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第三章 学園生活
閑話 それぞれの思惑① 京極利樹
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コンコン
「京極です。」
「利樹君か。入りたまえ」
「失礼致します。」
社長室に入ると、先ず最初に豪華な応接セットが目に入った。少し目線を上げると、そこには今にも崩れそうな程積み上げられた書類が乗った豪華な机と、椅子にふんぞり返りながら、夫人であり秘書でもある皐月の腰を抱く貴生の姿があった。
ふん。趣味悪ぃな。
俺が社長になったら、こんな悪趣味な部屋は総取り替えしてやるさ。
「座りたまえ、利樹くん。」
「はい、失礼致します。」
応接セットのソファに座ると、安物っぽい合皮が張られているのが丸分かりな上に、ギシッとスプリングが軋んだ音がする。
なんだよ、これ。
こんなのに顧客座らせて契約とかマジ失礼じゃね?この人本当に成り上がりモンなんだな。
まぁいい。俺が桃花と結婚したら、この人にはとっとと引退して貰って全て俺流に変えてやる。桃花は所詮頭ん中は花畑女だから、 操るのは簡単だろう。
アイツを社長秘書にするって話は桃花から聞いているから、俺と桃花 2人の秘書にして書類の整理やスケジュール管理なんかは全部アイツにやらせればいいだろう。アイツは不細工で陰キャで愛想は悪いが、頭だけは良いからな。
「失礼致します。コーヒーをお持ちしました。」
第2秘書の……名前は…まぁいい。俺には関係ないか。
出されたコーヒーを一口飲み(コーヒーだけはまともだな。)、正面の席に座った社長の話に耳を傾けた。
「利樹君は、娘の桃花と付き合っているんだってな。」
「はい。僕が大学部3年の頃から結婚を前提にお付き合いを始めさせて貰い、実は、先日プロポーズをさせていただきました。」
「桃花はなんて答えたのかね?」
「喜んで受けてくれると。」
「私達も昨日桃花から聞いたのよ。「利君からプロポーズされたの。私、利君と結婚するんだ」って。指輪見せて嬉しそうに。ね?あなた?」
「あぁ嬉しそうだったな。」
「僕達はこの約3年間、静かに愛を深めて来ました。僕達は真剣です。社長!いえ、お義父さま。僕に桃花さんをください。」
決まった!
頭を下げ続け、社長からの返事を待つ。
「桃花の事、宜しくお願いします。」
え?その言葉、あんたが先に言っちゃうわけ?普通、男親の社長の方が言うんじゃね?
「本当ですか?奥様。」
がばっと音がするくらいの勢いで、俺は頭を上げ社長秘書の皐月を見た。
「桃花を大事にして下さいね。あ!浮気は駄目ですよ?ね?あなた?」
それ、あんた達が言う?
あ~そうか。貴生氏にとって本命は皐月で、百合香の母親の方が愛人だったんだっけな。
じゃ俺が同じ事をやっても文句は言えないだろう。桃花が本妻、百合香は愛人。
あの陰キャを俺が女にしてやって、俺なしじゃ生きられないように縛り付けてやるさ。
俺がそんな事を考えているなんて、この人達は夢にも思っていないだろう。
「京極です。」
「利樹君か。入りたまえ」
「失礼致します。」
社長室に入ると、先ず最初に豪華な応接セットが目に入った。少し目線を上げると、そこには今にも崩れそうな程積み上げられた書類が乗った豪華な机と、椅子にふんぞり返りながら、夫人であり秘書でもある皐月の腰を抱く貴生の姿があった。
ふん。趣味悪ぃな。
俺が社長になったら、こんな悪趣味な部屋は総取り替えしてやるさ。
「座りたまえ、利樹くん。」
「はい、失礼致します。」
応接セットのソファに座ると、安物っぽい合皮が張られているのが丸分かりな上に、ギシッとスプリングが軋んだ音がする。
なんだよ、これ。
こんなのに顧客座らせて契約とかマジ失礼じゃね?この人本当に成り上がりモンなんだな。
まぁいい。俺が桃花と結婚したら、この人にはとっとと引退して貰って全て俺流に変えてやる。桃花は所詮頭ん中は花畑女だから、 操るのは簡単だろう。
アイツを社長秘書にするって話は桃花から聞いているから、俺と桃花 2人の秘書にして書類の整理やスケジュール管理なんかは全部アイツにやらせればいいだろう。アイツは不細工で陰キャで愛想は悪いが、頭だけは良いからな。
「失礼致します。コーヒーをお持ちしました。」
第2秘書の……名前は…まぁいい。俺には関係ないか。
出されたコーヒーを一口飲み(コーヒーだけはまともだな。)、正面の席に座った社長の話に耳を傾けた。
「利樹君は、娘の桃花と付き合っているんだってな。」
「はい。僕が大学部3年の頃から結婚を前提にお付き合いを始めさせて貰い、実は、先日プロポーズをさせていただきました。」
「桃花はなんて答えたのかね?」
「喜んで受けてくれると。」
「私達も昨日桃花から聞いたのよ。「利君からプロポーズされたの。私、利君と結婚するんだ」って。指輪見せて嬉しそうに。ね?あなた?」
「あぁ嬉しそうだったな。」
「僕達はこの約3年間、静かに愛を深めて来ました。僕達は真剣です。社長!いえ、お義父さま。僕に桃花さんをください。」
決まった!
頭を下げ続け、社長からの返事を待つ。
「桃花の事、宜しくお願いします。」
え?その言葉、あんたが先に言っちゃうわけ?普通、男親の社長の方が言うんじゃね?
「本当ですか?奥様。」
がばっと音がするくらいの勢いで、俺は頭を上げ社長秘書の皐月を見た。
「桃花を大事にして下さいね。あ!浮気は駄目ですよ?ね?あなた?」
それ、あんた達が言う?
あ~そうか。貴生氏にとって本命は皐月で、百合香の母親の方が愛人だったんだっけな。
じゃ俺が同じ事をやっても文句は言えないだろう。桃花が本妻、百合香は愛人。
あの陰キャを俺が女にしてやって、俺なしじゃ生きられないように縛り付けてやるさ。
俺がそんな事を考えているなんて、この人達は夢にも思っていないだろう。
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