バトロワゲーヲタの異世界無双物語

Saeko

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第十一章 領域封印(準備編)

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僕達がルードリッヒさんのお屋敷に到着すると、ミランダさんは庭で、聖女として領域封印の為の訓練を受けている真っ最中だった。とはいえ封印に使う杖を使いこなせていないみたいで、悪戦苦闘してる様だ。

「戻ったよ、ミランダ」
と笑顔でミランダさんに近付いてくルードリッヒさんに
「まぁ!お兄様。お帰りなさい」
とルードリッヒさんに抱きつき、笑顔を見せるミランダさん。そしてルードリッヒさんの後に続いた僕とカールソンさんを見つけたミランダさんは、ルードリッヒさんに抱きついたままで、
「ご苦労さまでしたねカールソン」
とカールソンさんに労いの言葉を言い、
「お帰りなさいのぞむ君。お役目は大変だったでしょう?」
と、ルードリッヒさんから離れ、僕に近付いて来るとそう言った。そして綺麗な手で僕の顔をすっと撫でたんた。
「え?何してるんですかミランダさん!クリスタルドラゴンの解体とかで、僕めちゃくちゃ汚いですよ?」
と慌ててミランダさんの前から飛び退いてそう言ったら、
「のぞむ君は少しも汚くなんてありませんわ。それにわたくしの為に、クリスタルを持ってきてくれたのでしょう?」
と言って僕の両手をぎゅっとその可愛い両手で握ってくれた。

僕は顔から火が出たんじゃないかって思うくらいに、恥ずかしくて真っ赤になっている(自分じゃ分からないけど、めちゃくちゃ熱いから多分そうだろう)顔をミランダさんから背けながら
「頑張ったのは、そこにいる彼等です」
と、ロープで縛ったままの相田君達を指差した。
するとミランダさんは、
「あら?勇者様達は、何故ロープで縛られているのかしら?まさか貴方達。お兄様達の邪魔をされたの?」
と可愛らしく小首をかしげて相田君達にそう聞くと、
「じゃ、邪魔はしてない…と思…う」
と僕の方をチラチラと見ながらそう言う相田君。
まぁ別に彼等を助けてやる義理は無いのだけれど、今は早く爺さんの所へ行って、ミランダさんの杖にクリスタルドラゴンの魔石を付与したかった僕は、
「邪魔にはならなかったですよ?勉強不足な点は否めなかったですけどね。そんな事よりミランダさん。さっき持ってた杖を僕に貸してくれませんか?早く魔石これを付与しちゃいたいんですが。」
と相田君達からの視線をスルーして、ミランダさんに魔石を見せた。
すると彼女は、
「まぁ!なんて美しい魔石なのでしょう!そしてとても力を感じますわ。」
と言って魔石を空に掲げてみせたんだ。

その途端魔石が思わず目を瞑ってしまう程眩しい光を放った!
「魔石が…クリスタルが、ミランダに呼応している!」
と言ったルードリッヒさんの言葉に、光を遮る為に翳していた指の隙間からおずおずと彼女を見ると、そこには、女神様が降臨したのか?と見紛う様な神々しい光を纏ったミランダさんがいたんだ。

「女神様だ!エイレーネー様の降臨だ!」
とカールソンさんが興奮している。

『エイレーネー』って、確か平和の女神だったよな?
平和の女神とか、ミランダさんにピッタリだよ。

元々『クリスタル』には、すべてのものを包み込んで清浄な状態にしてくれる「浄化」の力とあらゆるものを繋ぐ「調和」と「強化」の力があるって、前に本で見た時そんな事が書いてあったな。
だから、肉体や精神、エネルギーや運気などから不要なものを取り除き、本来の状態に整えてくれたり、生命力をアップさせ体を本来の健康な状態に戻し、精神に安定と落ち着きをもたらし、また外部からのマイナスエネルギーを弾き飛ばし、寄せ付けないように守ってくれるんだそうだ。

これからやる予定の領域の封印には、もってこいの効果があるのは間違いないだろう。
僕はミランダさんから魔石と杖を受け取ると、杖の預かり証を書いてミランダさん渡したんだ。

そして早速ケイドル爺さんの店まで全力疾走したんだよ。

あ!そういえば、相田君達の解放をルードリッヒさん達にお願いして無かったけどまずかったかな?……と、店に向かって走りながら、僕はふとそう思ったんだ。
でもまぁ大丈夫だよね?僕がいちいち言わなくたって、きっと大人の彼等がやってくれるはずだし。

そう思い直った僕は勢いよく爺さんの店の中に入っていったんだ。
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