グリフォンに転生した...らしい。

キンドル・ファイバー

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大氾濫!?魔物が攻めてきた!!

群れの掃討戦らしい(前編)

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 氾濫に対抗すべく駆り出された俺と、この騒動に自ら飛び込んでいった、好戦的な金髪ロリのキィナ。

 あっ、やめっ、羽毛を抜くんじゃない!〈モンスターテレパス〉で心を読んで、ロリ呼ばわりしてるとこを見つけるとは目敏いやつめ!!


 ...魔力使えば羽は生えてくるからいいものの、戦いの前に無駄に魔力を使わされてしまった。
 まぁ、戦闘であまり魔力を激しく消費する機会は、今のところ殆ど無いし大丈夫だとは思うが。


 俺達はそんなやり取りをしながらも、前方から散発的に襲ってくる魔物に〈眠羽〉を放ち、動きが悪くなったところを他の冒険者達に片付けて貰ってる。

 大体が弱い魔物ばかり、と高を括ってたが、ゴブリンがウルフに乗ってたり、鳥の魔物が空から石を落としたりと魔物同士が連携しており、以外と厄介そうであった。

 これも氾濫とやらの特徴なのか、それとも魔族が率いているからなのか。


 それと、冒険者で物好きな奴でもいるのか、睡眠毒が残ってる俺の羽を拾って寝てる奴がいる...アホか?

 キィナに、俺の羽は毒があるから拾わないように冒険者達に伝えて貰いつつ、寝てしまった冒険者を周りに叩き起こして貰う。

 起こすために水をぶっかけるのはいいが、武器で殴るのは止めてあげて、負傷したら戦力が減る。
 俺も寝てしまった冒険者に水魔法をぶっかけとく。


 俺の眠羽のお陰で魔物からの被害はほぼ無い。だが、俺の眠羽のせいで進軍が遅れ、起こすために味方を殴る蹴るの暴行を加える荒っぽい冒険者のせいで、味方に軽傷者も出ている。

 うーむ、便利で頼りがちだが、この場合俺は眠羽をしない方がいいのかもしれない。
 
 取り敢えず、味方が密集してるうちは、眠羽じゃなくてただの〈羽矢〉で攻撃するか。
 睡眠効果はなく、ただ羽を飛ばしてぶっ刺してダメージ与えるやつだ。

 因みにキィナは前線で暴れてる。俺は後衛で羽ぶちまけてた。
 普通のテイマーやサモナーは逆である、積極的なキィナと消極的な俺の性格が出るな。キィナからの指示もないし、俺も好きにさせて貰うが。


 キィナや近接職の冒険者が前線で戦い、俺はその後ろの上空で羽矢による攻撃や、空からの魔物の迎撃、その後ろで魔法使いや弓を使う冒険者達が戦っている。

 何気に俺の仕事量が多いことに気がついた。前衛が戦う敵を削り、後衛が狙われそうなときに守る。忙しすぎる。

 これはまさしくあれだな、ブラック企業だ。ブラック・オブ・冒険者ギルド。

 なんでこんな単語とか、下らないネタ覚えてて、前世の記憶無いんだよ俺。知識だけは結構残ってる感じなんだよな。


 後衛が鳥の魔物に狙わそうな時に、その鳥を鑑定して引き付ける。
 1回鑑定して無視された時でも、10回くらい連打すれば血走った目でこっちに来てくれるから、態々守りに行かなくて良いのは便利だ。
 普段は狙われたくないからあまり使わないが。


Lv25
名前:なし
種族名:フォールクロウ
体力:150/150
魔力:100
攻撃:180
防御:120
魔攻:80
魔防:80
速さ:150
 スキル
投擲Lv4 嘴Lv2 爪Lv4
 魔法
土Lv3 風Lv2


 なるほど、上からめっちゃ石投げてくると思ったら、土魔法で作って落としてたのか。これはウザい。
 握り拳サイズの石を降らせて来るから、魔法系の冒険者達の頭に直撃したら死にかねない、大変悪質な攻撃である。

