義弟になるか義兄になるか争ってるうちに、僕は××を失いました。

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………ん?


友哉の声………?


………また、怒鳴ってる?


またかぁ………そんなに怒るなよ………。


せっかくイケメンなんだから、ニッコリ笑ってくれたらいいのにさぁ………。


………つーかさ、今。


フワフワして、なんだかあったかくて。


すげぇ気持ちいいんだから邪魔すんなよなぁ。


人生初の合コンで、めいっぱい楽しく過ごしてさぁ。


相原なんて、すんげぇイイ奴だし………。


「………友哉ぁ、怒んなよぉ」


実際、口に出したかどうかも定かじゃない。
口がちゃんと動いていたかも分かんないし、あったかい布団かなんかに包まれている感じがしたから、ひょっとしたら寝言なんじゃないかって思われちゃったかもしれない。

それくらい………ぼんやりして。

18年生きてきて、無茶無茶気持ちイイことに遭遇した僕を、友哉に邪魔して欲しくなかったんだ。


………にも、かかわらず。


「バカっ!!」


友哉の怒号と共に、僕を包んでいたあったかい布団のようなモノが無理矢理剥ぎ取られたと思ったら、腕を痛いくらい強引に引っ張られて………。


………何、すんだよぉ……友哉ぁ。


いてぇよぉ。


相変わらず、友哉が僕の耳元で何か喚いていて……なんだよぉ。


邪魔ばっかりすんなよ………。


あーあ……。


あーあ………なんなんだよ、友哉ぁ。



「っ……うぁっ!?」


体が床に叩きつけられた痛さと、頭から浴びせられた強いシャワーの衝撃で、ぼんやりしていた僕の視界と頭が急にクリアになる。


な……なに???


なに………?!


「未成年のクセに酒なんか飲まされやがって!!酔いがさめるまでそこにいろ!!このチビッ!!」

友哉の怒号が耳に届くや否や。


………サーッと、血の気がひくってのを、リアルに感じた。


僕を床に叩きつけたのは友哉で、叩きつけた場所は家の風呂場で。
服を着たままなのに、頭からシャワーを浴びせられて………。
服が水を含んで重たくなってるせいなのか、こんなとこで溺れるわけないのに息が苦しくなって、心底、溺れるかと思った。


………酒なんか、飲んでないのに。


なんで酔ってるって言うんだ、友哉は???


そう思うと、無性に腹が立ってきた。


「………飲んでない。………だから、酔ってないし」

そう僕が言ったのが、友哉にはシャクに触ったんだろう。
もの凄く怒りに満ちた目で、友哉は僕を睨みつけた。

「酒くせぇんだよ!!」

雷オヤジみたいな怒鳴り声が風呂場に響いた瞬間、風呂場のドアが派手な音を立てて勢いよく閉まる。


………酔ってない。


………今ので。


完全に、眠気が吹き飛びマシタ。


やべぇ………。


何か、よく分かんないけど………。


友哉がめちゃめちゃ怒ってる。


僕が知る限り、史上最強に怒ってるよ……。


あんなに友哉が怒るくらいだから………万が一、無きにしも非ず、悪魔でも、ひょっとしたらの可能性で気付かない内に酒を飲んでたのかも………。
そう自覚した僕は、弾かれるように体が動き出した。
濡れて重たくなった服を秒速で脱ぎ捨てて、頭の先から爪先まで泡だらけになるくらい体を洗う。
………真面目なだけが取り柄だったのに、酒飲むなんて………。


僕は……僕は……僕は、不良だーっ!!


後悔の念に苛まれながら、風呂場から出ると僕の着替えが準備されていて。

………余計、怖さが込み上げてきた。

変に混乱しながらも、いそいそと服を着替えた僕は、変にカラカラする喉を潤したくて、リビングのドアを開ける。

「……………」
「………と、友哉」

ドアが軋む音と同時に、ダイニングチェアに座る友哉が、僕の方をキングコブラみたいな冷たい目でひと睨みするから。
その圧迫感満載の友哉のオーラと、その睨みが相まって………思わず震えあがった。

………ヘビに睨まれたカエル、って昔の人はよく言ったもんだ。

まさしく、こういう状況のことをいうんだろうな。

「………おまえ、どこまで覚えてんだよ」
「どこまでって……」


ガンッー。


友哉の拳が派手な音を立ててる。

その弾みで母さんが生きていた頃から使っているダイニングテーブルが、真っ二つに割れんばかりに悲鳴を上げた。


………こ、壊すなよぉ……マジで。


「話……女の子とか、相原とかと話して……えと、えと………えぇ?」

濡れた髪にかけたタオルを両手でイジイジしながら記憶を反芻するも、女の子の笑顔や相原の笑顔がぼんやりするだけで………。
友哉の史上最強な逆鱗にふれるような僕自身の行為が、全く思いつかない。

