貴方の駒になど真っ平御免です

第四章 決別

第11話 同じ穴のムジナ

「パパ？え？ちょっと～……なんなのよ？もぉ」

会見会場に置き去りにされた私達。
私はパパの信じられない行動に憤慨ふんがいしていた。

そういえば……パパは会見で、櫻井って人達にめちゃくちゃ責められてたけど、櫻井って一体誰なのよ！全くもぉ!!
てかさ……お義姉様が家出とかさぁ。そりゃあね？パパは‪私を愛してて、お義姉様の事は嫌いだよ？いつもパパ、そう言ってたもん。「俺の娘は桃花だけだって。」でもだからって、家出しなくたっていいじゃない！

「ね？ママ。お義姉様ったら、家出とかないと思わない？」

「…………」

「それにさ～、あの電話のオジサンはなんなのよ！虐待だとか育児放棄とか。パパはそんな事してないのに!!ね？ママ？」

「…………」

「パパもパパだわ！あんなの言い返せばいいのに!!でしょ？ママ」

「…………」

「ねぇ～ママってば～。」

「……るさい……」

「え？……マ、マ？」

「煩い！」

「え？どうしたの？」

「煩いから黙ってて!!」

それっきりママは何も言わなくなった。
てか、なんで桃花がママに怒られなきゃいけないのよ!!
あ～もぉ！イライラする!! 
～桃花side 終～


どうしよう どうしよう どうしよう どうしよう……
貴生に養育費の事がバレてしまった。
櫻井の弁護士からずっと言われていたのは知っていた。奥様が亡くなり娘さんが一人ぼっちになっている。きちんと生活費と養育費を払う様にって。
でも貴生はいつも言ってた。アノ女の娘の為になんか一銭も出すつもりはない！って…… だから払わなかった。貴生に確認するまでもないって思ったから、相談さえもしなかった。
それを今になって金蔓百合香の親戚から言われるだなんて…しかもマスコミの目の前でなんて有り得ないじゃない。
私が悪い訳じゃない。私だけが悪いんじゃない。貴生が悪いのよ。私は悪くない。

そんな事を考えていたら、隣りでぶつぶつ言っていた桃花が話しかけてきた。
煩い。今はそれどころじゃないのに。
昔から空気を読めない桃花は、どんなに無視しても此方が反応するまでずっと話しかけてくる。
煩い！煩い！煩い煩い!!

思わず「煩い!!」と言い放ってしまったけど、桃花が悪いのよ。
私は悪くない。
～皐月side 終～

ふぅん。あの百合香が家出ねぇ……
大人しいだけじゃ無かったわけか。
それにしても白金社長の慌てた様子。マジ面白かったな。
明日きっと、今日の記者会見の内容はテレビで相当たたかれるだろう。
だがそれでいい！
信用をなくし、取り引き先が減っていく中で、俺が救世主の様にでっかい契約を取ってくる。社長は泣いて俺に感謝して、次期社長は俺に頼んでくる。ってストーリー。全て計画どおりだぜ。
序ついでにあの百合香の事も探してやるか。俺の秘書はアイツしかいないからな。
～利樹side 終～