40 / 65
いいドラゴンもいるんだぜ
しおりを挟む
二頭のドラゴンに向かって全力で走り出す。目標は大きいドラゴンの撃退。あの銀色のドラゴンには攻撃がとても通りそうになかったが、大きいドラゴンは表面がゴツゴツしていてなんだか脆そうだ。金属は流石に自信がないが、岩なら砕ける。抵抗するで、拳で。
走り、ドラゴンのすぐ近くまで移動する。銀色のドラゴンが攻撃をしてくれているので、ここは追撃をさせてもらおう。
「はああああああああああ! せいやあああああああああ!!!」
大ジャンプをし、全力でドラゴンの身体を殴る。堅い……けど、それなりに衝撃は伝わったはず。
「グオオオオオオオオオ!!!」
ドラゴンが口を大きく開けた。対策は考えてある。ポコの弓だ。
「ポコ! 今!!」
「まっかせてー!」
ポコがチャージしていた魔力を全力で放った。
光り輝く矢はまっすぐ、目標に向かって落ちることなく突き進んでいく。あの速度、あの光、以前より確実に強化されている。
口内に着弾。同時に爆発する。爆発!?
「な、何今の!!」
「ルーン石を作ったの。石に一時的に魔術を仕込んで、撃つことに集中するの」
ポコが文字の入った小石を見せてくる。なるほど、それをつまんで弦を引いたら魔術を使わなくても特殊な矢を撃てるってわけだ。石の質が良ければさらに強く出来そう。
「さっき作ってたやつね、その調子でどんどん攻めるよ!」
「クオオオォォォン!!」
「うわっ、あ、あんたも頑張って! こっち攻撃しないでね!」
といっても、ドラゴンが人間の言葉を理解できるはずがないんだけどね。
爆発によりドラゴンが半場無理やりに降りた。口元から煙が上がっているが、これはダメージが入ったと考えていいんだよね?
起き上がるまでの間に数発叩き込む。うん、やっぱり魔力を込めやすくなってる。拳を握っているときに魔力を流すと爪を出さずに力を入れられる。コツをつかむまでそれなりにかかった。
「そらっ! まだまだ!」
複数人……ドラゴンもいるが、囲んで戦うと攻撃を避けるのに余裕ができて戦いやすい。
そしてこの銀色のドラゴン、攻撃が強力なのだ。体格差も私たちが加勢したことにより覆っている。
お? これは楽勝なのでは?
「グオッ!!! グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッ!!!!!」
「な、あ、ああああ!」
至近距離での咆哮、あまりの音量に耳を抑える。
咆哮が終わった後も脳の奥にこびりついたように離れないキーーーンという耳鳴り。さらに、それ以外の音がよく聞こえなくなる。頭痛もひどい。一時的なものだとは思うが、このままでは判断力が低下してしまう。
まずい、ミスをする前に離れないと。
「エファ殿!」
隊長がドラゴンの爪を短剣で受け止める。だが流石に短剣では受け止めきれなかったようで、はじき返されてしまった。
「隊長、ありがと! 一旦下がるよ!」
「りょ、了解であります」
音はよく聞こえないが、おそらく了解でありますかな? とにかく下がろう。
「大丈夫!?」
ポコのいる場所まで下がると、ポコが回復をしてくれた。耳がよく聞こえるようになる。これで冷静に判断できるね。
「ポコ、連射ってできる?」
「もちろん! でも魔力を一気に使うから長くはできないかな」
「なら、矢が当たってる間に隊長はドラゴンの背中にあの、爪がついた縄を引っかけて」
あれだけゴツゴツしていれば簡単に引っかかるはずだ。
「そのあとどうするでありますか」
「引っ張る。そんで一瞬でもいいからドラゴンのお腹を晒させて、銀色のドラゴンに胸を突かせる」
「できるのそんなこと?」
「わからない。でも、少なくとも隙ができたら攻撃してくれるはず。あの銀色のドラゴン、私たちの邪魔をしないように戦ってくれてたから」
銀色のドラゴンは、私たちを巻き込んだ攻撃をしてこなかった。私たちがそのサポートに回れば、全力で攻撃をしてくれるはずだ。
「ギンの力を借りる……いいね!」
「名前つけないでよ、あとで倒すかもしれないんだから……」
「でもあれだけ協力してくれるなら戦わなくてもいい気がしてきたであります」
「まあ……確かにギンと戦うのは嫌かも。戦力的にも、感情的にも」
もしかしたら敵になるかもしれないが、共に戦ったという事実があるのであまり敵対したくはない。
共通の敵というだけの関係なのにね。
「エファ殿もギンと呼んでいるでありますよ」
「もうギンでいいでしょ! ほら、さっさと行くよ!」
照れ隠しではない。急がないとギンが不利になってしまうからだ。
「縄準備」
「できてるであります」
「弓」
「できてるっ!」
一度下がったことによりとても冷静になっている。冷静すぎてエファブリザードになってる。
アーユーレディ? できてるよ……! ガキガキガッキーンと拳を叩き込んでやらぁ!
