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弟
こんな事、認められない
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カイくんが学校に来なくなってから一週間以上も経った。
それでも私には、理由を確かめる事が出来なかった。
カイくんの電話にかけても繋がらず、それどころかリッくんの電話にさえ繋がらなかった。
どうして?
あの時リッくんは、解決したって言ったのに……。
リッくんの家に行こうかとも思った。
でもそうすると、カイくんにも会うかもしれない。
前までだったら、何も気にする事はなかった。
でもあの時のカイくんの豹変ぶりが、ずっと頭に残っていて、怖くてしょうがなかった。
「……やっぱり私、何も出来ないのかな。」
学校の机の前で俯いたまま呟くと、どこからか明るい声が聞こえてきた。
「どうした、七瀬?これやるから、元気だせよ。」
弘毅がそう言って差し出してきたのは、駄菓子のチョコバーだった。
「んもう!そんなんで元気出るわけないでしょ。でも、ありがとう……。」
私がそれを受け取った時、ちょうどホームルームが始まるチャイムがなった。
みんなが慌てて椅子に座った後、担任の先生が入ってきた。
そして、もう1人──。
「リッ…くん?それとも……カイくん?」
先生に連れられ、黒板の前に立った彼は、黙って下を向いていた。
「みんなに寂しいお知らせがある。実は今日、黄昏が退学することになった。」
退…学……?
クラス中が驚いてざわつく中、私は声も出ないまま、彼を見つめていた。
「そこで黄昏から、別れの言葉があるそうだ。聞いてやってくれ。」
みんなが黙り込んだ後、彼はどこか暗い表情をしたまま、真っ直ぐと前を見つめた。
「みんな、突然の事で驚いても無理はないと思う。俺だって本当は、やめたくなかった。でも、事情が変わってしまったんだ。みんなと会えなくなるのは寂しい。けど俺は、みんなの事、忘れないから。だからみんなも、元気で。」
彼はそう言うと、先生に連れられて教室を出て行った。
それをずっと目で追っていた私は、我慢できなくて──。
「おいっ!待てよ、七瀬!!」
弘毅の声を無視して、私は教室を飛び出した。
そして廊下を歩いている彼を見つけると、彼の手を力いっぱい掴んだ。
「何をしてるんだ。離しなさい、七瀬。」
ダメ、ここで離したら、一生後悔する。
「先生、ちょっと黙ってくれませんか?私は、リッくんと話したいんです。」
私の強気な口調に、先生は怒り出しそうだったけど、それを止めたのはカイくんだった。
「俺からもお願いします。こいつには、言いたい事があるんです。」
先生は納得のいかない様子だったけど、渋々教室へと帰っていった。
「なあ、話があるんだろ?言えよ。」
この話し方は、リッくんそのものだ。
けれども本当にリッくんなのかは、まだ分からない。
それでも私は、本音をぶつけずにはいられなかった。
「何で……どうして!!何で学校辞めちゃうの⁉︎どうして何も言ってくれなかったの⁉︎私たち、あんな事もあったけど、これからもよろしくって、言ってたじゃない!!」
彼にしがみついた私は、感情を抑えきれずに涙を流した。
「………ごめん。でも俺、もう疲れた。何もかも、全部。だからもう、俺をそっとしておいてくれ。」
明らかな拒絶の言葉。
それは、私なんて必要ないという意味だった。
「どうして、リッくんも、カイくんも………私に何も教えてくれないの?幼馴染なのに、どうして?」
ずっと一緒だと思っていた3人の関係。
でもそれは、私の思い違いだっただなんて、思いたくなかった。
「ごめん、本当に……。でも、いいから。もう………。」
「だったらせめて、辞める理由くらい教えてよ!じゃないと、納得出来ない。」
それでもリッくんは首を横に振ると、私の手を振り解いて、その場を離れていった。
もう一度追いかけようとも思ったけれど、また拒絶されると思うと怖くて、私はその場に崩れ落ちたまま、泣き続けた。
それでも私には、理由を確かめる事が出来なかった。
カイくんの電話にかけても繋がらず、それどころかリッくんの電話にさえ繋がらなかった。
どうして?