 向かってきたカラスを、こちらも鳥の前足で握り潰す。ステータスと体格に差がありすぎて、この鳥程度は余裕だ。

 握り潰した鳥をつまみ食いしてみる。ちょっと血生臭いし硬いけどいける。レバー感覚。呑んだこと無いけどビールに珍味として合うかもしれない。



 冒険者達と共に、ウルフに乗ったゴブリンや、上から石を投げてくる鳥(カラス)、あと地味に紛れてたスライム等を片付けた先には、魔物の小隊とも呼べる数の魔物がいた。

 二足歩行の豚のオーク、ゴブリンより少し大きい進化系であるホブゴブリン、奥にはオーガが数体と魔族らしき人が1人。


 群れの中の魔族に向かって、冒険者チームの先頭を歩いていた男が声を張り上げ、話しかける。

 この男は、俺達冒険者チームのリーダー役に抜擢(強制的に)されたらしい不遇な人で、名前は忘れた。青髪で青い鉢巻を付けてて、スラッとした涼しげな雰囲気のイケメンさんだ。

 他のメンバーに、筋肉質で赤い髪赤い鉢巻の見た目が暑苦しいイケメンな人がいるから対称的だなー、と記憶の片隅にある。
 なんとかオブ・ソードみたいな名前したチームに所属しており、そこでもリーダーをさせられているらしい。

 どうでもいいが、キィナもお前らもオブとか付けるの好きなのか。


 彼が魔族に何を話しかけたかと言うと、ドリミドールの親交を蹴った南の魔族なのか、なぜ国の近くで魔物を集めている、戦争を始める気なのか。
 といった感じの内容である。...冒険者じゃなくて将軍とか前線に立つお偉い立場の人が、敵対勢力に聞きそうな内容な気がする。なんとなくだが。

 彼に対する魔族の返答は、聞くに耐えない罵倒である。

 人間がゴミカスとか、軟弱ものだとか、国の資源を有効活用してやるとか好き放題言ってる...うん、コイツは喰って良いかな。なかなか旨そうだし。でも臭そうかな?

 因みに相手の魔族はぽっちゃり系である。肌は浅黒い肌...というより灰色だな、頭には申し訳程度の小さい角、髪は黒で、背中からは、用途不明の小さい羽が生えており、典型的な悪魔の尻尾みたいなのも生えている。


 俺がぽちゃ魔族を観察していると、そいつが俺に気がついてなんかめっちゃ騒ぎだした。

 めっちゃ唾を飛ばしながら色んなことを言ってるから、鳥頭の俺はほぼ右から左に聞き流してしまった。
 だがなんか「人間を襲えー。」とか「俺を乗せろー。」とか「我等が魔王軍先触れとなるのだー。」的なこと言ってたと思う。

 あのデブ乗せるのは嫌だな...なんか風呂入ってなさそうで臭そうだし。
 俺は砂浴びと水浴びを欠かさない綺麗好きなのだ。


 取り敢えずよくわからないから首をかしげながら無視してると、ぽちゃ魔族は勝手にぶちギレて騒ぎながら魔物に突撃命令出し始めた。

 こちらの数、従魔含めて約40人程度。相手は100体近く。

 流石に冒険者達だけで全滅させるのは厳しいから、少し攻めて魔物を削ったら撤退すると青いリーダーさんが言ってる。
 だが、俺としては巣の安全の為に奴らを壊滅させたい。

 俺は互いの軍勢が衝突する前に、前線のキィナの元へ飛び、彼女の襟元を咥えて半ば強制的に背中に乗せ、騎乗状態での戦闘態勢を整えさせる。

 キィナは最初、降りて歩兵同士でぶつかり合う戦いを望んでいたが、敵軍にこのまま先陣を切り突っ込み、俺らで敵軍を崩壊させる事を伝えると喜んで同意してきた。
 割りとキィナは単純である。しかし、こういうノリの良さは結構好きだ。


 こうして俺は、キィナに自軍の冒険者達に一声伝えさせて、敵軍に突撃することにした。






 どうやら俺達は、小規模な戦争みたいな戦いをすることになった、らしい。

______________________
○フォールクロウ
 木の実を高いところから落として割ったり、獲物の頭上に石を落として攻撃する、1m弱の大きさのカラス型の魔物。
 雑食性で、自分より大きい人間や魔物にも群れで襲いかかる好戦的な性格。

 しかし、石を落としても倒せない相手からは即逃げ出す。ズル賢い。

 肉は固めで、良く言うと少しレバーっぽい味...悪く言うとちょっと血生臭い味がする。好みが多少別れるが、一般的にはそんなに美味しいとされるものではない。
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