を放つ。それはデクセスではなく私に直撃した。力が湧いてくる。これは強化だろうか。
ポコの支援をありがたく感じつつ、私はデクセスの尻尾を集中的に攻撃する。爪が尻尾の内部に少しずつるようになっていく。やがて、尻尾の先が切れて血が噴き出した。デクセスはもうすでに弱っている。
そのあとは一方的。殴る、裂く、削れる。技の猛攻にデクセスは弱るばかり。なんとか泥を飛ばして応戦するも、大きなダメージにはならない。当たっても若干動きが鈍くなる程度だ。今更鈍くなってもデクセスの方が圧倒的に遅い。
ポコの弓と私の攻撃でデクセスはひるみ続け、最終的に立つことができなくなっていた。
そして、横たわったデクセスの心臓を、ポコが雷の剣で一突き。
「やっっっったああああああ!!!!」
「やったーーーーーーー!!」
叫んだ後に二人でキャッキャと喜ぶ。ついに、ついにデクセスを倒した。魔獣を倒した。
おじいさんとお兄さんに報告をするのが今から楽しみだと思いつつ、私は頑張ってその巨体を解体するのだった。
「ギャオォォォォ」
「まずは……削るッ」
爪を出さないナックルモードに変更。そのまま、デクセスの固まった泥が付着した身体を殴る。
ガキンと、およそ泥とは思えない硬さの表面。おそらく、その泥にさらに魔力が集まり鎧のようになっているのだ。それを崩すには、ひたすら攻撃して魔力を削るしかない。
「らああああああ!!!」
今度は思い切り殴る。が、デクセスはどっしりとその場にとどまった。ナーフデクセスの時とは違う、明らかな体重の差。この体重では殴って距離を取る、なんてことはできないだろう。
その分デクセスの動きは鈍い。前足や尻尾の攻撃は速いが、全身を使った攻撃や方向転換には時間がかかる。こちらが大きく動けば、あちらものっしりと動くのだ。
「ガォォ! ギャ、オオオオオ!!!」
それを利用して隙を作る。隙の無い魔獣ではない、むしろ攻撃が当たりさえしなければ安全に攻撃ができる。
身体が大きい魔獣ほど、動くのには時間がかかるのだ。どの方向からでもこちらを攻撃できる魔獣でもない限り、この戦法が一番良いだろう。
回り込み、殴る。回り込み、殴る。その途中でポコの矢が当たる。
単純作業の繰り返し。だが、デクセスにも当然知能がある、こちらの動きを先読みして、拳を突き出そうとした瞬間に攻撃の動作に入る。私は攻撃をやめ、バックステップで避けようとするが、間に合わない。
右足に当たってしまった。数メートル飛ばされる。
それほどダメージがあるわけではないが、私が転んだのを見てポコがデクセスをひるませるべく一気にいくつもの矢を放った。
「しゃらあああああああ!!」
だからその掛け声はなんだ。そんなツッコミをする暇もなく、私は戦闘に戻る。
ポコの矢は複雑な軌道を描き、全弾命中。す、すごい。相変わらず魔力の矢の動きは意味不明だ。
今後あのような攻撃をしてくる魔獣が現れないことを祈りつつ、数発殴る。
「ギャオッ……」
すると、デクセスが私から少しだけ離れ、首を振った。嫌な予感がする。
「転がるよ!」
「…………っ! ありがと」
デクセスがナーフデクセスの時と同じようにタックルをする。身体が大きいから、その範囲も広い。
しかも、今度はただのタックルではない。身体そのものを回転させ、こちらに向かってくるのだ。しかもこの巨体だ、当然泥も飛び散る。
ポコが直前に教えてくれたため、ギリギリで避けることができた。
が、デクセスの身体を見て驚愕する。表面の泥が増えているのだ。
「ひゃーマジかよォっ!!」
なんてチャラく言ってしまうほどの驚きだ。だって頑張って削った鎧がまた復活したんだぜ? むりむりむりむりカタツムリ。
落ち着け、クールになれエファ。牧場育ち、毎日泥まみれになっていた私はよく知っている。身体に付いた泥はすぐには固まらないと。
ドロドロした表面にパンチを叩き込むのはなんか嫌だなぁと思いつつ、仕方がないと転がった後に体制を立て直しているデクセスを殴る。
「はっ……がれろおおおおおおおおお!!!」
右左と殴る。しかし、一発目のパンチが泥で滑ってしまい、そのまま自分の体重がかかって殴る位置がずれる。二発目のパンチは、後ろ足に当たった。
「ギャオォォォ!?」
一見失敗したようにも思えたが、体重のかかったパンチが足に直撃したことによりデクセスは転がった後よりもさらに体制を崩し、横になった。上手く立ち上がれないのか、前足や後ろ足をむやみやたらに動かしている。チャンス。
「ポコ! 一気に行くよ!」
「分かったっ!!!!」
私は横になったことで見えるようになった腹部に潜り込み、ナックルの爪を出して何度も切り刻む。
ここは魔力が薄いのか、数回切った後に刃が通るようになった。デクセスが立ち上がるまでに、できるだけ攻撃を入れたい。
「しょおおおおおいっ!」
だからその掛け声……もういいや、考えるだけ無駄だ。しかも聞くたびにちょっと変わってるし、全部に反応してられない。
チラリとポコを見ると、先程まで頭に放っていた水色の矢ではなく、深い青色の矢がデクセスに向かって放たれていた。あの矢はなんだろうか?
