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第12章 ブス姉が幸せになる為に(ブス姉vs元家族)
12
「ごめんなさい。ごめんなさいアンジェーヌ。お母様が悪かったの。弱かったの。ハワード殿下がリーナに懸想されていたのは知っていたのに…、貴女に対して酷い事をなさっていたのを知っていたのに……。弱いお母様は不敬を恐れて殿下に強く言えず、貴女に辛く当たってしまったわ。とても後悔してるの。貴女が殿下から婚約破棄され、マリヴェル公爵家から居なくなって漸く分かったの。貴女を愛していたことに…。ごめんなさいねアンジェーヌ。こんな弱いお母様を許して。」
と、高めのヒールを履いたとしても私より背の低いマリヴェル公爵夫人が、私の腰あたりに腕を回した状態で、縋る様に下から見上げてそう仰ったわ。そんな彼女の様子を見下ろしている私は、彼女に酷い嫌悪感を覚えてしまったの。
何故かってそれは
彼女のその表情が、視線が、言動が、子を思う悲劇の母親という役を演じているようにしか見えなかったからなの。
でも、私が何も言わないからか、夫人の顔には安堵の笑みが浮かんだの。きっと私が彼女の謝罪を受け取り、彼女の事を許したのだと思ったのね。そして案の定、私の元にマリヴェル公爵閣下も駆け寄って来られたわ。
「私からも謝罪をさせてもらおう、アンジェーヌよ。私はお前だけに公爵領の仕事を教えるのだけではなくハワード殿下にもしっかり教えるべきだったのだ。本当にすまなかった」
と仰いながらも私に頭を下げることもせず、そればかりか、夫人の肩をそっと抱き寄せられたわ。
まぁそのおかげで、夫人の腕が私から離れたのだから有り難かったけれども、二人共"謝罪”と言いつつ頭を下げないのは、人としてどうなのかしらと思ってしまうのは私の考え方がおかしいのかしら?
私はそんな事を思いながらも、これ幸いにとスッと大きく一歩後退して、
「おふた方の謝罪は受け取りました。私が、お二人の仰る今は存在しておらないアンジェーヌ嬢に確かにお伝え申し上げますわ。」
と申せば、目の玉が零れ落ちるのではないかと思うくらいに眼窩を大きく開かれたマリヴェル公爵ご夫妻。
「では、ウィンザード領に来られた目的が果たされたのでしたら、速やかにご退室頂けますでしょうか。若しくはこの後も私ランドルフ公爵家が次女アンジェリータ=ユーリ=ド=ランドルフとウィンザード伯爵令息アイザックス様との婚約式の見届けをなさりたいと仰るのでした、速やかにご着席頂き、式の進行をこれ以上妨げられる様な事をなさいませんように!」
と追い討ちをかけたの。
するとマリヴェル公爵閣下が顔を真っ赤にされて
「な!何を言っている!!私達がお前達二人の婚約式の進行の邪魔をしているだと?」
と、私の言葉に苛立ちをあらわにされたわ。
だから私はすっとぼけて
「あら?そうではございませんでしたの?おかしいですわね。違うと仰るので有れば何故、先程のマリヴェル公爵令嬢リーナカレンデュナ様の無礼をお許し下さったお義父様が「式の開始を」と仰ったのとほぼ同時に、マリヴェル公爵夫人が私の元に来られたのですか?そればかりか、公爵閣下迄もこの壇上に上がって来られ、ご自身の事ばかりお話をされていらしゃいましたわよね。」
と言って「先程のリーナカレンデュナ様と同じ"確認”ですわ」と持っていた扇で口元を隠したの。
そして絶句する公爵ご夫妻に
「周りをよくご覧になって?マリヴェル公爵閣下。あなた方がご自身を擁護しているだけの演説をなさっていらしたその間、この場におられる他の皆様方はずっと待ちぼうけをされていたのですわ。これを進行の邪魔と言わずしてなんと申しましょうか。」
と、扇で口元を隠したまま首をこてんと首を傾げながら冷たくそう告げたの。
と、高めのヒールを履いたとしても私より背の低いマリヴェル公爵夫人が、私の腰あたりに腕を回した状態で、縋る様に下から見上げてそう仰ったわ。そんな彼女の様子を見下ろしている私は、彼女に酷い嫌悪感を覚えてしまったの。
何故かってそれは
彼女のその表情が、視線が、言動が、子を思う悲劇の母親という役を演じているようにしか見えなかったからなの。
でも、私が何も言わないからか、夫人の顔には安堵の笑みが浮かんだの。きっと私が彼女の謝罪を受け取り、彼女の事を許したのだと思ったのね。そして案の定、私の元にマリヴェル公爵閣下も駆け寄って来られたわ。
「私からも謝罪をさせてもらおう、アンジェーヌよ。私はお前だけに公爵領の仕事を教えるのだけではなくハワード殿下にもしっかり教えるべきだったのだ。本当にすまなかった」
と仰いながらも私に頭を下げることもせず、そればかりか、夫人の肩をそっと抱き寄せられたわ。
まぁそのおかげで、夫人の腕が私から離れたのだから有り難かったけれども、二人共"謝罪”と言いつつ頭を下げないのは、人としてどうなのかしらと思ってしまうのは私の考え方がおかしいのかしら?
私はそんな事を思いながらも、これ幸いにとスッと大きく一歩後退して、
「おふた方の謝罪は受け取りました。私が、お二人の仰る今は存在しておらないアンジェーヌ嬢に確かにお伝え申し上げますわ。」
と申せば、目の玉が零れ落ちるのではないかと思うくらいに眼窩を大きく開かれたマリヴェル公爵ご夫妻。
「では、ウィンザード領に来られた目的が果たされたのでしたら、速やかにご退室頂けますでしょうか。若しくはこの後も私ランドルフ公爵家が次女アンジェリータ=ユーリ=ド=ランドルフとウィンザード伯爵令息アイザックス様との婚約式の見届けをなさりたいと仰るのでした、速やかにご着席頂き、式の進行をこれ以上妨げられる様な事をなさいませんように!」
と追い討ちをかけたの。
するとマリヴェル公爵閣下が顔を真っ赤にされて
「な!何を言っている!!私達がお前達二人の婚約式の進行の邪魔をしているだと?」
と、私の言葉に苛立ちをあらわにされたわ。
だから私はすっとぼけて
「あら?そうではございませんでしたの?おかしいですわね。違うと仰るので有れば何故、先程のマリヴェル公爵令嬢リーナカレンデュナ様の無礼をお許し下さったお義父様が「式の開始を」と仰ったのとほぼ同時に、マリヴェル公爵夫人が私の元に来られたのですか?そればかりか、公爵閣下迄もこの壇上に上がって来られ、ご自身の事ばかりお話をされていらしゃいましたわよね。」
と言って「先程のリーナカレンデュナ様と同じ"確認”ですわ」と持っていた扇で口元を隠したの。
そして絶句する公爵ご夫妻に
「周りをよくご覧になって?マリヴェル公爵閣下。あなた方がご自身を擁護しているだけの演説をなさっていらしたその間、この場におられる他の皆様方はずっと待ちぼうけをされていたのですわ。これを進行の邪魔と言わずしてなんと申しましょうか。」
と、扇で口元を隠したまま首をこてんと首を傾げながら冷たくそう告げたの。
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