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第二章 お見合い編
ドレス
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「ごめんね、もう大丈夫」
涼風をぎゅうと抱きしめて元気をもらう。
リボンを解いた大きな箱には、おちついたピンクシフォンのエンパイア型のワンピースドレスがはいっていた。
半袖のパフスリーブの袖口と、胸元から首にかけてクロスして結ぶオフ地の絹のリボンがついていて可愛らしい。
「わぁ、可愛い」
「あらあら、若様も張り切りましたねぇ、お嬢様、お手伝いいたしますわ?晩餐には、それを着ていきましょうねぇ」
開けっぱなしになっていたドアからさっきの2人のメイドさんが花瓶にいけられたお花を手に入ってきた。
50代ぐらいの優しそうな上品でふくよかな女性と、20代ぐらいの赤髪おさげの女性。
「マキノと申しますわ。お嬢様専属で侍女を申しつかりました。こっちは私の娘ですの。」
「レレと申します!」
和やかで丸っこい優しいマキノさんと、赤髪でそばかすのある素朴な感じがするレレさんは、笑った顔が何となく似てる。
優しそうな人達でよかった。
きっとこれも月宗様が采配してくれたんだろうと分かる。
「若様から絶対に守れと申しつかっておりますの。首ったけですわねぇ」
「私達は強くはありませんが、壱が来るなんて!百人力です!」
レレさんが嬉しそうにぴょんぴょん飛び、涼風も真似して跳ねるのがおかしい。
「ふふ、花柳院 結衣と申します。こっちは天衛の涼風」
涼風の頭を撫でながら自己紹介をする。涼風も受け入れてもらえていそうで安心する。
「あの、お二人は八咫烏一族の方なんですか?」
何となく名前の感じから問うと、二人揃ってうなずきニコニコと笑う。
「私達は若様の御幼少の時からの臣下ですの。絶対の信頼を下さっているからこそお嬢様に私どもをお付けになったのですわ。若様の大事な方にお仕えできて幸せにございます」
「そう……でしょうか。そうだったら、嬉しいです」
「おやおや、まあまあ!若様も隅に置けませんわねぇ!お嬢様、晩餐まであと半刻ほどにございます。さあさぁ、まずは湯浴みを!」
びっくりするぐらい手際良く着物を脱がされて、やけに広いお風呂に入れられた。
涼風までレレさんに剥かれて私の膝におさまった。
「じ、じ、自分で、できますから……」
楽しそうに張り切っている二人に抗議するけれど、尻すぼみになってしまう。
ワックワクでお世話されてる…………
涼風は泡で遊び始めてるし、頓着なさそう。
「お嬢様のお髪はこのレレにお任せください!ひゃあ、柔らかい!艶々!!可愛い!!」
テンションの高いレレさんが、私の長い髪に泡を付けていく。
母が亡くなるまで続けた日本舞踊の習い事の為に伸ばしていただけの長い髪。
思ったよりも今日一日緊張していたのか、小さな涼風を膝に乗せてお湯に浸かると力が抜けて、恥ずかしいはずなのにウトウトと眠りに落ちた。
◇◆◇
「ん…………ここどこ」
窓から気持ちいい夕方の風が入り、天蓋から垂れる布がサラサラと揺れている。
私はバスローブを着ていて、ふわふわのぬいぐるみを抱いて……
「って、涼風!?かわわわわ!可愛すぎる!目が潰れる!!」
なんと涼風はふわふわのテディベア着ぐるみを着ている!!
モコモコのつなぎで、すっぽり小さなお顔がおさまるフードキャップの部分にクマ耳が!!!布面はそのままだけど可愛い!!!
「お嬢様~起きましたか!では!」
ひょいとレレさんにお姫様抱っこされ、ドレッサーにふんわり下ろされた。
ひぇ、八咫烏、女性でも力持ち!
