3 / 13
【第三章 境界の扉】
【第三章 境界の扉】
しおりを挟む
ロノウェが先導する土手の道を、男は黙って歩いていた。
夜風が冷たい。だが、胸元に触れる銀のペンダントはじんわりと温かい光を放っている。
「なぁ、ロノウェ」
「うん?」
「“向こう側”ってのは……彼女がいる場所か?」
「……そうとも言えるし、そうじゃないとも言える。彼女はもう、今の世界にはいない。でも、まだ“記憶”は残ってる」
「記憶……?」
「境界の扉を通れば、君は“選ばれし者の記憶”を継承できる。彼女が見たもの、感じたこと、迷い、決意、後悔も……全部だよ」
男は足を止めた。ペンダントの光がわずかに強まる。
「つまり俺は……彼女の遺志を継ぐってことか」
「うん。君だけがそれをできる。“世界を滅ぼす者”は進化を始めてる。もう、選ばれし者の記憶がなければ立ち向かえない」
「それって……」
「そう。君は最後の選ばれし者になるかもしれない」
静かに、地面が震え始めた。
ロノウェが見上げた先、古びた神社の奥、竹林の向こうに——裂け目が現れた。夜空に浮かぶ傷跡のように、そこから光と闇が交錯する。
「……あれが、境界の扉か」
「うん。覚悟はできてる?」
男は深く息を吸って、吐いた。
「名前、教えてなかったな。俺は橘ユウト」
「わかった、ユウト。君の物語が、ここから始まる」
裂け目の向こうから、誰かの声が聞こえた。
それは少女の声だった。
——「ユウト……あいつを、止めて……」
ロノウェが小さく呟く。
「……“あいつ”とは、もしかすると——」
ユウトは裂け目へと、ゆっくりと足を踏み出した。
夜風が冷たい。だが、胸元に触れる銀のペンダントはじんわりと温かい光を放っている。
「なぁ、ロノウェ」
「うん?」
「“向こう側”ってのは……彼女がいる場所か?」
「……そうとも言えるし、そうじゃないとも言える。彼女はもう、今の世界にはいない。でも、まだ“記憶”は残ってる」
「記憶……?」
「境界の扉を通れば、君は“選ばれし者の記憶”を継承できる。彼女が見たもの、感じたこと、迷い、決意、後悔も……全部だよ」
男は足を止めた。ペンダントの光がわずかに強まる。
「つまり俺は……彼女の遺志を継ぐってことか」
「うん。君だけがそれをできる。“世界を滅ぼす者”は進化を始めてる。もう、選ばれし者の記憶がなければ立ち向かえない」
「それって……」
「そう。君は最後の選ばれし者になるかもしれない」
静かに、地面が震え始めた。
ロノウェが見上げた先、古びた神社の奥、竹林の向こうに——裂け目が現れた。夜空に浮かぶ傷跡のように、そこから光と闇が交錯する。
「……あれが、境界の扉か」
「うん。覚悟はできてる?」
男は深く息を吸って、吐いた。
「名前、教えてなかったな。俺は橘ユウト」
「わかった、ユウト。君の物語が、ここから始まる」
裂け目の向こうから、誰かの声が聞こえた。
それは少女の声だった。
——「ユウト……あいつを、止めて……」
ロノウェが小さく呟く。
「……“あいつ”とは、もしかすると——」
ユウトは裂け目へと、ゆっくりと足を踏み出した。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる