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絶対魔獣食糧フォルテシア
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爪、牙、骨などの必要な物を手に入れる。肉片が素材に付着してしまっているので丁寧に剥がさなくてはいけない。ラピットスの時もそうだったが、持ち歩くのだから素材はなるべく綺麗にしたい。ラピットス、骨も取ればよかったかな。
さてさて、お楽しみの魔獣食事タイム。このデクセスの肉、身体が大きいおかげで大量にとれたので持ち帰る分の肉も切り分けた。
「これだけ大きいんだし丸々焼いちゃおう」
朝に鳥肉を食べてお昼過ぎに魔獣の肉……これは食べすぎになるだろうか。
いやしかし普通にお腹が空いている。魔力を使うとお腹が空くものだ。魔力を使って戦闘で体力も使って。もう疲れまくりだ。疲れにくくなるポーションの効果は確かにあった。だが、それでも疲れを感じにくくなるというだけで、効果が切れてくると、その分の疲れがどっと襲ってくる。
「もう後は帰るだけだっけー?」
「そうだねぇ、残りの素材は兵士に回収させるから、私達はもうやることはないかな」
デクセス、倒した魔獣は倒した本人が好きにしていい。そういう決まりになっているのだ。
王国からは、運搬にかかるお金などが抜かれた、素材の売値などを受け取れる。魔獣を一頭倒すだけで、しばらくは生活に困ることはなくなるだろう。リスクもあるがリターンもある、そういう仕事だ。
焼いている焚火とは別の焚火に王国から支給された色付きの煙玉を入れる。これを焚火の中に入れると、色のついた煙が空高くに上がる。それを見た兵士がここまで来てくれるという便利アイテムだ。
「焼けた焼けた」
骨がついた肉塊を焼いていた。流石魔術の炎、火の通り方が違うぜ。普通の炎ならきっと生焼けになっていただろう。
事前に調べて毒はない。それじゃ、いただきます。
「いただきます」
「いただきまーす」
ガブッと肉を食いちぎる。ラピットスの時と違って肉が柔らかい。沢山殴った甲斐があった。
なんだか、噛めば噛むほど旨味が出てきて、元気も湧いてくる。あれだけあった疲れも、全て吹き飛ぶ……まではいかなくとも、気にはならなくなるまで抑えられた。素晴らしい、魔獣の肉、みんな食べればいいのに。
「あー普通に美味しい……食べたことないのに安心する」
実家の牧場の豚肉や牛肉とも違う。これも鳥肉に近いのかな? でも満足感がすごい。鳥肉のような噛み応えだが、鳥肉よりも圧倒的に肉厚だ。脂も多い。
トカゲではあるがドラゴン……竜の一種なんだそうだ。尻尾で泥を飛ばしたり、泥を混ぜたりする行動が特徴的なため、尾泥竜ともいうらしい。かっこいい。
ということは? これから先、竜族を倒して食べた場合も鳥肉系統のお肉なのでは???
私が初めて食べた魔獣の肉、あれはどちらかといえば鳥肉のような噛みやすさだった気がする。
「おいひぃね」
「なんでみんな食べないんだろうね」
「食糧は安定してるからじゃない? 魔獣って恐れられてるし、食べてる人は美味しいの知ってるかもだけど、一般の人はわざわざ食べようとは思わないだろうし」
「そっか……美味しいことを知らないのか」
私だってそうだった。肉といえば、豚肉や牛肉に鶏肉、そして羊肉。魔獣肉を食べる機会がなければ、そもそも食べようとも思わなかったかもしれない。
飢えていたら、食糧に困っていたら食べるかもしれないが、その心配もないうちは魔獣の肉を食べる、という発想がまず出ないのだ。
魔獣は危険な存在で、倒すと加工素材を手に入れることができる。ただそれだけだと考えているのだ。
「はーあーあー見つかんねぇなぁ……ってうおお!? なんだもう倒されちまってるじゃねぇか、死体の方かよ……」
デクセスの死体で隠れて見えないが、反対側から誰かが来たらしい。女の人の声だ。
煙を見てここまでやってきたのだろうか。どうでもいいので無視しようそうしよう。それがいい。そうします。
「誰か来たよっ?」
「しっ、見ちゃいけません」
「聞こえてんぞー。と、お嬢さんたちが倒したのかこれ?」
赤毛の長髪。ポコのぼさぼさの髪型とはまた違った豪快なくせっ毛。突如現れた女性は三人の女性を引き連れてこちらに話しかけてきた。
