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第1章
シスターズ1
しおりを挟む私の部屋の規模がすごい。
寝室にリビング、バスルーム、簡易キッチンに客室まである。
クローゼットは……部屋だ。クローゼットじゃない。部屋。それが謎に二つ。一つはもう沢山のドレスが入ってる。もう一つは何に使うの?とテオ君にきいたら、これからプレゼントされた分をいれていくんだそうだ。
セフィロス様、プレゼント魔だと思う。
「姫様!お疲れ様でした!今お茶を淹れますね!僕あれからシスターにならって特訓したんです!」
「わぁすごいね!でもテオ君も一休みしてね!」
私の数少ない荷物はテオ君が綺麗に鏡台やクローゼットに入れてくれていた。
子どもを働かせることに抵抗があるので、私のお友達枠で、とセフィロス様に相談したら、テオ君の仕事を奪わないであげて欲しいと逆にお願いされてしまった。
貴族以外の子どもの学校がないので、教会の孤児院に逆戻りするだけなのだそうだ。
しかめっつらをしながら真剣に紅茶を入れる姿が微笑ましい。
「それがおわったら、お兄さんに甘えにいっておいで。それが次の仕事だよ。アラン君、王城の方に帰っちゃうでしょ?」
テオ君は一瞬キョトンとしたあと、はにかみながら「はぃ…………」といって赤くなった。
うちの子が可愛いぃ!!
テオ君が入れてくれた温かい紅茶を飲んで一息付いていると、開け放してあったドアからセフィロス様がシスターを引き連れて入ってきた。
若いシスターが三人静かに入ってくる。
グレーのベールで髪を覆って、同色のシンプルな修道衣をきている。
「リリ様、テオを付けましたが侍女も必要でしょう。この者達を付けますので何なりとお申し付け下さい。
三人ともリリ様と歳の近い者たちですので心やすくお過ごし頂けると思います。
君たち、頼みますね」
「はい猊下!誠心誠意お支えいたしますわ。
落ち人様、私レネと申します」
ツンとした赤い吊り目の女の子につづき、残りのニ人も自己紹介する。
「フリーシャでございます」
「アリスでございます」
残りの二人は糸目ちゃんと紫のきれいな目。
三人とも所作がとても美しい。
「リリと申します。宜しくお願いいたします」
「行儀見習いに聖教会に来ている者達です。ここにいる間は地位が剥奪されるため、家名を名乗ることが許されませんが、三人とも高位の貴族令嬢なんですよ」
へぇ、聖都の主教会ともなると行儀見習いの場所になるのか。すごいなぁ。
貴族令嬢って言うのも頷ける。背筋がぴん!っとしてる。
「晩餐の時にお迎えに参上します。お疲れでしょう、お身体を休めてくださいね。お約束した泉に参りましょう」
「はい、ありがとうございます」
セフィロス様が部屋を出ていったので、令嬢シスターズと私だけが部屋に残された。
き、気まずい……。
「あ、あの、晩餐の前に着替えた方がいいですか?」
ずっと馬車にのっていたから埃っぽいきがするけど、このままでいいのかな?と思ってレネさんに話しかけると、三人でアイコンタクトをし、ニヤニヤ笑う。
「あちらにいっぱいあるんじゃないですか?」
レネさんがクローゼットの方を指先すと、残りニ人がクスクス面白そうに笑う。
あぁ、そうゆう感じ?
女子特有の陰湿さ。小学生みたい。
こちらの世界に来てから優しい人にしか会ってこなかったから完全に油断してた。
悪意を向けられる理由は分からないけれど。
◇◆◇
「あれ?ドアが空いたままだ?姫様?」
「あ、テオ君おかえり~お兄さんと会えた?」
「はい!今度聖都一番のお菓子屋さんに連れて行ってもらうんです!姫様も一緒に行きましょう!!」
「ふふふ、良かったねぇ。行けたらいいな」
「はい!…………あの、姫様……?湯浴みはお嫌でしたか?その、湯浴みとお着替えの時間だったと思うのですが…………」
「あ~~、シスターさん達忙しかったみたい。テオ君、使い方教えてくれる?私一人で大丈夫」
「え、でも…………」
「いいのいいの一人の方が気楽だし。さ、お願い」
バスローブをもってさっさと浴室に入る。
「こちらの魔石にさわれば天井からシャワーが出ます、こっちはバスタブ用。あの、温まって頂きたいですし、僕、お風呂の用意を致しますね」
「ありがとう、今日は大丈夫だから明日からお願いできる?」
「はい…………」
頭から熱いシャワーを浴びる。
剥き出しの悪意に晒されると体が縮む様な感覚がしてソワソワする。
大丈夫、こんなのは日本でだって散々経験してきた。
女子として生きてれば誰だって経験してる。
大丈夫、大丈夫。
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