貴方の駒になど真っ平御免です

Saeko

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第四章 決別

第12話 会見の裏側1

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俺 和喜多 保は、先程のsirogane.coの記者会見で、社長の白金貴生氏を窮地に追い込んだ本人 櫻井 柊と、記者会見が貴生氏による強制終了によって幕を閉じた後落ち合う事になっていた。

俺は一旦社に戻り編集長へ報告をした後、残務処理を行ない、俺と柊の共通の友人である遠藤 わたるが営むBAR Étoileエトワールへ向かった。

Étoileのカウンターには、既に柊の姿があった。

「よ!お疲れ。」

と声をかけつつ、俺は柊の隣りのストゥールに腰かけた。

「お疲れ様。さっきはありがとな、たもつ。助かったよ。」

柊は綺麗な笑顔を俺に向け礼を言う。

「止めてくれ、柊。お前に礼を言われるなんて……あとでなんかしてくれとか言われそうで、逆に恐い。」

「酷い言われ方だな。俺がいつそんな酷い事をした?」

「…………(何度もしてるだろう)。」

俺が答えられず苦笑いをしていると、他の客の相手が終わった渉が、カウンター越しの俺達の前にやってきた。

「あら、いらっしゃい。保~、アタシ見たわよ~、アノ会見動画。柊てば、迫真の演技だったじゃなぁ~い?はい!保。ドライマティーニ。」

渉はそう言って、長いつけ爪を付けた手で、器用にシェイカーからグラスに出来たドライマティーニを注いだ。

「柊はコーヒーでいいのよね。」

渉はそう言いながら、柊の前にコーヒーを出した。

「あぁ。緊急オペがあるといけないからね。」

美味そうにコーヒーを飲む柊は、櫻井記念病院の跡取り息子で、日本では名の知れた外科医だ。
酒にはめっぽう強いのだが、医者になってから1滴も飲んでいないらしい。

「ところで柊?」

「なんだ?渉」

「俺のÉtoileの娘は大丈夫なのか?」

俺達以外の客が帰った後、渉はオネエ演技を止めた。

「お前。その格好のままでに戻るの止めろよ。」

深紅のタイトなドレスを身に纏い、つけまつげやロングヘアのかつらを付けたままで素に戻った渉にそう言うと、柊はクスクス笑いながらスマホになにやら文字を打っていた。

俺と渉のスマホが一斉にメッセージアプリのグループトークにメッセージが来た事を知らせる通知音がなった。

どうやら柊がさっき打っていたものは、俺達宛のメッセージだったようだ。
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