そう思っていると、デクセスが立ち上がりそうになる。下敷きにならないように、一旦離れる。
デクセスの身体の表面に矢が直撃。しかし、矢ではあの泥は簡単には崩せない。
「ギャオォォォオオオオオオオ!!!」
「えっ!?」
効いている。しかも、泥が少し剥がれている。よく見ると、矢が当たった場所は水でびしょ濡れになっていた。水で泥が流されたのだ。つまり、あの矢は水の魔術を組み込んだ矢ということ。
「ナイス! くらえええええええええええええ!!!」
負けじとこちらも爪を突き刺すつもりで突撃する。
が。ズルっと、妙な感覚を足に感じた。
「およっ……?」
私は宙に浮いていた。そう、泥で滑ったのだ。急いで走ったのがいけなかった、デクセスはすかさず私に前足の爪で攻撃する。
まずい! 避けられない! これを受けたら、回復するまでかなりの時間がかかってしまう。
「えっちゃん!」
ポコが叫ぶ。ごめんも言えない。
せめて爪でガードしようと拳を前に出す。次の瞬間、視界がぽわっと光った。
デクセスの爪が直撃。遠くに吹き飛ばされるが、ダメージはない。その変わり外からの魔力が消えるこの感覚、バリアだ!
ポコの顔を見ると、にこっとウインクしながら弓を構えていた。はいはい、偉い偉い。
いや本当に偉い。とんでもなく助かった。そうか、あの弓は支援もできるのか。そうなると回復もできるだろう。便利だが、うっかり魔獣を回復しないか心配でもある。
「ラストスパートだ!」
デクセスは、水の魔術がかなり効いたのかとても弱っていた。
逃げるわけにもいかず攻撃をしてしのごうとしているのがよくわかる。なら、こちらから攻撃をしてやろう。
「えっちゃん! いっけー!」
ポコが赤い矢を放つ。それはデクセスではなく私に直撃した。力が湧いてくる。これは強化だろうか。
ポコの支援をありがたく感じつつ、私はデクセスの尻尾を集中的に攻撃する。爪が尻尾の内部に少しずつるようになっていく。やがて、尻尾の先が切れて血が噴き出した。デクセスはもうすでに弱っている。
そのあとは一方的。殴る、裂く、削れる。技の猛攻にデクセスは弱るばかり。なんとか泥を飛ばして応戦するも、大きなダメージにはならない。当たっても若干動きが鈍くなる程度だ。今更鈍くなってもデクセスの方が圧倒的に遅い。
ポコの弓と私の攻撃でデクセスはひるみ続け、最終的に立つことができなくなっていた。
そして、横たわったデクセスの心臓を、ポコが雷の剣で一突き。
「やっっっったああああああ!!!!」
「やったーーーーーーー!!」
叫んだ後に二人でキャッキャと喜ぶ。ついに、ついにデクセスを倒した。魔獣を倒した。
おじいさんとお兄さんに報告をするのが今から楽しみだと思いつつ、私は頑張ってその巨体を解体するのだった。
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