「よし、じゃあポコは私たちがドラゴンの背後に回り込んだら撃ち始めてね」
「りょ!」
解まで言って。
「気張っていこう」
胸の前で両方の拳をぶつける。しゃあっ! 気合入れていくぞ。
簡単な作戦だが、少しでもミスをしたら上手くいかない。それが作戦というものだ。ギンが決定的な一撃を決めた後、ラッシュを叩き込む。
緊張はしていない、楽しみで仕方ないのだ。あの巨竜が倒れるところを見るのが。
作戦開始。目標ドラゴン肉。
走り、ドラゴンのすぐ近くまで移動する。銀色のドラゴンが攻撃をしてくれているので、ここは追撃をさせてもらおう。
「はああああああああああ! せいやあああああああああ!!!」
大ジャンプをし、全力でドラゴンの身体を殴る。堅い……けど、それなりに衝撃は伝わったはず。
「グオオオオオオオオオ!!!」
ドラゴンが口を大きく開けた。対策は考えてある。ポコの弓だ。
「ポコ! 今!!」
「まっかせてー!」
ポコがチャージしていた魔力を全力で放った。
光り輝く矢はまっすぐ、目標に向かって落ちることなく突き進んでいく。あの速度、あの光、以前より確実に強化されている。
口内に着弾。同時に爆発する。爆発!?
「な、何今の!!」
「ルーン石を作ったの。石に一時的に魔術を仕込んで、撃つことに集中するの」
ポコが文字の入った小石を見せてくる。なるほど、それをつまんで弦を引いたら魔術を使わなくても特殊な矢を撃てるってわけだ。石の質が良ければさらに強く出来そう。
「さっき作ってたやつね、その調子でどんどん攻めるよ!」
「クオオオォォォン!!」
「うわっ、あ、あんたも頑張って! こっち攻撃しないでね!」
といっても、ドラゴンが人間の言葉を理解できるはずがないんだけどね。
爆発によりドラゴンが半場無理やりに降りた。口元から煙が上がっているが、これはダメージが入ったと考えていいんだよね?
起き上がるまでの間に数発叩き込む。うん、やっぱり魔力を込めやすくなってる。拳を握っているときに魔力を流すと爪を出さずに力を入れられる。コツをつかむまでそれなりにかかった。
「そらっ! まだまだ!」
複数人……ドラゴンもいるが、囲んで戦うと攻撃を避けるのに余裕ができて戦いやすい。
そしてこの銀色のドラゴン、攻撃が強力なのだ。体格差も私たちが加勢したことにより覆っている。
お? これは楽勝なのでは?
「グオッ!!! グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッ!!!!!」
「な、あ、ああああ!」
至近距離での咆哮、あまりの音量に耳を抑える。
咆哮が終わった後も脳の奥にこびりついたように離れないキーーーンという耳鳴り。さらに、それ以外の音がよく聞こえなくなる。頭痛もひどい。一時的なものだとは思うが、このままでは判断力が低下してしまう。
まずい、ミスをする前に離れないと。
「エファ殿!」
隊長がドラゴンの爪を短剣で受け止める。だが流石に短剣では受け止めきれなかったようで、はじき返されてしまった。
「隊長、ありがと! 一旦下がるよ!」
「りょ、了解であります」
音はよく聞こえないが、おそらく了解でありますかな? とにかく下がろう。
「大丈夫!?」
ポコのいる場所まで下がると、ポコが回復をしてくれた。耳がよく聞こえるようになる。これで冷静に判断できるね。
「ポコ、連射ってできる?」
「もちろん! でも魔力を一気に使うから長くはできないかな」
「なら、矢が当たってる間に隊長はドラゴンの背中にあの、爪がついた縄を引っかけて」
あれだけゴツゴツしていれば簡単に引っかかるはずだ。
「そのあとどうするでありますか」
「引っ張る。そんで一瞬でもいいからドラゴンのお腹を晒させて、銀色のドラゴンに胸を突かせる」
「できるのそんなこと?」
「わからない。でも、少なくとも隙ができたら攻撃してくれるはず。あの銀色のドラゴン、私たちの邪魔をしないように戦ってくれてたから」
銀色のドラゴンは、私たちを巻き込んだ攻撃をしてこなかった。私たちがそのサポートに回れば、全力で攻撃をしてくれるはずだ。
「ギンの力を借りる……いいね!」
「名前つけないでよ、あとで倒すかもしれないんだから……」
「でもあれだけ協力してくれるなら戦わなくてもいい気がしてきたであります」
「まあ……確かにギンと戦うのは嫌かも。戦力的にも、感情的にも」
もしかしたら敵になるかもしれないが、共に戦ったという事実があるのであまり敵対したくはない。
共通の敵というだけの関係なのにね。
「エファ殿もギンと呼んでいるでありますよ」
「もうギンでいいでしょ! ほら、さっさと行くよ!」
照れ隠しではない。急がないとギンが不利になってしまうからだ。
「縄準備」
「できてるであります」
「弓」
「できてるっ!」
一度下がったことによりとても冷静になっている。冷静すぎてエファブリザードになってる。
アーユーレディ? できてるよ……! ガキガキガッキーンと拳を叩き込んでやらぁ!
「よし、じゃあポコは私たちがドラゴンの背後に回り込んだら撃ち始めてね」
「りょ!」
解まで言って。
「気張っていこう」
胸の前で両方の拳をぶつける。しゃあっ! 気合入れていくぞ。
簡単な作戦だが、少しでもミスをしたら上手くいかない。それが作戦というものだ。ギンが決定的な一撃を決めた後、ラッシュを叩き込む。
緊張はしていない、楽しみで仕方ないのだ。あの巨竜が倒れるところを見るのが。
作戦開始。目標ドラゴン肉。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
ブックマーク・評価、宜しくお願いします。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる