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第七章 襲撃
第4話 お隣さんは婚約者
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空港を後にした私達は、連城先生から
「りりちゃんと駿斗を先にマンションに送り届けような。」
と車内で言われ、
「一度連城家に行かなくていいの?」
と聞く私に、
「早く荷解きしたいから、先に部屋へ行くよ。父さん、よろしく。」
と駿斗が答えた。
荷解きしたいから部屋へ行く?
私と駿斗を先に送る?
頭の中にクエスチョンマークが飛び交ってしきりと首を傾げている私を見て、
「りりが可愛すぎだ。そんなに考えなくても今に分かるよ。」
と抱き寄せられた。
「さぁ着いたよ。俺たちはまた後で来るからな。」
「了解、父さん。ありがとう。」
「りりちゃんも、また後で会いましょうね、」
と言って私と駿斗が降ろされた場所の目の前にあるのは、私が住むマンションだった。
「お帰りなさいませ、櫻井様。」
「戻りました。」
「其方の方はお連れ様でしょうか?」
「いえ、私は今日から此方に住む事になっている、連城駿斗と申します。」
「はっ!これは大変失礼致しました。連城様。本日よりご入居でしたね。では、ご案内致しますので、此方へお越しください。」
目が点になっているであろう私を置いて、駿斗はコンシェルジュの時任さんに連れられエントランスを歩きだした。
「早く来いよ、りり。」
後ろを振り向いて、私に手を伸ばす駿斗に追い付くように小走りで駆け出した。
「連城様のお母様が仰ったとおりですね。」
とクスクス笑う時任さんの言葉に、また首を傾げる私だったが、その前に
『どうして同じマンションに住む事になったって秘密にしてたの?』
とフランス語で文句を言ってあげた。
「頼む、りり。フランス語は勘弁してくれ。」
フランス語が分からない駿斗は焦っている様だったので、態とぷいっとそっぽを向いてやったら、
「何故、ここに住む事を内緒にしてたの?と仰っていましたよ。」
と時任さんに訳されてしまい驚いた。
そう言えば、このマンションのコンシェルジュは、外国語が堪能な人が多いと聞く。
有名な観光地が近くにあるせいか、マンションの購入者が、外国人向けのウィークリーマンションとして貸し出しているせいだと思う。
「りりは、そんなこと言ってたんだな。ありがとう時任さん。」
「いえいえ、お役に立てて光栄です。」
「りり?頼むから、これからは俺への文句は日本語か英語にしてくれよ?」
と頭を撫でられ、
『子供扱いしないで!』
と英語で文句を言ったら、駿斗と時任さんに大笑いされてしまった。
そんなやり取りをエレベーター内でしていたら、どうやら目的の階に到着したらしい……って……
「え?駿斗の部屋もこの階なの?」
と戸惑う私を残し、時任さんは駿斗を部屋の前まで誘導した。
「!!まさか……」
絶句したまま動けない私を余所に、時任さんは涼しい顔で駿斗に鍵の扱いやらなんやらを説明しているではないか。
「もういい!!」
私は一言言い残し、部屋に入って鍵をかけた。
まさか昨日引っ越しをしていた隣りの部屋の住人が駿斗だなんて……
連城先生も亜由美さんも酷いわ!
一言ぐらい言ってくれたっていいじゃない。
駿斗も駿斗よ!
仮にも私婚約者なのよ?
教えてくれたっていいじゃないの!
仲間はずれにされて頭に来た私は、ルームウェアに着替えると、化粧を落とし、スマホをバイブにすると、不貞寝してやる!と言ってベッドに潜り込み、そのまま夕方まで寝てしまった。
目が覚めてからスマホを確認すると……
駿斗からの着信が100件近く残っていて、嫌がらせ?と思える程のメッセージアプリに送って来たスタンプの数が半端なかった。が、どれも ごめんなさい の気持ちを表すスタンプだったから、私は思わず声を出して笑ってしまった。
【おはよう?】
と駿斗にスタンプを送ると、速攻で通話通知が来て、更に大笑い。
その後ひたすら謝って来た駿斗を部屋へ招き入れると、駿斗の後ろから連城先生夫妻も入って来て、三人からの謝罪を貰ってしまい、逆に恐縮してしまったくらいだ。
「下手くそですが、精一杯作ったので、どうぞ召し上がってください。」
の私の言葉で始まった、帰国おめでとうパーティはその日のよる遅くまで続いた。
私はこの時、桃花があんな形で動き出すとは思ってもみなかったんだ、
「りりちゃんと駿斗を先にマンションに送り届けような。」
と車内で言われ、
「一度連城家に行かなくていいの?」
と聞く私に、
「早く荷解きしたいから、先に部屋へ行くよ。父さん、よろしく。」
と駿斗が答えた。
荷解きしたいから部屋へ行く?
私と駿斗を先に送る?
頭の中にクエスチョンマークが飛び交ってしきりと首を傾げている私を見て、
「りりが可愛すぎだ。そんなに考えなくても今に分かるよ。」
と抱き寄せられた。
「さぁ着いたよ。俺たちはまた後で来るからな。」
「了解、父さん。ありがとう。」
「りりちゃんも、また後で会いましょうね、」
と言って私と駿斗が降ろされた場所の目の前にあるのは、私が住むマンションだった。
「お帰りなさいませ、櫻井様。」
「戻りました。」
「其方の方はお連れ様でしょうか?」
「いえ、私は今日から此方に住む事になっている、連城駿斗と申します。」
「はっ!これは大変失礼致しました。連城様。本日よりご入居でしたね。では、ご案内致しますので、此方へお越しください。」
目が点になっているであろう私を置いて、駿斗はコンシェルジュの時任さんに連れられエントランスを歩きだした。
「早く来いよ、りり。」
後ろを振り向いて、私に手を伸ばす駿斗に追い付くように小走りで駆け出した。
「連城様のお母様が仰ったとおりですね。」
とクスクス笑う時任さんの言葉に、また首を傾げる私だったが、その前に
『どうして同じマンションに住む事になったって秘密にしてたの?』
とフランス語で文句を言ってあげた。
「頼む、りり。フランス語は勘弁してくれ。」
フランス語が分からない駿斗は焦っている様だったので、態とぷいっとそっぽを向いてやったら、
「何故、ここに住む事を内緒にしてたの?と仰っていましたよ。」
と時任さんに訳されてしまい驚いた。
そう言えば、このマンションのコンシェルジュは、外国語が堪能な人が多いと聞く。
有名な観光地が近くにあるせいか、マンションの購入者が、外国人向けのウィークリーマンションとして貸し出しているせいだと思う。
「りりは、そんなこと言ってたんだな。ありがとう時任さん。」
「いえいえ、お役に立てて光栄です。」
「りり?頼むから、これからは俺への文句は日本語か英語にしてくれよ?」
と頭を撫でられ、
『子供扱いしないで!』
と英語で文句を言ったら、駿斗と時任さんに大笑いされてしまった。
そんなやり取りをエレベーター内でしていたら、どうやら目的の階に到着したらしい……って……
「え?駿斗の部屋もこの階なの?」
と戸惑う私を残し、時任さんは駿斗を部屋の前まで誘導した。
「!!まさか……」
絶句したまま動けない私を余所に、時任さんは涼しい顔で駿斗に鍵の扱いやらなんやらを説明しているではないか。
「もういい!!」
私は一言言い残し、部屋に入って鍵をかけた。
まさか昨日引っ越しをしていた隣りの部屋の住人が駿斗だなんて……
連城先生も亜由美さんも酷いわ!
一言ぐらい言ってくれたっていいじゃない。
駿斗も駿斗よ!
仮にも私婚約者なのよ?
教えてくれたっていいじゃないの!
仲間はずれにされて頭に来た私は、ルームウェアに着替えると、化粧を落とし、スマホをバイブにすると、不貞寝してやる!と言ってベッドに潜り込み、そのまま夕方まで寝てしまった。
目が覚めてからスマホを確認すると……
駿斗からの着信が100件近く残っていて、嫌がらせ?と思える程のメッセージアプリに送って来たスタンプの数が半端なかった。が、どれも ごめんなさい の気持ちを表すスタンプだったから、私は思わず声を出して笑ってしまった。
【おはよう?】
と駿斗にスタンプを送ると、速攻で通話通知が来て、更に大笑い。
その後ひたすら謝って来た駿斗を部屋へ招き入れると、駿斗の後ろから連城先生夫妻も入って来て、三人からの謝罪を貰ってしまい、逆に恐縮してしまったくらいだ。
「下手くそですが、精一杯作ったので、どうぞ召し上がってください。」
の私の言葉で始まった、帰国おめでとうパーティはその日のよる遅くまで続いた。
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