“魔剣" リルムリート

さよなら本塁打

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第一章 首払村の魔剣! 美女の血を吸う神を斬れ!

第7話 久美子、絶頂

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 化け物が操るその触手は、器用に久美子の修道服の中を這いずりまわると、下着だけを残して、彼女の体を覆うすべての布を跡形もなく切り裂いた。そして、美しい裸婦像を作り出したのだった。


 プラジャーとパンティだけの、あられもない格好で、その白い美貌を赤らめる久美子の姿は、見る者のサディズムを全力で加速させる。それは、圧倒的なエロスだった。 


 久美子の身長は、日本人女性の平均程度である。だが、胸は、たわわに育った。88センチある。Fカップだった。そのくせ、普段はグラマーに見えることはない。着痩せするタイプだった。 


 そんな彼女は、清楚で厳格な修道服の下に、いやらしいブラジャーとパンティを着けていた。黒の花柄物である。それは、いつものことだった。仕事中は、女を捨てたかのような言動と態度も目立つが、見えないところでは着飾りたいという意識が働いていた。仕事を終えて帰宅し、風呂に入る前に、セクシーな下着を着けている自分を鏡に映して、それを見ると、年頃の女としての充足感が得られる。


 毎晩、自分の美しく、いやらしい姿に満足していた。 


(まわりの男どもは、私のこんな姿を想像して、自慰にふけっているのだ) 


 そう思うと、濡れるほどに興奮した。男に、いやらしく見られることが大好きな女になっていた。 それが、彼女の性癖だった。


 だが、今、目の前にいるのは、顔面に口しか持たない人外の“化け物"である。 いつもとは事情が異なった。


 化け物は、久美子が頭に被っているヴェールを取った。それと同時に、軽くウェーブのかかったロングヘアが、ぱさりと落ちる。 


「良い、香りだ……」 


 長い髪を手に取り、自分の顔に近づけ、言った。のっぺらぼうで鼻がないくせに、“嗅いで"いた。 


 久美子は死を覚悟した。この仕事に就いた以上、いずれはしなければならない覚悟なのかもしれない。いつでも、それは決めていた。だが、その前に“凌辱"が待っている。 


 化け物は次に、両手を触手に吊るされた彼女の腋の匂いを嗅いだ。すでに脱毛を済ませてある場所である。化け物は、わざと音をたてて、そこを嗅いでいた。時間をかけて焦らし、羞恥と恐怖を増幅させる悪趣味だった。いっそ、早く殺してほしかった。

 
「汗を……かいているな」


 化け物に、そう言われた。腋を嗅いだ感想だったのか。泊まり込みの仕事だったので、昨夜から、シャワーを浴びていなかった。その匂いが、化け物の性欲に火をつけたのかもしれない。


 久美子の胸の谷間あたりに、化け物が人差し指を当てる。その爪の先端が光った。 


 彼女は、大きく痙攣した。豊かに張った乳房が、それに伴い、ゆれた。化け物の爪が光った途端、強烈な性的快感が彼女の体を駆けめぐったのだ。それは、人外のものがもたらす、凄まじいものだった。


「さっきまでの威勢の良さは、どこにいった?」


 化け物が、意地悪く言った。


「こんな“もの"で……私を……支配できると思うな。化け物ッ……」


 久美子は、強がった。その目は、まだ、自分を失ってはいなかった。


「“感じた"のではないのか?」

「貴様などに、感じるものか」


 のっぺらぼうの口が笑った。


「そうか。ならば、これは、どうだ?」 


 化け物は、次に、久美子の腋を責めた。爪がもう一度、光る。


「ああっ……」


 あっけなく声が出てしまった。人間の忍耐力を崩壊させるほどの快感である。化け物の爪は光を放ちながら、久美子の身体を数か所、探索した。そのたびに、彼女はいやらしく喘いだ。


「いい……いや、ああっ……いいっ……」


 身体が焼けるように熱かった。こんなのは初めてである。このまま淫乱になりたかった。もし、そうなれたら、どんなに幸せだっただろう。


「や……やめて……お願い……」


 あまりの気持ちよさに、久美子の強気が、どこかへ吹き飛んだ。忌み嫌う化け物に哀願した。一流の退魔士である自分が、人外の存在に快楽を植え付けられる不名誉を恥じた。死ぬことよりも、それが怖かった。


 奥二重の彼女の目から、涙がつたう。恐怖と恥ずかしさと悔しさだけが流させたものではない。とても“良かった“のだ。


「やはり、ここか」


 化け物の爪が、再び久美子の胸の谷間に帰り、また、光る。


「ダ、ダメッ……。いやっ、ふあっ……んあっ……はぁっ……」


 燃えるような久美子の吐息が漏れ出し、そこら一帯に響く。化け物が、言った。


「わかったか?これが、“神"の力だ」 


 その快感に、吊るされた久美子の体が激しく揺れた。いやらしいブラジャーに隠れた大きな乳房が、黒いパンティからのぞく純白の太股が、そして香りたつ腋が、いやらしく汗ばむ。雌の匂いが洞窟の中に漂ってきそうだった。 


