気ままにダラダラ狩猟生活~冒険しながら世界を食らいつくします!~

瀬口恭介

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抜山蓋世

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 二頭のドラゴンの背後に回り込む。もう私たちの居場所は既に把握されているだろうが、問題ない。
 隊長の取り出した爪付きの縄を腕に巻き、準備は完了する。ポコの射撃を待ちながら、ドラゴンの起こした突風に耐える。

「グオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!!」

 三度目の光線。ドラゴンの体内の熱線や空気中の魔力があの口の中に集中しているのがわかる。
 そのチャンスを逃すまいと、ポコが射撃を始めた。一射目、明らかに連射とは違う矢だ。ポコの判断で一射目はルーン石の矢を使ったらしい。いい判断だ。

「せーのっ!!!!」

 今しかないと思い爆発と同時に縄を投げる。
 しかし、矢が当たったのは首元だったようで。光線を中断させるまでには至らなかったらしい。光線のチャージは続く。
 ポコは勢いを落とさないようにそのまま次の矢を連射し始めた。

「まずいまずいまずい!!!」
「大丈夫であります! 背後にいるから、そう簡単には当たらないであります!」
「でもポコは!」

 このままでは私たちは助かってもポコにあの光線が当たってしまうかもしれない。いくら魔術で防御力を上げたからといって、あの光線を受けたらただでは済まないだろう。

「ポコ殿は吾輩でもびっくりするくらいに技を隠し持ってるであります! それに、あの光線も吾輩たちが逸らせばいいんでありますよ!」
「確かに……やろう! 一気に引くよ!」

 迷ってる暇があったら縄を全力で引いて、少しでも光線の成功率を下げるんだ。そしてギンの攻撃が上手く決まれば、ポコも連射をやめて避けることに集中できる。

「おんどりゃああああああああああああああーーーーーーー!!!!!!!」
「せやあああーーーーーーーー!!!!!」

 二人で全力で引っ張る。光線は上に逸れ、山の表面を薙いだ。一閃の光と共に鉱山には一本の線が深く刻まれる。よし、逸れた。
 魔力を一気に放出したためかドラゴンの力が弱まった。ここぞとばかりに縄を引く。ピクリとも動かないと思っていた縄は徐々にドラゴンの身体を持ち上げていき、やがて腹部が前に出るような体制に変わる。

「クオオオォォォオオオオオオオオオオオオオォォォォオオオオオオオオン!!!!」
「グオ……ゴ、オオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!」

 甲高い美しい高い声と共に、ギンはジャンプした。そのまま縦に一回転し、尻尾でドラゴンの胸を切り裂く。サマーソルトだ、深い傷を負ったドラゴンは口から火のようなものを漏れ出している。抑えられなくなったのだろう。疲れている証拠だ。

「一気に叩くよ!」
「了解であります!」

 縄のすぐそばを走るようにドラゴンに向かう。今ならあの背中の岩を破壊することができるかもしれない。身体を回転させながら尻尾で攻撃をするドラゴン、縄のおかげで動きにくそうだ。

「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「クオオオォォォォン!」

 ギンが叫ぶと、私の身体に魔力が流れ込んでくる。まさか、手助けをしてくれたの?

「ギン!? ……よし!」

 それなら、応えなければ。ありったけの魔力を込めて、拳に力を入れる。
 この一撃で、お前の魔力を打ち消す!!!!!

「くらえっ!! ドラゴオオオオオオオオオン!!! ナックルウウウウウウッッッ!!!!!」

 ドラゴンの背中に拳がぶつかった瞬間、一気に魔力が対消滅していく。パキ、パキパキと岩にヒビが入り、背中の大きな岩を砕いた。魔力源でもあったようで、最初に会った時のような威圧感や覇気はなくなっていた。

「クオオオオオオオ!!! キュウォォォォォォォォォォ!!!」

 ギンの尻尾に光が集まる。あれも魔力だろうか、ここの魔力資源ががが。

「……っ! いけっ!」

 ドラゴンの背中から離れる。あのままでは私もろとも串刺しになりそうだったから。
 ギンの尻尾は、弱っていたドラゴンの心臓を貫いた。背中から血しぶきが上がる、背中まで貫通したのだ。
 それほどまでに鋭い尻尾を持つギンとはやはり戦いたくないと思いました。はい。

「オオオオ……オ、オオオオオオオ」

 うなり声を上げながらドラゴンは倒れる。心臓を突かれたのだ、もう助かるまい。
 一安心しながら集合する。ひとまずお疲れ。

「お疲れ様であります!」
「おつかれー、ポコ大丈夫だった?」
「うん、なんとか。でももしあのビームが来たら、これで弾いちゃうけどねっ」

 またしても別の文字が刻まれたルーン石を見せてくるポコ。やっぱり隠し持ってたか。

「それで、どうする? ギン」
「クゥゥン」
「犬かよ。可愛いなおい」

 敵意はないらしい。しかし大人しいな、交渉とかできないかな。

「あー、私の言葉理解できる?」
「クゥン?」
「ですよね。ん?」

 なんか視界の端の方で何かが光ったような気が……探してみよう。
 岩の隙間に何かが挟まっていた。これは……あの時の宝石だ。そういえばギンを呼び寄せるためにこの宝石を使ったんだっけ。

「ほれ」

 宝石をギンに見せる。元々上げる予定だったのだ、くれてやろうではないか。

「クゥンクゥン!」
「おお、嬉しいか嬉しいか、そうかそうか。おーよしよしよしよし」

 顔を近づけてきたので盛大に撫でまわしてやった。お、おいこの子すごい可愛いよ、なにこれ、本当にドラゴンなの?

「えっちゃんが一番気に入ってるじゃん」
「うるさいなー。ギン、これ食べないの?」
「クゥン?」

 ギンはなんで? とでも言いたそうな声を出しながら首をフルフルと振った。食べないのね。

「食べないのか……え、じゃあ鉱石は食べるの?」
「クゥン」

 今度はさっきと同じ応えだよと言いたげな声で同じように首を振る。

「食べないんだ、じゃあこのドラゴンが犯人だね」
「なんで意思疎通できてるの……」
「確かに、でもなんとなくわかるよ? よくわからないけど向こうも理解してるし」

 奇妙な感覚だ、最初は言葉を理解していないと思っていたギンと当然のように会話ができているような気がする。しないでもない。多分会話してる。てか絶対してる。

「じゃあ、隊長、お願い」
「りょ! であります!」
「流行ってるのそれ?」

 ドラゴンの回収は隊長にお任せして、私はギンと戯れることにしたのだった。
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