妹よりブスな姉の幸せ

第六章 本格的な始動

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ライフスタイルを紹介する前に、ある晩の私の様子を少しだけ話すわね


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「さてっと……。色々あり過ぎて混乱しちゃう前にこれからの事、少しだけ整理しちゃった方がいいわよね。」

私はそう言って、前世の記憶が戻った時に書き始めたノートを引っ張り出したの。
勿論マーサは、このノートの存在を知らないし、見つけたとしても、前世時代に使用していた言語で書いてあるから読めはしないんだけどね。

ノートを広げ、羽根ペンにインクを着けると、

【公爵家を捨てると決意した時】
1.修道院へ行く（近くに住まいを購入し通う）。
2.購入した家で自給自足のスローライフをする。

【ウィンザード領へ移住する前】
1.修道院が無かった（後に調べて判明した）為、孤児院に行って通いのシスターになる。→子供達に読み書き算術を教え、生きていく知恵と手段を身につけさせる。
2.自給自足のスローライフは変わらず。
3.ぼちぼちユーリブランドの存続。

【ウィンザード領へ移住後（今現在）】
1.孤児院の子供達に読み書き算術を教える。←変わらず   
2. 1が出来る子を雇い入れる。→ユーリブランドの従業員として
3.孤児院の子供達に刺繍とレース編みを教える。→ユーリブランドの従業員にする
4.草木染めが出来る植物の栽培する。←近くの休耕地を購入後に
5.綿花の栽培→孤児院の子供達を働かせ給金を払う。後に農業長を立て、ユーリブランドから独立させる。綿花を使った製品の作成と販売を目的とした事業を始める。
6.ユーリブランドのフランチャイズの店をウィンザード伯爵領で始める。マーサを店長として雇う。販売ターゲットは庶民

「これでよし！かな？ま、また変更する事になったらその都度書けばいいよね。ふぅ……。いやマジ疲れたし。」

ノートに書き終えた私は、クグーッと身体を伸ばした後、ひと息きつくことにしたの。


という事で、ただ今私は、既に寝ているだろうマーサを起こさない様に、客間サロンで"紅茶クッキー”をお共に、私所有の土地で採れた茶葉で入れた美味しい紅茶を飲んでるのよ。
そう、一人で優雅なティータイムなうわけ。めちゃくちゃ素敵でしょ？
って最初からそのつもりで、サロンで書き物してたんだけどね。


「にしても、なんか壮大な"スローライフ”になっちゃったわね～。てか、最早スローライフとは言えなくない？」
と書き記したノートを見直し乍、改めてそう思ったの。
当初の予定していたスローライフとは程遠いものになってしまった今の生活を文字にした事で、現状をまざまざと見せつけられてしまった感じがしたわ。
私は急に"疲労感”に襲われてしまい、椅子に座ったままガックリと肩を落としてしまったの。

「はぁ……てか私ってば、やっぱ貧乏性なのかなぁ？
泳いでいないと死んでしまう魚みたいに、働いてないと駄目になっちゃうとか？
もしかして、そうなるように遺伝子に組み込まれてるのかしら？
もしそうだとしたら……怖い怖い。
そんな事考えたくも無いよ！」

そんな考えを振り払うように横に数回頭を振り、ふと窓の方を見やると、夜空には満天の星が瞬いてたの。
時刻は既に夜の十時くらいかしらね。
洋燈ランプの灯りの揺れに合わせて、壁に映っている私の影もゆらゆら揺れてるのはとても幻想的よね。

「てかザック様の話ってめちゃくちゃ長くない？男性って話は簡潔に！ってイメージあるんだけどね。ってまぁ、そんな大勢の男性を知ってるわけじゃないんだから、私の勝手な思い込みっちゃそうなんだけどね。」
本当でしたら、この時間帯はもう就寝していたはずだったのに、彼がこられた為に、全ての事が押せ押せで後回しになったのは事実。
だからこそこんな愚痴も出ちゃうってわけ


「ふぅ～」
と一つ大きく息を吐き、私は戸締りと火の元を確認したの。そして、洋燈を手に持って二階の自室に入ると、寝台近くのチェストに洋燈を置いて寝台に横たわったの。
少し身体を捻って洋燈に手を伸ばし火を消すと、布団を被り目を閉じた。

すると、私を待っていてくれた妖精達と
『おやすみ、アンジー。』
「おやすみリリアン。おやすみ、皆。」
『『『『『おやすみアンジー』』』』』
挨拶をすると、夢の世界へ落ちていったわ。
勿論妖精達彼等も私の枕元に置かれている小さな籠で作った寝台で、朝までぐっすり眠ったの。