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2.ようこそ。ここは可笑しなお菓子の博物館
5.静かな夜とお月様
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夜はキライじゃなかった。静かで穏やかでヒンヤリとしていて優しい気分になれる。
暗いから不安って言う人もいるかもしれないけれどボクにはある強い味方が居た。
その味方はお日様の相棒、お月様。
彼(彼女かも)の光はお日様に比べて柔らかであまり明るくは無いけれど心を落ち着けるように包んでくれているように周囲を薄っすらと照らしてくれている。何より、熱くない。
ボクも飴細工の彼女もとっても溶けにくい特殊な素材で作られていたし、館内は空調も効いている。そうそう溶けはしない。え? そんなチョコやアメ無いって? まぁまぁ。実際ボクらがそうなんだから仕方がないでしょう?
青いネコ型のロボットや7つ集めると願いを叶えてくれるボールよりはずっと現実的だろう?
それはそうと。そんな溶けにくいボクらでも相手が直射日光なら話は別。春と秋と冬は大したことないんだけど、夏になるともう最悪。天窓から差し込んでくる光はさながらレーザー光線。
ただでさえ、全身が茶色いのにこれ以上日焼けしたらどうしてくれるんだ。焼きチョコレートなんてまっぴらごめんさ。
……そんなお日様との攻防も今日が最後だ。
なんだかんだ言ってボクはここでの生活が好きだった。変なセンセイ、変なバイト達、変なお客さん、飴細工のあの子、レーザー光線で攻撃してくるお日様に、優しく包んでくれるお月様。
そんなみんなともお別れだ。
とっても寂しい。目の前に、彼女の存在はそれだけボクにとって大きなものだったんだな。
お月様も他の展示品たちも、これを読んでいるキミでさえもボクの寂しさを紛らわす事は出来ない。
ボクは、孤独だ。喋りたい、動きたい。
その願いは……叶わない。叶えてくれないかい?
今夜も、そう語りかけるようにボクはただただ輝くお月様を見つめていた。もちろん知っていたさ。そんな事をする義務も力もお月様には備わっていない。と。
でも、ボクには他にする事がなかった。したい事、そして出来る事がが何一つ、なかったんだ。
暗いから不安って言う人もいるかもしれないけれどボクにはある強い味方が居た。
その味方はお日様の相棒、お月様。
彼(彼女かも)の光はお日様に比べて柔らかであまり明るくは無いけれど心を落ち着けるように包んでくれているように周囲を薄っすらと照らしてくれている。何より、熱くない。
ボクも飴細工の彼女もとっても溶けにくい特殊な素材で作られていたし、館内は空調も効いている。そうそう溶けはしない。え? そんなチョコやアメ無いって? まぁまぁ。実際ボクらがそうなんだから仕方がないでしょう?
青いネコ型のロボットや7つ集めると願いを叶えてくれるボールよりはずっと現実的だろう?
それはそうと。そんな溶けにくいボクらでも相手が直射日光なら話は別。春と秋と冬は大したことないんだけど、夏になるともう最悪。天窓から差し込んでくる光はさながらレーザー光線。
ただでさえ、全身が茶色いのにこれ以上日焼けしたらどうしてくれるんだ。焼きチョコレートなんてまっぴらごめんさ。
……そんなお日様との攻防も今日が最後だ。
なんだかんだ言ってボクはここでの生活が好きだった。変なセンセイ、変なバイト達、変なお客さん、飴細工のあの子、レーザー光線で攻撃してくるお日様に、優しく包んでくれるお月様。
そんなみんなともお別れだ。
とっても寂しい。目の前に、彼女の存在はそれだけボクにとって大きなものだったんだな。
お月様も他の展示品たちも、これを読んでいるキミでさえもボクの寂しさを紛らわす事は出来ない。
ボクは、孤独だ。喋りたい、動きたい。
その願いは……叶わない。叶えてくれないかい?
今夜も、そう語りかけるようにボクはただただ輝くお月様を見つめていた。もちろん知っていたさ。そんな事をする義務も力もお月様には備わっていない。と。
でも、ボクには他にする事がなかった。したい事、そして出来る事がが何一つ、なかったんだ。
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