涼風はクマのまま私の膝によじ登り、長い黒棒を出したり消したりして遊びはじめている。
「クマが…………武器持ったクマが…………可愛いっ!」
「あはは気に入りました?涼風のお着替えが無かったんでひとっ走り行って買ってきたんです!」
「最高です!!!」
「やった!じゃあ若にもっとおねだりしましょう!!!涼風のお着替えは必要経費です!!!!」
ふんす!と意気込むレレさんと大笑いして、ご機嫌に一人遊びをする涼風を抱きしめる。優しい気持ちに囲まれる事が嬉しくて、なんだかムズムズする。
丁寧にブラシをかけられて、顔にパックまでされた。涼風がパックを珍しがって、自分の布面と同じなのか触ろうとするのをレレさんが慌てて止めるのが面白かった。
「あのドレスならそんなに着るの大変じゃないですし、ヘアセットから先にしましょうか。涼風もそこで楽しそうですし!」
大人しく私の膝で一人遊びする涼風はご機嫌だ。クマ、気に入ったのかも。
「はい、お願いします。嬉しい」
人に優しくされるのも、こんなふうにお姫様みたいに扱われるのも、慣れないけれど嬉しい。
「お任せください!若をメロメロにしてやりましょう!あ、もうなってますけど!」
本当にそうならいいのに。
大きな愛情を感じるはずなのに、どこか自信がない。
「お嬢様、大丈夫です!!私共が保証しますわ?」
マキノさんがドレスと小箱をいくつか持って来て私に見せる。
「妖狐の当主からの物です。今日のドレスにはこちらが合うかと」
白い小花が何個も付いたピアスとネックレス。お揃いのヘアアクセサリーまである。白珊瑚らしく、艶々のぷっくりした花弁が可愛らしい。
「妖狐の一族からの物をつけるの?」
彼女達は八咫烏一族で、月宗様の臣下だ。月宗様のプレゼントだけ持ってくると思ったのに。
「まぁ!お嬢様、いいのです!使える物は使いましょう!ドレスに似合うアクセサリーを用意出来なかった若様が悪いのですから!」
「ふふふ、じゃあ、そうしようかな?ヘアアクセだけは、これを使いたいの。お願いできますか?」
「「まぁ!!!」」
涼風をぎゅうと抱きしめて元気をもらう。
リボンを解いた大きな箱には、おちついたピンクシフォンのエンパイア型のワンピースドレスがはいっていた。
半袖のパフスリーブの袖口と、胸元から首にかけてクロスして結ぶオフ地の絹のリボンがついていて可愛らしい。
「わぁ、可愛い」
「あらあら、若様も張り切りましたねぇ、お嬢様、お手伝いいたしますわ?晩餐には、それを着ていきましょうねぇ」
開けっぱなしになっていたドアからさっきの2人のメイドさんが花瓶にいけられたお花を手に入ってきた。
50代ぐらいの優しそうな上品でふくよかな女性と、20代ぐらいの赤髪おさげの女性。
「マキノと申しますわ。お嬢様専属で侍女を申しつかりました。こっちは私の娘ですの。」
「レレと申します!」
和やかで丸っこい優しいマキノさんと、赤髪でそばかすのある素朴な感じがするレレさんは、笑った顔が何となく似てる。
優しそうな人達でよかった。
きっとこれも月宗様が采配してくれたんだろうと分かる。
「若様から絶対に守れと申しつかっておりますの。首ったけですわねぇ」
「私達は強くはありませんが、壱が来るなんて!百人力です!」
レレさんが嬉しそうにぴょんぴょん飛び、涼風も真似して跳ねるのがおかしい。
「ふふ、花柳院 結衣と申します。こっちは天衛の涼風」
涼風の頭を撫でながら自己紹介をする。涼風も受け入れてもらえていそうで安心する。
「あの、お二人は八咫烏一族の方なんですか?」
何となく名前の感じから問うと、二人揃ってうなずきニコニコと笑う。
「私達は若様の御幼少の時からの臣下ですの。絶対の信頼を下さっているからこそお嬢様に私どもをお付けになったのですわ。若様の大事な方にお仕えできて幸せにございます」
