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第四章 決別
第13話 会見の裏側2
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『❖柊❖二人共。黙ってコレを読んでくれ。あんな会見の後だ。不用意に話して敵に知られる訳にはいかないからな。渉の店だから大丈夫だと思うが、用心に越したことはない。』
(以下、メッセージアプリでの会話は『』で表示。また❖と❖の間に書かれた名前は、メッセージの送り主として表示致します。ご了承ください。)
「相変わらず、渉が作るドライマティーニは美味いな。」
『❖保❖了解、柊。渉にとって、麗羅は相変わらずÉtoileなんだな。』
『❖渉❖当たり前だ。麗羅は俺が唯一惚れた最高の女だからな。』
渉は麗羅に心底惚れていた。気持ちこそ麗羅に打ち明けてはいなかったが、俺も柊も、渉の気持ちは分かっていた。
麗羅があの白金と結婚すると聞いた時も、「麗羅が幸せになるなら……」と寂しそうに言っていたな。
そして麗羅が他界してからこの店 Étoile(星)を始め、一生独身でいると決めた渉はオネエとしてカウンターに立った。
本来の姿の渉はとても美丈夫な男だ。女性からも人気があり、よく告白されていた様だったが、「ごめんなさ~い。アタシ、今のなりはこんな(男の格好)だけど~。気持ちは女なの~。」と野太い言っては、ケラケラ笑って断っていた。
『❖柊❖渉。ありがとな。でも安心してくれ。百合香は無事だ。詳しい事は言えないが、ちゃんと安全な場所にいる。実はこの騒動は、数年前から計画されていた事なんだ。』
と衝撃的な言葉を書き出した。
計画的な家出?…………そうか!白金貴生は、この櫻井柊を怒らせたんだ。いや違うな。麗羅の娘、百合香ちゃんをあの男から守ろうとしたのか。麗羅をあんな屑に嫁がせてしまったから。
「それにしてもッ。明日の朝の報道番組が楽しみね~。でも、もうネットじゃ叩かれまくってるけど?」
そう言って、いきなりオネエ言葉になった渉は、パソコンを立ち上げた。
そこには、今日の配信を行なった会社が、既に編集を終えた会見動画を流していた。
「明日はもっと凄いことになるわよ~。」
「どういう事だ?」
「だってそうでしょ~。飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長した会社の社長が、実はずっとネグレクトだったとか。もう、最高のネタじゃなぁい。引きずり下ろそうって思う企業とかいっぱい出てきて~泥沼化するのよ~。アタシのエトワールを苦しめた罰を受けるがいいわ~、」
確かにそうだ。
さっきウチの部長も、「お前のおかげで、販売部数大幅アップだ!と芸能ジャーナル部の益永部長が嬉し泣きしてたぞ。」と苦笑いしていたっけな。
「さ!二人共。明日から忙しくなるんじゃない?アタシもお店閉めるから。」
「そうだな。帰るとしよう。」
「また来てね~。」
渉に別れを告げ、いつの間にか店の前に呼ばれていたタクシーに乗り、俺達はそれぞれ帰宅の途についたのだった。
(以下、メッセージアプリでの会話は『』で表示。また❖と❖の間に書かれた名前は、メッセージの送り主として表示致します。ご了承ください。)
「相変わらず、渉が作るドライマティーニは美味いな。」
『❖保❖了解、柊。渉にとって、麗羅は相変わらずÉtoileなんだな。』
『❖渉❖当たり前だ。麗羅は俺が唯一惚れた最高の女だからな。』
渉は麗羅に心底惚れていた。気持ちこそ麗羅に打ち明けてはいなかったが、俺も柊も、渉の気持ちは分かっていた。
麗羅があの白金と結婚すると聞いた時も、「麗羅が幸せになるなら……」と寂しそうに言っていたな。
そして麗羅が他界してからこの店 Étoile(星)を始め、一生独身でいると決めた渉はオネエとしてカウンターに立った。
本来の姿の渉はとても美丈夫な男だ。女性からも人気があり、よく告白されていた様だったが、「ごめんなさ~い。アタシ、今のなりはこんな(男の格好)だけど~。気持ちは女なの~。」と野太い言っては、ケラケラ笑って断っていた。
『❖柊❖渉。ありがとな。でも安心してくれ。百合香は無事だ。詳しい事は言えないが、ちゃんと安全な場所にいる。実はこの騒動は、数年前から計画されていた事なんだ。』
と衝撃的な言葉を書き出した。
計画的な家出?…………そうか!白金貴生は、この櫻井柊を怒らせたんだ。いや違うな。麗羅の娘、百合香ちゃんをあの男から守ろうとしたのか。麗羅をあんな屑に嫁がせてしまったから。
「それにしてもッ。明日の朝の報道番組が楽しみね~。でも、もうネットじゃ叩かれまくってるけど?」
そう言って、いきなりオネエ言葉になった渉は、パソコンを立ち上げた。
そこには、今日の配信を行なった会社が、既に編集を終えた会見動画を流していた。
「明日はもっと凄いことになるわよ~。」
「どういう事だ?」
「だってそうでしょ~。飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長した会社の社長が、実はずっとネグレクトだったとか。もう、最高のネタじゃなぁい。引きずり下ろそうって思う企業とかいっぱい出てきて~泥沼化するのよ~。アタシのエトワールを苦しめた罰を受けるがいいわ~、」
確かにそうだ。
さっきウチの部長も、「お前のおかげで、販売部数大幅アップだ!と芸能ジャーナル部の益永部長が嬉し泣きしてたぞ。」と苦笑いしていたっけな。
「さ!二人共。明日から忙しくなるんじゃない?アタシもお店閉めるから。」
「そうだな。帰るとしよう。」
「また来てね~。」
渉に別れを告げ、いつの間にか店の前に呼ばれていたタクシーに乗り、俺達はそれぞれ帰宅の途についたのだった。
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