堕ちた双子

ゆきみまんじゅう

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双子の過去 真相編

ひとりやったら、ふたりも3人も──

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それは、去年の夏の頃だった。

学校から帰る途中で、兄さんは僕に、県外に進学したい事を告げた。

兄さんと離れたくなかった僕は、兄さんについて行こうとした。

けれども兄さんは、それを聞き入れてはくれなかった。

「安心しろ。俺は結婚なんてしない。海斗とずっと一緒にいる。そして、兄ちゃんとして、海斗を守るから。」

あの時、兄さんは約束してくれたのに。
僕とずっと一緒にいてくれると。
そして、僕を守ってくれると──。

それなのに兄さんは、忘れてしまったのだろうか?

それとも兄さんは、僕との約束なんて、どうでも良くなってしまったのだろうか。

本当なら、今すぐにでも問いただしたかった。

けれども僕には、そんな勇気はなかった。

だから僕は、兄さんと離れ離れになりたくなかった僕は、父さんと母さんを説得して、何とか兄さんが県外に行くのを阻止しようとした。

だけど、結局は上手くいかなかった。

このままでは、兄さんが僕のそばからいなくなってしまう。

そう思った瞬間、僕の脳裏に、伊佐川美由が蘇った。

そして──。

「……そうだ。父さんと母さんがいなくなったら、今度こそ兄さんは、僕の元から離れられなくなる。」

その時、僕の中から伊佐川美由への後悔と悲しみの感情が消え失せた。

ひとりやったら、ふたりも3人も同じ──。
だからもう、僕は何も躊躇わない。

そうして僕は、父さんと母さんをこの世から消してしまうことにした。



そうしてついに、その時が来た。

いつも通りに朝を迎え、僕は制服に着替えた後、朝食を食べにリビングへと向かった。

するとそこには、いつもより慌ただしく、それでいてにこやかな母さんがいた。

「おはよう、母さん。どうしたの?何か嬉しい事でもあったの?」

僕がそう尋ねると、母さんは少し照れくさそうに答えた。

「実は今日、久しぶりにお父さんと出かけるのよ。結婚記念日のお祝いで、思い出のペンションに行くのよ。……もう潰れちゃってるけどね。」
「そうなんだ。でも良いんじゃない。お父さんと2人で出かけるなんて、滅多にないんだから。」

僕はさも知らなかったかのように振る舞った。

でも実際は、僕が父さんに提案した事だった。

あのペンションに行くには、幾度も急カーブを曲がらなくてはならない。

そこで、僕がブレーキに細工をしておく事で、ほぼ確実に曲がり切るのは不可能になる。

道を逸れると、その下は海であり、落ちたらまず助からない。

僕は計画の成功を祈りつつ、兄さんとともに学校へと向かった。



そしてその日の午後、父さんと母さんの訃報が入った。

それを聞いた兄さんは、その場に崩れ落ち、涙を流した。

僕はというと、塞ぎ込んで泣いているふりをしていたが、実際にはほくそ笑んでいた。

これで、兄さんがいなくなる事はない。

兄さんだけがいてくれたらいい。

もうこの時から、僕は手段を選ばなくなった。
だからこそ、あいつらだってやれたんだ。
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