「そう……でしょうか。そうだったら、嬉しいです」
「おやおや、まあまあ!若様も隅に置けませんわねぇ!お嬢様、晩餐まであと半刻ほどにございます。さあさぁ、まずは湯浴みを!」
びっくりするぐらい手際良く着物を脱がされて、やけに広いお風呂に入れられた。
涼風までレレさんに剥かれて私の膝におさまった。
「じ、じ、自分で、できますから……」
楽しそうに張り切っている二人に抗議するけれど、尻すぼみになってしまう。
ワックワクでお世話されてる…………
涼風は泡で遊び始めてるし、頓着なさそう。
「お嬢様のお髪はこのレレにお任せください!ひゃあ、柔らかい!艶々!!可愛い!!」
テンションの高いレレさんが、私の長い髪に泡を付けていく。
母が亡くなるまで続けた日本舞踊の習い事の為に伸ばしていただけの長い髪。
思ったよりも今日一日緊張していたのか、小さな涼風を膝に乗せてお湯に浸かると力が抜けて、恥ずかしいはずなのにウトウトと眠りに落ちた。
◇◆◇
「ん…………ここどこ」
窓から気持ちいい夕方の風が入り、天蓋から垂れる布がサラサラと揺れている。
私はバスローブを着ていて、ふわふわのぬいぐるみを抱いて……
「って、涼風!?かわわわわ!可愛すぎる!目が潰れる!!」
なんと涼風はふわふわのテディベア着ぐるみを着ている!!
モコモコのつなぎで、すっぽり小さなお顔がおさまるフードキャップの部分にクマ耳が!!!布面はそのままだけど可愛い!!!
「お嬢様~起きましたか!では!」
ひょいとレレさんにお姫様抱っこされ、ドレッサーにふんわり下ろされた。
ひぇ、八咫烏、女性でも力持ち!
涼風はクマのまま私の膝によじ登り、長い黒棒を出したり消したりして遊びはじめている。
「クマが…………武器持ったクマが…………可愛いっ!」
「あはは気に入りました?涼風のお着替えが無かったんでひとっ走り行って買ってきたんです!」
「最高です!!!」
「やった!じゃあ若にもっとおねだりしましょう!!!涼風のお着替えは必要経費です!!!!」
ふんす!と意気込むレレさんと大笑いして、ご機嫌に一人遊びをする涼風を抱きしめる。優しい気持ちに囲まれる事が嬉しくて、なんだかムズムズする。
丁寧にブラシをかけられて、顔にパックまでされた。涼風がパックを珍しがって、自分の布面と同じなのか触ろうとするのをレレさんが慌てて止めるのが面白かった。
「あのドレスならそんなに着るの大変じゃないですし、ヘアセットから先にしましょうか。涼風もそこで楽しそうですし!」
大人しく私の膝で一人遊びする涼風はご機嫌だ。クマ、気に入ったのかも。
「はい、お願いします。嬉しい」
人に優しくされるのも、こんなふうにお姫様みたいに扱われるのも、慣れないけれど嬉しい。
「お任せください!若をメロメロにしてやりましょう!あ、もうなってますけど!」
本当にそうならいいのに。
大きな愛情を感じるはずなのに、どこか自信がない。
「お嬢様、大丈夫です!!私共が保証しますわ?」
マキノさんがドレスと小箱をいくつか持って来て私に見せる。
「妖狐の当主からの物です。今日のドレスにはこちらが合うかと」
白い小花が何個も付いたピアスとネックレス。お揃いのヘアアクセサリーまである。白珊瑚らしく、艶々のぷっくりした花弁が可愛らしい。
「妖狐の一族からの物をつけるの?」
彼女達は八咫烏一族で、月宗様の臣下だ。月宗様のプレゼントだけ持ってくると思ったのに。
「まぁ!お嬢様、いいのです!使える物は使いましょう!ドレスに似合うアクセサリーを用意出来なかった若様が悪いのですから!」
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「「まぁ!!!」」
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