やだー絶対変な人じゃないですかー、わたしーこういうのに巻き込まれたくないんですよぉー。
なんて脳内あざとエファちゃんが嫌がるが、この状況で関わらないというのは無理だろう。
「なにか用ですか」
「おいおい、ちょっと話しかけただけじゃねぇか。同じ女として気になるんだよ、魔獣を狩る女ってのは珍しいからな」
「その割には後ろにいますけど」
後ろにいる青色の髪の女性に紫色の髪の女性、金髪の女性の三人を見ながらそう言う。年上ではあるが私達の年齢に近いかもしれない。
てかこっち睨んでない? 怖くない? この子たち怖いよ。
「片っ端からスカウトしてたんだ、そりゃあ増えるさ。あと二人来てない奴がいるけど、それでも六人だ。逆に女狩人を集めてこれだぞ、まだまだ少ない」
「アカネ様は行き場のない私達に声を掛けてくださったんだ。狩人にならないかと……」
「そっすか」
懐かしむように紫髪の子が語るが、正直どうでもいい。いい話だなー私には関係ないけど。
「どうだ、お前も私達の仲間にならないか?」
「いやー神は信じてないっすね」
「いや宗教ではないが……アカネ様、この子変わってますよ、やめた方がいいんじゃないですか?」
「そうですそうです、変ですよこの子」
「聞こえてんぞー」
紫髪の子と金髪の子がかなり失礼な会話を繰り広げる。
あなた方の方が変わっていると思うのですが。自覚はしているのでしょうか。
「いやいや、無理に勧めたりはしないさ。ただ……あたしは他の女狩人と話がしたいんだ」
「……いいですよ、座ってください」
「よくわかんないけど、話そー」
このアカネ? という人は純粋に話がしたくて話しかけてきた、それは顔を見ればわかる。
なら、少しくらい話をしたっていいかもしれない。実際、私も他の女狩人の話には興味がある。
兵士が来るまでの時間の、暇つぶし程度にはなるだろう。運が良ければ都合のいい情報が手に入るかもしれない。
さてさて、お楽しみの魔獣食事タイム。このデクセスの肉、身体が大きいおかげで大量にとれたので持ち帰る分の肉も切り分けた。
「これだけ大きいんだし丸々焼いちゃおう」
朝に鳥肉を食べてお昼過ぎに魔獣の肉……これは食べすぎになるだろうか。
いやしかし普通にお腹が空いている。魔力を使うとお腹が空くものだ。魔力を使って戦闘で体力も使って。もう疲れまくりだ。疲れにくくなるポーションの効果は確かにあった。だが、それでも疲れを感じにくくなるというだけで、効果が切れてくると、その分の疲れがどっと襲ってくる。
「もう後は帰るだけだっけー?」
「そうだねぇ、残りの素材は兵士に回収させるから、私達はもうやることはないかな」
デクセス、倒した魔獣は倒した本人が好きにしていい。そういう決まりになっているのだ。
王国からは、運搬にかかるお金などが抜かれた、素材の売値などを受け取れる。魔獣を一頭倒すだけで、しばらくは生活に困ることはなくなるだろう。リスクもあるがリターンもある、そういう仕事だ。
焼いている焚火とは別の焚火に王国から支給された色付きの煙玉を入れる。これを焚火の中に入れると、色のついた煙が空高くに上がる。それを見た兵士がここまで来てくれるという便利アイテムだ。
「焼けた焼けた」
骨がついた肉塊を焼いていた。流石魔術の炎、火の通り方が違うぜ。普通の炎ならきっと生焼けになっていただろう。
事前に調べて毒はない。それじゃ、いただきます。
「いただきます」
「いただきまーす」
ガブッと肉を食いちぎる。ラピットスの時と違って肉が柔らかい。沢山殴った甲斐があった。
なんだか、噛めば噛むほど旨味が出てきて、元気も湧いてくる。あれだけあった疲れも、全て吹き飛ぶ……まではいかなくとも、気にはならなくなるまで抑えられた。素晴らしい、魔獣の肉、みんな食べればいいのに。
「あー普通に美味しい……食べたことないのに安心する」
実家の牧場の豚肉や牛肉とも違う。これも鳥肉に近いのかな? でも満足感がすごい。鳥肉のような噛み応えだが、鳥肉よりも圧倒的に肉厚だ。脂も多い。
トカゲではあるがドラゴン……竜の一種なんだそうだ。尻尾で泥を飛ばしたり、泥を混ぜたりする行動が特徴的なため、尾泥竜ともいうらしい。かっこいい。
ということは? これから先、竜族を倒して食べた場合も鳥肉系統のお肉なのでは???
私が初めて食べた魔獣の肉、あれはどちらかといえば鳥肉のような噛みやすさだった気がする。
「おいひぃね」
「なんでみんな食べないんだろうね」
「食糧は安定してるからじゃない? 魔獣って恐れられてるし、食べてる人は美味しいの知ってるかもだけど、一般の人はわざわざ食べようとは思わないだろうし」
「そっか……美味しいことを知らないのか」
私だってそうだった。肉といえば、豚肉や牛肉に鶏肉、そして羊肉。魔獣肉を食べる機会がなければ、そもそも食べようとも思わなかったかもしれない。
飢えていたら、食糧に困っていたら食べるかもしれないが、その心配もないうちは魔獣の肉を食べる、という発想がまず出ないのだ。
魔獣は危険な存在で、倒すと加工素材を手に入れることができる。ただそれだけだと考えているのだ。
「はーあーあー見つかんねぇなぁ……ってうおお!? なんだもう倒されちまってるじゃねぇか、死体の方かよ……」
デクセスの死体で隠れて見えないが、反対側から誰かが来たらしい。女の人の声だ。
煙を見てここまでやってきたのだろうか。どうでもいいので無視しようそうしよう。それがいい。そうします。
「誰か来たよっ?」
「しっ、見ちゃいけません」
「聞こえてんぞー。と、お嬢さんたちが倒したのかこれ?」
赤毛の長髪。ポコのぼさぼさの髪型とはまた違った豪快なくせっ毛。突如現れた女性は三人の女性を引き連れてこちらに話しかけてきた。
やだー絶対変な人じゃないですかー、わたしーこういうのに巻き込まれたくないんですよぉー。
なんて脳内あざとエファちゃんが嫌がるが、この状況で関わらないというのは無理だろう。
「なにか用ですか」
「おいおい、ちょっと話しかけただけじゃねぇか。同じ女として気になるんだよ、魔獣を狩る女ってのは珍しいからな」
「その割には後ろにいますけど」
後ろにいる青色の髪の女性に紫色の髪の女性、金髪の女性の三人を見ながらそう言う。年上ではあるが私達の年齢に近いかもしれない。
てかこっち睨んでない? 怖くない? この子たち怖いよ。
「片っ端からスカウトしてたんだ、そりゃあ増えるさ。あと二人来てない奴がいるけど、それでも六人だ。逆に女狩人を集めてこれだぞ、まだまだ少ない」
「アカネ様は行き場のない私達に声を掛けてくださったんだ。狩人にならないかと……」
「そっすか」
懐かしむように紫髪の子が語るが、正直どうでもいい。いい話だなー私には関係ないけど。
「どうだ、お前も私達の仲間にならないか?」
「いやー神は信じてないっすね」
「いや宗教ではないが……アカネ様、この子変わってますよ、やめた方がいいんじゃないですか?」
「そうですそうです、変ですよこの子」
「聞こえてんぞー」
紫髪の子と金髪の子がかなり失礼な会話を繰り広げる。
あなた方の方が変わっていると思うのですが。自覚はしているのでしょうか。
「いやいや、無理に勧めたりはしないさ。ただ……あたしは他の女狩人と話がしたいんだ」
「……いいですよ、座ってください」
「よくわかんないけど、話そー」
このアカネ? という人は純粋に話がしたくて話しかけてきた、それは顔を見ればわかる。
なら、少しくらい話をしたっていいかもしれない。実際、私も他の女狩人の話には興味がある。
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