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アバンが、仲間になった
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「ふぃー食った食った。んで、どうやって運ぶのさ」
ヨロイグマの肉鍋を汁までお腹いっぱい食べた私達は、かまどや灰などの処理をしてからそこから動く準備をしていた。
「お任せあれ! これを使うのであります」
アバンが取り出したのは丸い水晶。まーたクリスタルか!! クリスタル万能すぎるだろ!!!
いやぁ、まあ確かに魔力が集まって結晶になったり、結晶に魔力が多く含まれたりするから使いやすいのは確かなんだけども、多用しすぎてわからなくなったりしないかね?
色で違うのか、アバンの取り出したクリスタルは黒だ。
「スペースクリスタルであります。いけっ! スペースクリスタル!」
アバンがおもむろにボール型のクリスタルを投げた。スペースクリスタルと呼ばれたそれは回転しながらヨロイグマの身体に当たる。当たった瞬間、ヨロイグマの身体が光りスペースクリスタルに吸い込まれていく。
ヒエッ、なかなか衝撃的な光景だ。ポケットの中に入れた時とはまた違った入り方。ヨロイグマの身体そのものの空間が歪んだように見えた。
「ゲットだぜであります!」
アバンはスペースクリスタルを拾うと、私に見せつけながらそう言った。
「え、なにそれ」
「なんとなくであります!」
なぜかは分からないがやめた方がいいと思うよ。うん。ださいし。あと似合わない。
「これで、この中にヨロイグマが入ったであります。解体屋にでも持っていけば売れる部分を切ってくれるでありますよ」
「流石にポケットにこの大きさは入らないよねー」
ポコがそういう。専用の道具を使っているのだからそうなのだろう。スペースクリスタルは大きなもの専用だろうし。
「あのままは入らないでありますが、ある程度の大きさに切れば入るでありますよ?」
「やっぱり意味わからないねその魔術……」
空間を借りるってなにさ。精霊はこの世界とは別の空間にいて、その空間を借りるってこと?
その世界がどうなってるのか私、気になります!
「エリートでありますから!」
「そうでありますか」
「そうであります」
この後はどうするでありますかね。
私的には、もう帰ってゆっくりしたいでありますよ。ええ。
「よし、帰ろう」
「りょーかーい!」
「えー、もうでありますか?」
腕に付けた時間石を見ると、色がちょうど綺麗な空色になっている。この後夕方になるにつれて少しずつオレンジ色になり、紺色になり、最後には黒くなる。そして朝が来たら再び紺色になり、色が明るくなっていく。
便利だが、なんとなくしかわからない。森の中や洞窟の中、屋内だと使えるのだが、外にいるなら太陽の位置を確認した方が確実かもしれない。
「アバン、帰りながら話があるから、先行かないでね」
「わ、わかったであります」
ということで、アバンを仲間に勧誘するパートに突入だ。
もっと危険な場所なら、さらに危険な行動を取るかもしれない。だとしても、私はアバンの空間魔術? と言えばいいのか、その運搬能力を評価している。
あまりにも、私の旅に必要な能力が備わっているのだ。それに、戦闘面においても、ポコと一緒にドジを踏んだことを除けば役に立っている。ロープで転ばせた技、あれがなければもっと長引いていた。
「ポコ、ちょっと」
「んー?」
出発前に、ポコにアバンを仲間に誘うことを伝える。
その話を聞いた瞬間に、ポコの顔がぱあっと明るくなった。ポコの場合、仲良くなったから一緒にいたいとか、そういう感じだろう。いや、私にもそういう気持ちがないわけじゃないけども。
「アバン、あのさ」
「隊長であります!」
やっぱ誘うのやめようかな。
「私達ってさ、旅してるんだよね。世界中を旅するの。かなり過酷な旅になると思うんだけど、もしその旅に隊長がついてきてくれたらすっごく助かるなーって思うんだよね」
「え、それってつまり、吾輩を誘ってくれてるんでありますか……?」
ド直球に言葉を直されるとなんだか恥ずかしいからやめてね。
「あー、嫌ならいいんだよ? だって、城下町も離れることになっちゃうしさ」
そう、これは私の我が儘だ。アバンにだって家族がいるだろう、それに長く住んでいる街だ。ポコを誘った時もそうだが、旅の仲間になるというのは様々な覚悟が必要なんだ。
だから、断られたら仕方ない。ダメだったら、また探せばいい。長く悩んでもらって構わない。
「行きたいであります!! 元々色々な場所に行きたくて冒険家をやってるんでありますから、願ったり叶ったりであります!!!!」
「そ、そう? じゃあそういうことで」
あっさり決まった。ええー、アバンさんそんなに追い詰められてたのん?
「早い! 早いよ決まるのが!!」
「だってねぇ……もうちょっと悩むと思ったんだけど」
「吾輩の父親も旅に出ているのであります。母親は、放任主義なのでどうせ大丈夫なんでありますよ」
「そんなものなのかねぇ」
「そんなものであります! とにかく、吾輩はもうこれ以上冒険欲を抑えられないであります!」
冒険欲って何。
と思ったけど、私も旅に出たいという欲が限界に達してたね。同じなんだろうなぁ。
「話すことなくなっちゃったねー」
「ほんとだね。じゃ、さっさと帰ろう」
やることなくなっちゃいました。荷物も、隊長のおかげで軽いし、手持ち無沙汰だ。
帰ったら、防具を手に入れよう。そうしないと、これから先危険だ。もう遅いかもしれないが、せっかくヨロイグマの素材があるのだから作ろうではないか。
ヨロイグマの肉鍋を汁までお腹いっぱい食べた私達は、かまどや灰などの処理をしてからそこから動く準備をしていた。
「お任せあれ! これを使うのであります」
アバンが取り出したのは丸い水晶。まーたクリスタルか!! クリスタル万能すぎるだろ!!!
