ツミビト

プランツ

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謎の死

美しく怪しい魅力的な短剣

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サミュエル殿下の部屋まで、あと10メートルというところでフォルネウスが足を止めこちらを振り返り、手に持っている短剣らしき物を何も言わず無表情に包まれた布からスルリと取り出し、私に見せた。

そして、やはり何も言わずに短剣を鞘からゆっくりと引き抜いた。


短剣は妖艶に紺色がかっており、刃はきらりと光り切れ味も非常に良さそうで美しかった。
おそらく葉を一枚上に載せただけで葉が切れるだろう、そのように思わせる刃をしていた。
また、観賞用にでもできる十分な魅力があり、少し妖しさや危なさもあった。


フォルネウスは引き抜いたその短剣を裏表とゆっくり動かしながら何かを確認しているようだった。
その時は、無表情さが少し崩れ短剣の美しさに魅了され鑑賞しているようにも見えた。

私は移動中に引き続き、彼が短剣を見ている間も黙っていた。なぜ取り出して見ているのかを訊いても答えてくれないだろうからだ。

私は彼が短剣を眺めている間、遠くの方で鳴っている雷のことを考え、左側の窓に目を向けた。もうすぐこちらの方へ雷雨がやってくるかもしれない。そんなことを思っていると、急に右手を引かれて握られたと同時に「う゛っ」という声が聞こえた。


気づくと私はサミュエル殿下へプレゼントするであろうはずのあの美しい短剣で彼を、フォルネウス参謀総長のお腹を刺していた。

正確には、私が刺していたというより、彼が短剣を無理矢理私に持たせ彼が彼自身に刺さるようにしていた。
なおも、彼は「う゛う゛」と声を上げながら強い力で自分を刺していた。苦痛に満ち冷や汗をかいているが、これが私の使命だと言わんばかりの強い意志で歯を食いしばりながら、目を見開きながら自分を刺していた。

彼の体からは血がどんどんと溢れ、床はどんどん血で埋もれていった。
同じく私の手も彼の血で埋もれていった。

私は訳が分からなかった、なぜ彼は自分を刺しているのかや私の手を取っているのかやこの場所でこんなことをしているのか。
しかし、これ以上短剣を刺すわけにもいかず、無理矢理短剣を引き抜き奪い取った。
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