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第三章 学園生活
第14話 学園生活(大学部 7)
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未だに仲良し家族ごっこをしている父達を残し、ダイニングから先に退室した私。自室にある冷蔵庫へ重箱を仕舞おうと、2階の階段を登っている時だった。
「百合香!」
突然名前を呼ばれ、階段の途中で声の主の方を向いた。
「……利樹さん。」
「その重箱、俺が持とうか?」
「いえ……。それよりなんの用でしょうか?」
「立ち話もなんだから、部屋の中で話さないか?」
「では、コレを部屋に置いてきますので、先に応接室でお待ち下さい。」
「昔みたいに百合香の部屋で話そうぜ。」
は?昔みたいって……一度も入れた事なんてないわよ。
「桃花の婚約者である貴方を部屋に入れる事は致しません。」
「固いなぁ……俺と百合香の仲じゃないか。」
ただの幼馴染みなだけでしょ?殆ど関わってないじゃない。
「利く~ん……どこ~?」
桃花だ!
「桃花?貴女の利樹さんなら、こちらに……「黙れ!!」ぐっ!!」
両手で重箱を持っていた為、私の口を塞ぐ利樹さんの手を払い除ける事が出来なかった。
私は咄嗟に、スリッパを片方脱いで蹴り飛ばし階段の下へ飛ばすと同時に、利樹さんの向こう脛を思いっきり蹴ってやった。
「いってぇ!」
「え?利くん?どうしたの?」
階段の下で、両手で脛を押さえる利樹さんを見上げる桃花。
「桃花。利樹さんが階段に足をぶつけてしまったみたいなの。」
「え?利くん大丈夫~?」
階段を駆け上がり、中央付近にいる利樹さんの所まで来た桃花は、痛そうに顔を顰める利樹さんを覗き込んでいた。
「利樹さん怪我をされたかもしれないから、貴女、婚約者の治療をしてあげたら?」
「そうだね。利く~ん、桃花が「痛いの痛いの飛んで行け~」ってしてあげるから、パパとママの所へ行こう?」
余程痛かったのか?利樹さんは素直に桃花に従って階段を降りていく。
しかし彼は振り向きざまに、
「覚えてろ!」
と口パクで言っていた。
覚えてるも何も…私は貴方と話す事なんて何もないし。
計画実行まで残り約2ヶ月
その間貴方に会わない様にしたら良いだけ。
全く……それにしてもとんだ元日になったものね。
いつもだったらお爺様達と過ごす年末年始だったのに。
私は自室に入ると、リビングでの会話であろう階下の人達の会話を聞きつつ、重箱を冷蔵庫にしまった。
明日からは、出来るだけ部屋で過ごそう。
今年は海外へ行かないという父達の話を事前に聞いていた大貫さんが、
「私が出勤する1月7日までの間、アノ奥方はお嬢の食事を作らない可能性があります。だからこれを……」
と言って、元日から7日までの食事の用意をしてくれたから。
春から一人暮らしを始めるにあたり、大貫さんから料理を習っている私。
IHの卓上コンロを購入してあるから、鍋やフライパンと最低限の食器があれば自室で過ごす事が出来る。
それにしても桃花。本当に『痛いの痛いの飛んで行け~』って……
本当に21歳の女性ですか?
こんな人に会社を任せようとしている父の気が知れない。
あ!そうか。だから利樹さんと婚約させたのか。
知らないわよ?利樹さんの夢は
『社長になる事』
おそらく、桃花と結婚して sirogane.coを乗っ取るつもりだと思う。
頑張ってね?お父様
「百合香!」
突然名前を呼ばれ、階段の途中で声の主の方を向いた。
「……利樹さん。」
「その重箱、俺が持とうか?」
「いえ……。それよりなんの用でしょうか?」
「立ち話もなんだから、部屋の中で話さないか?」
「では、コレを部屋に置いてきますので、先に応接室でお待ち下さい。」
「昔みたいに百合香の部屋で話そうぜ。」
は?昔みたいって……一度も入れた事なんてないわよ。
「桃花の婚約者である貴方を部屋に入れる事は致しません。」
「固いなぁ……俺と百合香の仲じゃないか。」
ただの幼馴染みなだけでしょ?殆ど関わってないじゃない。
「利く~ん……どこ~?」
桃花だ!
「桃花?貴女の利樹さんなら、こちらに……「黙れ!!」ぐっ!!」
両手で重箱を持っていた為、私の口を塞ぐ利樹さんの手を払い除ける事が出来なかった。
私は咄嗟に、スリッパを片方脱いで蹴り飛ばし階段の下へ飛ばすと同時に、利樹さんの向こう脛を思いっきり蹴ってやった。
「いってぇ!」
「え?利くん?どうしたの?」
階段の下で、両手で脛を押さえる利樹さんを見上げる桃花。
「桃花。利樹さんが階段に足をぶつけてしまったみたいなの。」
「え?利くん大丈夫~?」
階段を駆け上がり、中央付近にいる利樹さんの所まで来た桃花は、痛そうに顔を顰める利樹さんを覗き込んでいた。
「利樹さん怪我をされたかもしれないから、貴女、婚約者の治療をしてあげたら?」
「そうだね。利く~ん、桃花が「痛いの痛いの飛んで行け~」ってしてあげるから、パパとママの所へ行こう?」
余程痛かったのか?利樹さんは素直に桃花に従って階段を降りていく。
しかし彼は振り向きざまに、
「覚えてろ!」
と口パクで言っていた。
覚えてるも何も…私は貴方と話す事なんて何もないし。
計画実行まで残り約2ヶ月
その間貴方に会わない様にしたら良いだけ。
全く……それにしてもとんだ元日になったものね。
いつもだったらお爺様達と過ごす年末年始だったのに。
私は自室に入ると、リビングでの会話であろう階下の人達の会話を聞きつつ、重箱を冷蔵庫にしまった。
明日からは、出来るだけ部屋で過ごそう。
今年は海外へ行かないという父達の話を事前に聞いていた大貫さんが、
「私が出勤する1月7日までの間、アノ奥方はお嬢の食事を作らない可能性があります。だからこれを……」
と言って、元日から7日までの食事の用意をしてくれたから。
春から一人暮らしを始めるにあたり、大貫さんから料理を習っている私。
IHの卓上コンロを購入してあるから、鍋やフライパンと最低限の食器があれば自室で過ごす事が出来る。
それにしても桃花。本当に『痛いの痛いの飛んで行け~』って……
本当に21歳の女性ですか?
こんな人に会社を任せようとしている父の気が知れない。
あ!そうか。だから利樹さんと婚約させたのか。
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おそらく、桃花と結婚して sirogane.coを乗っ取るつもりだと思う。
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