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第4章 マコこそが真の聖女

愛し子の本気とざまぁ〜封印編 1〜

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どうやら私は、魔獣に襲われ命からがら逃げてきた隊長のランスロットさんを、カルディール侯爵領の修道院で助けた事があったそう。全然覚えてないけどね。

私は愛想笑いでその場をやり過ごし、魔術士にて張られた結界内にすっと入っていった事で、結界を張った魔術士に驚かれてしまった。
それをも無視をし、怪我人に治癒魔法をかけている人達に回復ポーションを渡しながら、彼らの手首に組紐を付けていく。勿論それは怪我をした人にも元気な人達にも。

組紐を結びつけられた人達から、次々と

「な?なんだこれは!」

「え?傷が……傷が消えた!!」

「疲れが取れた。というか、元気になった気がする。」

等と声が発声されたのだった。

「お嬢さん。これはいったい何なんだ?」

「何って…ただの組紐「なわけ無いだろ?ま、まさか……回復魔法と治癒魔法が?」」

驚愕きょうがくし組紐を見つめるランスロット隊長を尻目に、

「時は一刻を争います。治療が引き続き必要な方は術者の方の治療を受けて下さい。後方支援魔法をかける方々と、動ける方々は、私が封印をする事で暴れ出す魔獣の討伐をお願い致します。」

「まさか……お嬢さんは1人でやるつもりなのか?」

「封印は聖女のみができる事と聞いていますが、違いましたか?」

私の冷静な切り返しにぐうの音も出ない団長は黙りこむしか無かった。

「では、行ってまいります。」

私がかかとを返し瘴気しょうきが濃くなっている方を向くと、

「マコ!」

とリックから呼ばれ振り向いた。途端きつく抱き締められ、「マコ」と呼ばれリックを見上げる。リックの唇が降りてきて抱き締められたままむさほられるかの様に激しく求められ、頭の芯がぼうーっとしきた。腰から崩れそうになる私を支えながらもまだ続くキスは、リックからの「必ず生きて俺の腕の中に帰って来い!」の言葉の代わり。だから私は、それに応える様にリックの首に腕を回し私からもキスを返す。「私が帰る場所は貴方の腕の中以外にない。」の返事の代わりに。

「行ってまいります。」

「ああ。後でな。」

「うん」

私はリックに背を向け歩き出す。

さぁ~本気出してこ!!
女神様、宜しく御加護


「必ず帰って来い!俺にはお前しかいないんだ、マコ。愛してるから。」

手首に結ばれたお互いの髪を編み込んだお揃いの組紐にキスをするリックの声は、私には聞こえなかった。
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