「………本当に、分かんないのか?」
「………全く、記憶にございません」

詰め寄るように、そうだ、テレビで見るドラマの中の刑事の尋問みたいに「おまえが犯人だろ」的なもの言いに、僕は思わず、ニュースで見る悪い政治家みたいな返事をしてしまった。

「………そう、か」

今までの、その鋭い視線を隠すように俯いた友哉は、ゆっくり立ち上がって………。


………一瞬、泣いてるように見えたんだ。

僕は、友哉が………泣いてるように見えたんだ。

「っ!!……なっ!!」

僕の頭がついていかないからか、ワープしたんじゃないかってくらい素早さで僕の両手首を掴んで、床に体を叩きつけるように押し付ける。


床ドン、壁ドン………。


叩きつけ、本日2回目。


いい加減、僕の体のどっかの骨が折れんじゃないだろうか………。


「………いってぇ!」
「いい加減、自覚しろ……よ」
「………は?」
「………無自覚、なんだよ。おまえ」
「な、なにが??何?」
「………高校ン時、どんだけ守ってやってたと思ってんだ!!」
「は??」
「近くにいたら、ずっと守れるって………。ずっと俺のモンだって………思ってたのに」
「はぁ???」

………酒、飲んだんだろうなってのは自覚あるよ?だって、あんだけ友哉に言われりゃ、どっかでうっかり飲んじゃったんだろうなって、さ。
だから、頭が回んないのは、当然なんだろうけど。
そう、今の僕の状態は、親父が酔っ払ってリビングでクダを巻いていた、効率が悪くて執拗なまでにからみだす、あの頭の回らなさと同じなんだろうけど。
それでも、僕は友哉の言ってることが検討つかない。


友哉の………。


イッテルイミガ、ワカリマセン。


高校ン時って、何?


守ってるって、どういうこと??


さらに、聞き捨てならないのが……。


〝俺のモン〟ってどういうこと???


「ごめん………。友哉、何……言って」
「………相変わらず。………どこまで鈍いんだよ!こんのチビッ!」
「チ……!!チビと鈍いのは、今関係ないだろ!!」
「っ!!………好きなんだよっ!!」
「何がだよ!!」
「おまえがだよ!!」
「はぁっ?!」
「円佳が!!好きなんだよっ!!」
「…………」

あまりのことに、言葉が出なかった。


どういう………こと???


僕が、つい………ついつい告った時は、僕のことガン無視したくせに。

僕を見つめる友哉の目が潤んで、揺れてて。
なんだか、熱っぽくて。
その視線から、目を逸らすことが出来なかった。


………は、反則だ。


バレーボールの反則でいうなら、オーバータイムズか、オーバーネットなんじゃね???

「かわいすぎんだよ!!円佳はっ!!ずっと……ずっと、かわいすぎるから………!!ずっと!好きなんだよ!!」


………衝撃。


なんか、あれだ。
かめはめ波、はいっちまったみたいな?
ゴムゴムのガドリング、くらっちまったみたいな?


ドン引き………いや、そんなんじゃなくて。
かと言って、友哉になんか言葉をかけるわけでもなく。

ちゃんとしたことを、なんか気の利いた事を………いつもみたいに「バッカじゃねぇの!!」とか、しおらしく「そんな……!」とか。

完全に思考停止した僕は、体中を血液にのって循環する酒のせいで、かなり思い切った行動をとってしまった。


首を傾げて、少し前に伸ばしたら………。


友哉の柔らかな唇に、僕の唇が重なって。


………あろうことか、僕が積極的に舌を絡ませて………濃厚な、大人な、キスをした。


そして、再びクランクランしだした頭で、僕は妙に安心感を覚えてしまったんだ。


………なーんだ。


僕だけじゃ、なかったんだ。


友哉も僕のことが……好きなんだ。


なーんだ。


そっからはもう、なんだか。
勢いっつーか、なんつーか。
この間みたいな必死感が爆発したようなエッチじゃなくて、全てがパチっとハマったみたいな。
レゴブロックのパーツを組み合わせた時みたいなしっくりくるエッチでさ。
僕の中を奥までグズグズにしてくれる友哉のソレが、あまりにも気持ち良くて。

い、いい訳じゃないぞ!!
酒に飲まれてるからかもしんないから、あえて言わせてもらうけど。
自分から腰を浮かせて、腰を振って。
友哉のキスがたまらなく欲しくなったりして。
さ、さけの、酒のせいかもしんないんだぞ?


………でも、すごく。


友哉のことが、より一層好きになった。


友哉とこうしていないと、ダメな気がしたんだ。


「あ、あぁっ……や、奥っ!………もっと」
「奥、いいの?イヤなの?」
「いい………いいぁ………や、やぁ」
「だから、どっちだよ」
「だ、から………いい……んやぁぁ!」
「ったく!!………どこまで煽んだよ!!かわいい顔して!!」
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