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第三章 学園生活
第9話 学園生活 (大学部 2)
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大学部に入ってからの私の生活は、今までの窮屈で疎外感たっぷりだったものから、朝、休講や二限からの講義だと分かっていながらも、大学部へ羽田さんに送って貰うと言い屋敷を出て(ようは、うそついてるって事なんだけどね)、マンションへ行っては、寝る前の駿斗と話したり、執筆をしたりするといった自由時間のある、少しだけ開放的な生活に変わった。
そういえば、一度だけ父の運転手に後をつけられそうになった時があった。
それは、一限が休講になったある日の事。
いつもの様に大学部を通り過ぎマンションへ行こうとしていたのだが、時折車内のルームミラーをチラチラ見ていた羽田さんが、
「お嬢様。後ろをご覧にならずにお聞き下さい。先程より貴生氏の運転手の車があとを着いて来ています。如何なさいますか?」
と聞いてきた。SP経験者の羽田さんが言うのだから十中八九そうなんだろう。
「え?それは本当なのね?」
「はい。」
念の為の確認作業だったがキッパリと肯定された。
「分かったわ。マンションまで着いてこられると困るから……そうだ!この先に大きな書店があったわよね?そこに行きましょ。」
書店の地下駐車場に停車した私はインカムを耳に付け、私から離れた所から父の運転手の尾行をしながら指示をしてくれる羽田さんと会話をしながらさりげなく普通を装い、洋書を大量に購入して店を出た。
途中シャッター音が何度か聞こえたが、大方父に報告する為のものだろうと思っていた。が、父の運転手は途中私がトイレに行こうとした時までスマホを手にしたまま着いてきて為、店員さんから盗撮を疑われ警察沙汰になったそうだ。
馬鹿なの?どうせ父から、私の失態等の証拠写真を撮ったら臨時ボーナスをやろうとかって人参ぶら下げられて、ホイホイ乗ったんだろうけど……
その後その運転手は見かけなくなったと羽田さんが言ってたから、クビにされたっぽいわね。
それにしても何で今更私の事を調べようと思ったのかしら?
父の行動に疑問を持ちながらもしっかりと講義を受け、学校が終わって真っ直ぐ屋敷に帰った私を待っていたのは、桃花の襲撃だった。
「おかえりなさい、お義姉様。」
「えぇ。」
私は桃花を無視して部屋に入ろうとしたが、
「おっじゃましま~す。」
と言って桃花がズケズケと部屋に入って来たのだ。
「ちょっと桃花。私、貴女の入室を許可してないんだけど。」
「まぁいいじゃん。そんな事よりお義姉様。お義姉様の部屋っていつ見ても質素ってゆーか安っぽいってゆーかさ~。パパは同じで会社の社長なのに、なんで?お義姉様の部屋はこ~んななの?」
「……(こんな事もあるかと思って、前もってマンションに運んであるのよ。っていつ見てもって……いつ見てるのよ?鍵かけてあるのに。)」
「あ~そっか~。お義姉様、パパに嫌われてるもんね~。お義姉様のママが死んじゃってこの家にお義姉様1人しかいないのに、パパってば私のママの所にずっといたんだよ?パパはね~、桃花が欲しい物は何でも買ってくれる優しいパパなんだ。ほら!コレ見て?素敵でしょ?」
そう言って桃花は、ハイブランドのワンピースを見せびらかす様に立ち上がってくるりと回ってみせた。
「そう……素敵ね(華美過ぎて、服に着られてるところが貴女らしくてお似合いよ)。」
「そうでしょ?パパが買ってくれたの。お義姉様も社長の娘なら、これくらいの物着ないと恥ずかしいわよ?今度桃花がパパにお願いしてあげるね。買ってくれるか分かんないけど~。」
そう言って桃花は上機嫌で出ていった。
ふぅやっと出ていった。
てあの子…私の部屋を見て 「いつ見ても」って言ってたわね。一体いつ見たっていうのかしら…
時子さんがお掃除してくれる時間帯は、私達が学校へ行っている時だ。
その時に見たとしたら、桃花は学校へ行っていない日があったという事になる。