 久美子は人外の快楽にひたり、狂い、おかしくなる前に、舌を噛もうとした。だが、無慈悲な化け物の左手の三本の指が、彼女の美しい唇を割り、強引にねじこまれた。 


「うっ、ぐ……」 


 死を選択する自由すら奪われ、咳きこみそうな苦しさと、全身が痺れるような気持ちよさに涙を流しながらも、久美子は抵抗した。ばたつかせた足で、化け物を蹴った。それは逆効果だった。化け物が放つ光が、より強くなった。


「ぐっ、うぐっ、うグッ……!」 


 化け物の指を舐めるような形になり、久美子の喘ぎ声が、くぐもる。よりいっそう激しさを増した快楽に、彼女の足も止まってしまった。自分で流した涙と涎が、その美しい顔をベトベトに汚してゆく。首を激しく振り、 美しい目を剥いていた。


 鹿児島で退魔士を目指す少女たちにとって、強く、美しく、凛々しい久美子は憧れの存在である。その少女たちが、彼女の、このような姿を見たら、どう思うのだろうか。 幻滅し、軽蔑するのか。それとも、やはり“女"であったと、陰で笑うのか。


 久美子はまだ、処女だった。彼女が所属する宗派が、男女の仲に厳しいというのもあったが、子供のころから退魔の道を歩んできた久美子には、そういう時間がなかったのかもしれない。いまだに男に縁がなかった。 


 もちろん、女性退魔士の中にも恋をするものはいる。その内容は、一般の人たちと何も変わらない。普通に付き合い、デートを楽しみ、恋人に求められれば、それを受け入れて、夜を共にする。相性が良ければ長続きをし、そうでなければ短い恋で終わるが、特に貞操を守る義務もない。気が向けば、そのとき、そばにいる男に抱かれても、なんの問題も生じない。 


 久美子も、それを否定はしない。好きな男ができれば、いずれは自分もそうなると思っていた。従兄の自慰行為を見て、男に幻滅もしたが、今では少しだけ理解もある。 


「この体、男を知らぬようだな。だが、性のよろこびは知っている。“ひとり"で、しているのだろう?」 


 化け物の言うとおりだった。久美子は普段、自慰を楽しんでいる。それらを見通す化け物は、本当に“神"なのかもしれない。 


 初めてしたのは高校生のときだった。女性週刊誌に掲載されていた漫画のいやらしいシーンを見て、性的な興奮をしたのがきっかけだった。地味な感じの、さえないヒロインが、オフィスで若い社長に抱かれていた。 


 久美子も、あのときの従兄と、同じことをするようになったのだ。だから、彼のことは許した。男も女も、みんながすることなのだ。従兄は、私の下着を被っていただけではないか。違いは、それだけである。


 化け物の指が、半透明化した。実体を失ったそれが、久美子の胸の谷間から、体の中に入っていく。


「うッ!……ううっ!うぐっ!うぐっ!ううっ!ううっ!ううっ!」 


 神がもたらす“絶頂"が訪れた。何度も何度も、絶え間なく。それは、自分の指では実現できない最高のものだった。化け物の指が口の中に入っていなければ、久美子は、淫乱なよろこびの声をあげていただろう。 


(ああっ……して。もっと、して頂戴……)


 久美子は、どこか遠いところに堕ちた。


「よいであろう?」


 化け物が訊いた。


(いいわ、とっても……)


 それは、久美子の心の声だ。口調が、“女"になっていた。


「この感触、好きであろう」


(好き……好きよ。手を休めては、いや……)


「ひとりでするのと、どっちがよいのだ?」


 その質問は、今の彼女には酷なものだった。


(……おなじよ。変わらないわ)


 久美子の体内に入り込んだ化け物の指が、胸の谷間から下のほうへ動いた。


(あっ……ああ…あなたよ。あなたのほうよ……!)


 もう、人間の男なんて愛せないと思った。“化け物"のほうが“上手い"。セックスをしたことがなくても、彼女は、そう確信した。


 異常な量の愛液が、久美子の性器から分泌されていた。黒いパンティが、びっしょりと濡れている。その布が溶けるのではないかと思えるほどに、熱いしみが広がってゆく。


「“妻"になれ」


 化け物は、言った。


(妻?)


「この快楽を、毎日くれてやろう。その処女、我に捧げよ……」


(毎日?それは、本当?)


「そうだ。おまえは、“神"の妻になるのだ」


 だが、絶頂を何度むかえても、久美子は、それを拒絶した。


(断る!例え、この体を犯されたとしても、私は貴様などに、心は許さぬ……)










 数分後。久美子は、あまりの絶頂に気を失った。化け物は、彼女の口から指を抜いた。ねばつく唾液が、糸を引く。


「この女……やはり、殺すには惜しい。利用させてもらうとしよう」


 化け物は、指についた久美子の唾液の匂いを嗅いだ。久美子の美しい顔は、自分の涙と涎にまみれていたが、恍惚の表情を浮かべていた。






 
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