あの時リッくんは、解決したって言ったのに……。
リッくんの家に行こうかとも思った。
でもそうすると、カイくんにも会うかもしれない。
前までだったら、何も気にする事はなかった。
でもあの時のカイくんの豹変ぶりが、ずっと頭に残っていて、怖くてしょうがなかった。
「……やっぱり私、何も出来ないのかな。」
学校の机の前で俯いたまま呟くと、どこからか明るい声が聞こえてきた。
「どうした、七瀬?これやるから、元気だせよ。」
弘毅がそう言って差し出してきたのは、駄菓子のチョコバーだった。
「んもう!そんなんで元気出るわけないでしょ。でも、ありがとう……。」
私がそれを受け取った時、ちょうどホームルームが始まるチャイムがなった。
みんなが慌てて椅子に座った後、担任の先生が入ってきた。
そして、もう1人──。
「リッ…くん?それとも……カイくん?」
先生に連れられ、黒板の前に立った彼は、黙って下を向いていた。
「みんなに寂しいお知らせがある。実は今日、黄昏が退学することになった。」
退…学……?
クラス中が驚いてざわつく中、私は声も出ないまま、彼を見つめていた。
「そこで黄昏から、別れの言葉があるそうだ。聞いてやってくれ。」
みんなが黙り込んだ後、彼はどこか暗い表情をしたまま、真っ直ぐと前を見つめた。
「みんな、突然の事で驚いても無理はないと思う。俺だって本当は、やめたくなかった。でも、事情が変わってしまったんだ。みんなと会えなくなるのは寂しい。けど俺は、みんなの事、忘れないから。だからみんなも、元気で。」
彼はそう言うと、先生に連れられて教室を出て行った。
それをずっと目で追っていた私は、我慢できなくて──。
「おいっ!待てよ、七瀬!!」
弘毅の声を無視して、私は教室を飛び出した。
そして廊下を歩いている彼を見つけると、彼の手を力いっぱい掴んだ。
「何をしてるんだ。離しなさい、七瀬。」
ダメ、ここで離したら、一生後悔する。
「先生、ちょっと黙ってくれませんか?私は、リッくんと話したいんです。」
私の強気な口調に、先生は怒り出しそうだったけど、それを止めたのはカイくんだった。
「俺からもお願いします。こいつには、言いたい事があるんです。」
先生は納得のいかない様子だったけど、渋々教室へと帰っていった。
「なあ、話があるんだろ?言えよ。」
この話し方は、リッくんそのものだ。
けれども本当にリッくんなのかは、まだ分からない。
それでも私は、本音をぶつけずにはいられなかった。
「何で……どうして!!何で学校辞めちゃうの⁉︎どうして何も言ってくれなかったの⁉︎私たち、あんな事もあったけど、これからもよろしくって、言ってたじゃない!!」
彼にしがみついた私は、感情を抑えきれずに涙を流した。
「………ごめん。でも俺、もう疲れた。何もかも、全部。だからもう、俺をそっとしておいてくれ。」
明らかな拒絶の言葉。
それは、私なんて必要ないという意味だった。
「どうして、リッくんも、カイくんも………私に何も教えてくれないの?幼馴染なのに、どうして?」
ずっと一緒だと思っていた3人の関係。
でもそれは、私の思い違いだっただなんて、思いたくなかった。
「ごめん、本当に……。でも、いいから。もう………。」
「だったらせめて、辞める理由くらい教えてよ!じゃないと、納得出来ない。」
それでもリッくんは首を横に振ると、私の手を振り解いて、その場を離れていった。
もう一度追いかけようとも思ったけれど、また拒絶されると思うと怖くて、私はその場に崩れ落ちたまま、泣き続けた。
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