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弟
親友との約束
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陸斗さんと別れて、家に帰った俺は、すぐに海斗に電話をかけた。
するとすぐに海斗は出た。
「純!どうだった?上手くいった?」
いつもよりやたら興奮している海斗を落ち着かせながら、俺は単刀直入に言った。
「ああ、海斗。全部終わったよ。」
俺がそう言うと、電話越しに海斗の啜り泣く声が聞こえてきた。
「じゃあ、もう……兄さんが酷い目に遭うことはないんだよね?」
「ああ、大丈夫だ。」
きっと海斗は、ずっと不安だったのだろう。
この電話を取るその瞬間までも、そうに違いない。
だからこそ俺は、はっきりと答え、海斗を安心させたかった。
「う…ううっ……。ありがとう、純………。」
あとはもう、気持ちが落ち着くまでそっとしておこうと思い、俺は電話を切った。
そして深く息をつき、今日までの出来事を振り返った。
それは昨日の夕方の、海斗からの電話が始まりだった。
「どうした、海斗?」
俺と海斗は親友だが、互いに滅多に電話をかける事はない。
そのため何かがあったというのは、想像に容易すかった。
「ごめん、急に……。でも、純にしか頼めなくて………。」
その声には覇気がなく、何か深刻な頼み事なのだろうと思った。
「実は、兄さんが…その………学校に行く途中で、痴漢されているみたいなんだ。」
海斗からの予想だにしなかった言葉に、俺は一瞬言葉を失った。
「ちょっと待て。確か海斗の兄貴は、いつも七瀬さんと学校に通っているのだろう?そんな状況で痴漢など、あり得るのか?」
海斗はしばらく黙り込んだ後、意を決したように口を開いた。
「……実は、兄さんは……僕と入れ替わっていたんだ。僕を、痴漢から守るために……。兄さんは、大丈夫って言っていたけど、本当は…酷い目に遭ってて………。」
まさか、ここ最近会っていた海斗は、陸斗さんだったらいうのだろうか。
次々と明らかになる事実に、俺の頭は追いつかなくなる。
「だけどきっと……兄さんは、僕にその事を知られたくないはずなんだ。もし、僕がその事を知っていることがバレたら、兄さんが壊れちゃうかもしれない。だから…お願い。兄さんを……助けて………。」
それでも海斗が、悲痛な思いを抱えている事は、電話越しからでも十分伝わった。
だったらもう、答えははっきりしていた。
「分かった。俺に出来ることなら、何でも協力する。」
かくして俺は、陸斗さんを救うべく、あの列車に乗り込んだのだ。
そのため俺は、彼が、海斗を偽った陸斗さんだということは、最初から分かっていた。
だから俺は、わざと海斗の名前を出して、彼が正体を明かすように仕向け、口止めをしたのだ。
これで全てが終わる事を願って──。
するとすぐに海斗は出た。
「純!どうだった?上手くいった?」
いつもよりやたら興奮している海斗を落ち着かせながら、俺は単刀直入に言った。
「ああ、海斗。全部終わったよ。」
俺がそう言うと、電話越しに海斗の啜り泣く声が聞こえてきた。
「じゃあ、もう……兄さんが酷い目に遭うことはないんだよね?」
「ああ、大丈夫だ。」
きっと海斗は、ずっと不安だったのだろう。
この電話を取るその瞬間までも、そうに違いない。
だからこそ俺は、はっきりと答え、海斗を安心させたかった。
「う…ううっ……。ありがとう、純………。」
あとはもう、気持ちが落ち着くまでそっとしておこうと思い、俺は電話を切った。
そして深く息をつき、今日までの出来事を振り返った。
それは昨日の夕方の、海斗からの電話が始まりだった。
「どうした、海斗?」
俺と海斗は親友だが、互いに滅多に電話をかける事はない。
そのため何かがあったというのは、想像に容易すかった。
「ごめん、急に……。でも、純にしか頼めなくて………。」
その声には覇気がなく、何か深刻な頼み事なのだろうと思った。
「実は、兄さんが…その………学校に行く途中で、痴漢されているみたいなんだ。」
海斗からの予想だにしなかった言葉に、俺は一瞬言葉を失った。
「ちょっと待て。確か海斗の兄貴は、いつも七瀬さんと学校に通っているのだろう?そんな状況で痴漢など、あり得るのか?」
海斗はしばらく黙り込んだ後、意を決したように口を開いた。
「……実は、兄さんは……僕と入れ替わっていたんだ。僕を、痴漢から守るために……。兄さんは、大丈夫って言っていたけど、本当は…酷い目に遭ってて………。」
まさか、ここ最近会っていた海斗は、陸斗さんだったらいうのだろうか。
次々と明らかになる事実に、俺の頭は追いつかなくなる。
「だけどきっと……兄さんは、僕にその事を知られたくないはずなんだ。もし、僕がその事を知っていることがバレたら、兄さんが壊れちゃうかもしれない。だから…お願い。兄さんを……助けて………。」
それでも海斗が、悲痛な思いを抱えている事は、電話越しからでも十分伝わった。
だったらもう、答えははっきりしていた。
「分かった。俺に出来ることなら、何でも協力する。」
かくして俺は、陸斗さんを救うべく、あの列車に乗り込んだのだ。
そのため俺は、彼が、海斗を偽った陸斗さんだということは、最初から分かっていた。
だから俺は、わざと海斗の名前を出して、彼が正体を明かすように仕向け、口止めをしたのだ。
これで全てが終わる事を願って──。
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