気ままにダラダラ狩猟生活~冒険しながら世界を食らいつくします!~

瀬口恭介

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誰でも簡単錬金術

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 ロープを掴み、壁に両足を付け、少しずつ登っていく。固定されているとはいえ、自分の体重を全てロープ一本に任せているというのはどこか不思議な感覚だ。
 ゆらゆらと揺れながら、何とか身体を崖の上に乗りあげる。転がるように崖を上がり、はぁはぁと空気を吸う。これは精神的な疲れだ。いや、怖くなんかねぇし。警戒してただけだし。

「くぅ……! この冒険感、たまらないでありますっ!!」
「なんとなくアバンが危険な理由が分かった」

 まだまだこんなものではないだろう。危険な場所でも興味がわいたら進んでしまう。

「あーレンキン草だー」
「いいね、採取していこうか」

 ポコの錬金術、実はまだ見たことないんだよね。錬金術自体はポコから聞かされているが、実際に見たことはない。

「それなら、吾輩が持つでありますよ! なあに、心配ご無用、持たされていた仲間の装備で圧迫されていた空間が余りまくっているであります!」
「あ、うん。じゃあ、お言葉に甘えて使わせてもらうね」

 何その反応に困る悲しい理由。荷物持ちなら当然かもしれないが、仲間から外されたばかりと言われたら流石に同情してしまう。

「じゃあ試しに錬金術をやってみよう!」
「え、こんなところでできるの?」
「もちろん! 手だけでも錬金はできるけど、鍋があればもっと幅が広がるんだよっ!」

 そういえば錬金用と言っていた鍋も持ち歩いてたね。

「まず、鍋に水を張ります」
「いやー水魔術は便利だぁ」
「錬金術は吾輩も初めて見るであります!」

 鍋に水を張る。魔術で水を出すので水の用意は不要。

「次に、レンキン草を用意します」
「ここに」

 取れたてほやほやである。
 なるほど、その場で作れば荷物もかさばらなくて楽ってことね。

「火を付けまーす」
「んーよいしょ」

 簡易的なかまどを作って、火をつける。鍋を混ぜると、先程まで透き通っていた透明な水が、うっすら濁り始めた。水色、だろうか。青というには薄い色だ。

「これがレンキン水。ほとんどのポーションはこれにさらに素材を入れて作られるよ」
「へー、知らなかった」

 全ての元ってことか。しかし、ここまでは錬金術は関係ないのではないだろうか。
 だって、鍋に入れて混ぜてるだけでしょ? 私でも出来ちゃう。

「ここに、薬草をぶち込みます」
「薬草薬草……これか」

 そのまま食べたり、塗り薬にする薬草。
 薬草などの魔力を持った植物は、量産には向かない。魔力を地面から吸い上げるため、その場所で大量に作ると土地が死んでしまうのだ。
 もちろん土地の魔力を回復させることはできるが、わざわざそんなことをするよりも、ちょっと外に出て採取してきた方が楽だしお金もかからない。むしろ稼げるくらいだ。

「これなら私でも出来そうじゃない?」
「うん、これくらいなら誰にでもできるよ。でも、集中しないと失敗しちゃう」

 失敗って、鍋にぶち込んで作るんだから失敗も何もないだろう。

「そろそろかな。ビンを入れます」
「ビンを入れ……入れる!?」
「入れるであります!!」

 アバンがビンを三つ鍋にぶち込んだ。
 ちょっとちょっと! この回復ポーションをビンに入れて飲むんじゃないの!?
 そう思った矢先、鍋の中の液体が光り始める。なんだなんだと思っていると、ぶわんと紫色の煙が噴き出す。
 煙はすぐに消え、鍋の中には回復ポーションが三つ残っていた。

「できたー!」
「ええ!? なんで!?」
「え? だって錬金術だよ? 適切なタイミングで、瓶を入れたらできるの。じゃあ、危なくなったら飲んでね」
「ありがとうであります!」

 衝撃の錬金術は、何事もなかったかのように終わった。結果的にポーションが手に入ったからいいか。
 錬金術も見たし探検しますか。

「グワアアアアアアアアアアアーーッ」
「ち、近いよ!」

 さて出発だと思ってすぐ、ポコが叫び声に気づく。山に入る前に聞こえたあの声と同じだ。本当に近い、もう目に見える位置にいるのではないだろうか。
 崖の上は、開けた森になっていた。木もそこそこに、何より転がっている岩が目立つ。
 それにしても、木が少なくないだろうか。少ないというより、切り株が多い? 折れている?

「最近現れた動物……いや、魔獣かな」

 魔物や動物ではここまでの破壊はできないだろう。
 例えできたとしても、このような普通の山や森には現れない。強い魔物は強い魔力のある場所に現れるのだ。

「確認するであります!」
「確認って?」

 私の声が届くよりも前に、アバンは目をつむった。ポケットから金属の棒を二本取り出す。片方は普通の金属の棒、もう片方は二又になっている棒。普通の棒を二又の棒に当て、音を鳴らす。
 キィィィィンと高い音が鳴り、静寂が訪れた。これで何がわかるというのだ。

「いたであります。クマ……だけど大きいでありますな。おそらくクマの魔獣であります。錬金術に反応してこちらに向かってるでありますよ!」
「そこまでわかるの!?」
「いやぁ、精霊の力も少し借りてるでありますから。とにかく、戦闘になるであります! 準備を!」

 木が多く先が見えなかった場所から、大きなクマが飛び出してくる。

「グワァーーー!」

 私の知っているクマも相当に大きかったが、大きさだけじゃない。驚くべきはその肌。
 通常、クマなどの獣は毛皮に覆われている。だが、どうしたことか。このクマは、鎧のような何かを着ているのだ。小手のようなものや、胸当て。肩パット。フォールド。全身フル装備だ。
 戦いに特化した魔獣。いざ、尋常に!
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