いやぁ、まあ確かに魔力が集まって結晶になったり、結晶に魔力が多く含まれたりするから使いやすいのは確かなんだけども、多用しすぎてわからなくなったりしないかね?
色で違うのか、アバンの取り出したクリスタルは黒だ。
「スペースクリスタルであります。いけっ! スペースクリスタル!」
アバンがおもむろにボール型のクリスタルを投げた。スペースクリスタルと呼ばれたそれは回転しながらヨロイグマの身体に当たる。当たった瞬間、ヨロイグマの身体が光りスペースクリスタルに吸い込まれていく。
ヒエッ、なかなか衝撃的な光景だ。ポケットの中に入れた時とはまた違った入り方。ヨロイグマの身体そのものの空間が歪んだように見えた。
「ゲットだぜであります!」
アバンはスペースクリスタルを拾うと、私に見せつけながらそう言った。
「え、なにそれ」
「なんとなくであります!」
なぜかは分からないがやめた方がいいと思うよ。うん。ださいし。あと似合わない。
「これで、この中にヨロイグマが入ったであります。解体屋にでも持っていけば売れる部分を切ってくれるでありますよ」
「流石にポケットにこの大きさは入らないよねー」
ポコがそういう。専用の道具を使っているのだからそうなのだろう。スペースクリスタルは大きなもの専用だろうし。
「あのままは入らないでありますが、ある程度の大きさに切れば入るでありますよ?」
「やっぱり意味わからないねその魔術……」
空間を借りるってなにさ。精霊はこの世界とは別の空間にいて、その空間を借りるってこと?
その世界がどうなってるのか私、気になります!
「エリートでありますから!」
「そうでありますか」
「そうであります」
この後はどうするでありますかね。
私的には、もう帰ってゆっくりしたいでありますよ。ええ。
「よし、帰ろう」
「りょーかーい!」
「えー、もうでありますか?」
腕に付けた時間石を見ると、色がちょうど綺麗な空色になっている。この後夕方になるにつれて少しずつオレンジ色になり、紺色になり、最後には黒くなる。そして朝が来たら再び紺色になり、色が明るくなっていく。
便利だが、なんとなくしかわからない。森の中や洞窟の中、屋内だと使えるのだが、外にいるなら太陽の位置を確認した方が確実かもしれない。
「アバン、帰りながら話があるから、先行かないでね」
「わ、わかったであります」
ということで、アバンを仲間に勧誘するパートに突入だ。
もっと危険な場所なら、さらに危険な行動を取るかもしれない。だとしても、私はアバンの空間魔術? と言えばいいのか、その運搬能力を評価している。
あまりにも、私の旅に必要な能力が備わっているのだ。それに、戦闘面においても、ポコと一緒にドジを踏んだことを除けば役に立っている。ロープで転ばせた技、あれがなければもっと長引いていた。
「ポコ、ちょっと」
「んー?」
出発前に、ポコにアバンを仲間に誘うことを伝える。
その話を聞いた瞬間に、ポコの顔がぱあっと明るくなった。ポコの場合、仲良くなったから一緒にいたいとか、そういう感じだろう。いや、私にもそういう気持ちがないわけじゃないけども。
「アバン、あのさ」
「隊長であります!」
やっぱ誘うのやめようかな。
「私達ってさ、旅してるんだよね。世界中を旅するの。かなり過酷な旅になると思うんだけど、もしその旅に隊長がついてきてくれたらすっごく助かるなーって思うんだよね」
「え、それってつまり、吾輩を誘ってくれてるんでありますか……?」
ド直球に言葉を直されるとなんだか恥ずかしいからやめてね。
「あー、嫌ならいいんだよ? だって、城下町も離れることになっちゃうしさ」
そう、これは私の我が儘だ。アバンにだって家族がいるだろう、それに長く住んでいる街だ。ポコを誘った時もそうだが、旅の仲間になるというのは様々な覚悟が必要なんだ。
だから、断られたら仕方ない。ダメだったら、また探せばいい。長く悩んでもらって構わない。
「行きたいであります!! 元々色々な場所に行きたくて冒険家をやってるんでありますから、願ったり叶ったりであります!!!!」
「そ、そう? じゃあそういうことで」
あっさり決まった。ええー、アバンさんそんなに追い詰められてたのん?
「早い! 早いよ決まるのが!!」
「だってねぇ……もうちょっと悩むと思ったんだけど」
「吾輩の父親も旅に出ているのであります。母親は、放任主義なのでどうせ大丈夫なんでありますよ」
「そんなものなのかねぇ」
「そんなものであります! とにかく、吾輩はもうこれ以上冒険欲を抑えられないであります!」
冒険欲って何。
と思ったけど、私も旅に出たいという欲が限界に達してたね。同じなんだろうなぁ。
「話すことなくなっちゃったねー」
「ほんとだね。じゃ、さっさと帰ろう」
やることなくなっちゃいました。荷物も、隊長のおかげで軽いし、手持ち無沙汰だ。
帰ったら、防具を手に入れよう。そうしないと、これから先危険だ。もう遅いかもしれないが、せっかくヨロイグマの素材があるのだから作ろうではないか。
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