まぁいいか。この部屋は、私にとって仮住まいなんだもの、見られたって平気よ。仮住まいに余計な物は要らないものね。
それより…大学の卒業単位落としても、私は知らないからね?桃花さん
私は桃花に呆れて盛大に嘆息した。
そういえば、一度だけ父の運転手に後をつけられそうになった時があった。
それは、一限が休講になったある日の事。
いつもの様に大学部を通り過ぎマンションへ行こうとしていたのだが、時折車内のルームミラーをチラチラ見ていた羽田さんが、
「お嬢様。後ろをご覧にならずにお聞き下さい。先程より貴生氏の運転手の車があとを着いて来ています。如何なさいますか?」
と聞いてきた。SP経験者の羽田さんが言うのだから十中八九そうなんだろう。
「え?それは本当なのね?」
「はい。」
念の為の確認作業だったがキッパリと肯定された。
「分かったわ。マンションまで着いてこられると困るから……そうだ!この先に大きな書店があったわよね?そこに行きましょ。」
書店の地下駐車場に停車した私はインカムを耳に付け、私から離れた所から父の運転手の尾行をしながら指示をしてくれる羽田さんと会話をしながらさりげなく普通を装い、洋書を大量に購入して店を出た。
途中シャッター音が何度か聞こえたが、大方父に報告する為のものだろうと思っていた。が、父の運転手は途中私がトイレに行こうとした時までスマホを手にしたまま着いてきて為、店員さんから盗撮を疑われ警察沙汰になったそうだ。
馬鹿なの?どうせ父から、私の失態等の証拠写真を撮ったら臨時ボーナスをやろうとかって人参ぶら下げられて、ホイホイ乗ったんだろうけど……
その後その運転手は見かけなくなったと羽田さんが言ってたから、クビにされたっぽいわね。
それにしても何で今更私の事を調べようと思ったのかしら?
父の行動に疑問を持ちながらもしっかりと講義を受け、学校が終わって真っ直ぐ屋敷に帰った私を待っていたのは、桃花の襲撃だった。
「おかえりなさい、お義姉様。」
「えぇ。」
私は桃花を無視して部屋に入ろうとしたが、
「おっじゃましま~す。」
と言って桃花がズケズケと部屋に入って来たのだ。
「ちょっと桃花。私、貴女の入室を許可してないんだけど。」
「まぁいいじゃん。そんな事よりお義姉様。お義姉様の部屋っていつ見ても質素ってゆーか安っぽいってゆーかさ~。パパは同じで会社の社長なのに、なんで?お義姉様の部屋はこ~んななの?」
「……(こんな事もあるかと思って、前もってマンションに運んであるのよ。っていつ見てもって……いつ見てるのよ?鍵かけてあるのに。)」
「あ~そっか~。お義姉様、パパに嫌われてるもんね~。お義姉様のママが死んじゃってこの家にお義姉様1人しかいないのに、パパってば私のママの所にずっといたんだよ?パパはね~、桃花が欲しい物は何でも買ってくれる優しいパパなんだ。ほら!コレ見て?素敵でしょ?」
そう言って桃花は、ハイブランドのワンピースを見せびらかす様に立ち上がってくるりと回ってみせた。
「そう……素敵ね(華美過ぎて、服に着られてるところが貴女らしくてお似合いよ)。」
「そうでしょ?パパが買ってくれたの。お義姉様も社長の娘なら、これくらいの物着ないと恥ずかしいわよ?今度桃花がパパにお願いしてあげるね。買ってくれるか分かんないけど~。」
そう言って桃花は上機嫌で出ていった。
ふぅやっと出ていった。
てあの子…私の部屋を見て 「いつ見ても」って言ってたわね。一体いつ見たっていうのかしら…
時子さんがお掃除してくれる時間帯は、私達が学校へ行っている時だ。
その時に見たとしたら、桃花は学校へ行っていない日があったという事になる。
まぁいいか。この部屋は、私にとって仮住まいなんだもの、見られたって平気よ。仮住まいに余計な物は要らないものね。
それより…大学の卒業単位落としても、私は知らないからね?桃花さん
私は桃花に呆れて盛大に嘆息した。
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