気ままにダラダラ狩猟生活~冒険しながら世界を食らいつくします!~

瀬口恭介

文字の大きさ
32 / 65

「真実」←こういうタイトルシリアスっぽくね?

しおりを挟む
「ヨロイグマを狩ったのかい!?」

 解体屋という魔獣の解体専用のお店にヨロイグマを持っていくと、お店の人にそう驚かれた。女だけで倒したというのが衝撃なのだろう。
 解体屋ってさ、なんか字面だけだと怖いよね。殺し屋と繋がってそう。

「あの、解体を見学していいですかね? 参考にしたいので」
「もちろん構わないさ。でも、そう簡単に技術を盗めると思わないでくれよ」

 釘を刺されてしまった。だが、望むところだ。こちとら物心ついた時から解体解体の毎日なのだ。
 ノウハウはある。現に、一部の解体はしたのだ。ラピットスなんて、解体して毛皮も手に入れたんだぞ。見せてやろうか? あ、そういえば鍛冶屋に売ったわ。次の機会にな!!!

「隊長! 買い物行こうよー」
「でも、エファ殿を置いて行っていいのでありますか?」
「いいんだよー。こうなったら止まらないから。それはわたしも同じ。隊長も同じでしょ?」
「確かに、納得したであります!」

 おいそこ、納得するな。と、言いたいところだけど否定できない。
 似た者同士なのだ。自分の好きなことに全力、と言えば聞こえはいいだろうか。

「行っておいでー。あ、無駄遣いはしないでね」
「りょーかい。いざ! 商店街へ!」
「し、指揮は吾輩がとるでありますよ!!」

 左手を腰に当て、人差し指を前に突き出しながら出発するポコを隊長が追いかける。もう私の中でアバンは隊長で固定してしまおう。楽だし。
 そうして、私は解体の見学を、ポコたちは商店街で買い物をすることになった。
 つかの間の自由時間だ。私は特に買いたい物とかないしなぁ……あったとしても後でいいかって思って結局買わないし。買い物って慣れてないんだよね。田舎育ちあるある。他を知らないけど。

* * *

 えっちゃんが解体に夢中になっているので、わたしと隊長で商店街に来ている。
 ここで生活をしている人はここで食べ物を買うのだろうけど、わたしたちは宿で食べたり食堂、酒場などで食事をするのであまり食材は気にしなくていいかも。
 あ、でも隊長が仲間に加わったんなら、食べ物も持ち運べるよねっ! 旅先でも料理のレパートリーも増えるのでは?? これはテンション爆上がりですよ皆さん。

「隊長はこの街に住んでるんだよね?」
「もちろんであります。元々旅に出る予定だったんでありますが……やっぱり仲間がいないと危険なんでありますよね。一人旅ができるほどの実力があれば、すぐにでも旅に出ていたであります」
「そうなんだー。えっちゃんも元々一人旅をする予定だったらしいんだー、すごいよねー」
「そうなんでありますか? その割には知識に偏りがあるように見えるでありますが」

 知識の偏りや計画性の無さはわたしも同じだったなぁ。考えなしに家出したりとか。
 やっぱりわたしとえっちゃんのような性格の人間は一緒にいた方がお互いに助け合えていい。気がする。多分それは隊長も同じ。

「田舎育ちらしいからねー。まあわたしも田舎だったけど、それよりももっとド田舎って言ってたよ」
「ド田舎……知識が偏った状態で吾輩のような発作が起こるんでありますか……危険でありますね」
「発作て」

 発作でも間違ってないか。突発的に起こることだし。

「あら、あらら。ポコンさん、エファさんはどうしたのですか??」
「あ! トパーさん!! えっちゃんは別の用事で今はいないんですよー」

 果物を適当に見ていると、金髪の女性、紅の狩猟団のトパーさんが話しかけてきた。そういえば、ハックちゃんも今日は一人だったなー。

「そちらの方は……アバン! あなたアバンじゃない?」
「え、知ってるんですか?」

 どうやらトパーさんは隊長のことを知っているようだ。隊長はなぜかわたしの陰に隠れている。

「もちろん。元仲間なのよ」
「えっ……隊長、前に言ってた仲間って紅の狩猟団だったの?」
「そ、そうであります……」

 アカネさんがリーダーのあの狩猟団を抜けるって、相当だと思うんだけど……。

「隊長はアカネさんのところで何をしたんですか?」
「アバンはやらかしたわけじゃないわ、突然飛び出す癖が治らなかったから、仲間の負担が大きくなっちゃったのよ。そうしたらアバンのやりたいことを聞いたアカネ様があたし達はアバンの仲間に合ってないんじゃないかと思って、新しい仲間を見つけた方がいいって提案したの」
「なるほどー、紅の狩猟団は旅が目的じゃないですもんねー」

 紅の狩猟団は、女性の冒険者や狩人をまとめ上げる団体だ。今は人数が少なく、資金集めなどをしているが、お金が貯まったり、仲間が増えたりすれば隊長のやりたかった遠征もするだろう。
 だが、それはまだまだ先の話だったのだ。それまで隊長を待たせるのも、待つのも難しいと考えて、アカネさんは隊長に団を抜けるように言ったのだ。優しさだ。

「そうなのよ。でも資金が集まってきたから規模を拡大するつもりなの。さらに広く街歩き回ってスカウトしたり、他の街まで行ってスカウトしたり、そうやって増えたら別の国にも支部を作る。それがアカネ様の今の目標よ」
「そうだったんでありますか。吾輩はてっきり邪魔だから追い出されたのかと思っていたであります」
「こっちだって、アバンがいなくなって困っていたわよ。でも、この狩猟団じゃアバンは満足に活動できないから、仕方なく他の仲間を探すように言ったの」
「これはえっちゃんに報告ですなー」
「うう……きっと馬鹿にされるであります」

 そうかな? えっちゃんの場合は、呆れながらも仕方ないなーと受け入れそうな気がするけど。

「あはは、何とかなるって! えっちゃんああ見えてお姉ちゃん属性持ちだから、少しめんどくさいくらいが丁度いいんだよ?」
「え、あんなにちっちゃいのにでありますか!?」
「それ、えっちゃん本気で怒るから言わない方がいいよ」

 小さいや、子供と呼ばれた時のえっちゃんの静かな怒りは普段から思考がゆるゆるなわたしでも戦慄するくらい怖い。あと胸ね。
 その後、わたしはトパーさんと話をした。わたしと一緒にいた隊長を見て、トパーさんは隊長がわたしたちの仲間に加わったことに薄々気づいていたらしい。そのことをアカネさんに報告しなくちゃと機嫌がよくなったトパーさんと別れ、買い物を続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

処理中です...