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04,生徒会室
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昼休みが終わって、五六時間目も終わって、放課後。ほとんどの人が部活に入っているが、私は帰宅部。でも生徒会に入っている。こんなのでも一応生徒会長である。確か今日は会議があったはず。私は生徒会室まで足を進めた。
ドアノブに手をかけ、部屋に入る。
「あ、茜李ちゃん!やっと来たー」
中にはまだ私以外、彼しか来ていなかった。
「やっとって・・・そんなに遅くないでしょ」
「僕が遅いって思ったらもう遅いんですー」
「そういうの屁理屈っていうんだよ、那音君」
那音君は副生徒会長だ。私が生徒会に入ったのは自分の意思じゃなくて、那音君が立候補してたから。
「他の人は?」
「風紀委員会の人と書記の人からは大会ひかえてるから来れないって連絡もらった。だけど他は分からないなぁ」
「そっか」
えぇ、書記の子来ないのか。書記担当である1つ年下の白木朝陽ちゃん。いつもほのぼのとした雰囲気でコロコロと笑う、とっても可愛い女の子。生徒会の中の癒し的存在なのに・・・。
私は少しガックリとしたが、そんな事よりも今のこの状態に危機を感じていた。
那音君と二人っきり。
しかもそこまで広くもない生徒会室。心臓が破裂しそうだ。
「今日の会議何話すの?」
そんな私の気持ちも知らず、那音君は呑気にそんな事を聞いてくる。今まで会議の時、私が来る時には朝陽ちゃんを始め、他の人も既にいたから、二人きりになる事なんてなかった。
「・・・校則について。最近校則違反、特に女子が多いから」
「あぁ確かにそうだね。髪染めてたりとか。派手な人はお化粧もしてるよね」
「なんであんな事するんだろうね。不思議」
「女の子なのになんで僕と同じような感想なの」
那音君はホワイトボードに「校則について」と書きながら笑った。
「だってこんな若い頃から化粧しても肌に悪いし、髪だって痛むだけじゃん。それに、自然体が1番だよ」
「茜李ちゃんらしいね。・・・あ!そろそろ生徒会選挙だからそれについても話さないとね」
ぽんっと手を叩いて那音君は「生徒会選挙」と書き加えた。
「もうそんな季節かぁ・・・」
「後2ヶ月くらいだよ」
「文化祭の時だったよね?確か」
「うん。生徒会長誰になるかな。楽しみ」
「朝陽ちゃんになってほしいな~」
今は9月。今月は体育祭、11月には文化祭があって、その日に生徒会選挙を行うのだ。そしてそれか数カ月もしたら卒業・・・いや、受験か。夏休み、何個か大学見学しに行ったけど、ピンとくるような学校無かったなぁ。好きな事とかがあったら別なんだろうけど。
「・・・皆来ないね」
あれから10分。誰一人生徒会室のドアを開けて入ってくる人はいない。
「実は今日無いとか?」
「それはないんじゃない?私そんな連絡もらってないよ」
「だよねぇ」
那音君はそう相槌を打ちながら、スクールバッグから原稿用紙とペンを取り出し、サラサラと白い紙を黒で埋めていく。
「なんで原稿用紙?」
「ん?秘密ー!」
那音君は唇の前で人差し指を立てた。その仕草はとてもかっこいい。心臓が大きく跳ねた気がした。
「・・・反則だよ馬鹿」
「なんか言った?」
「な、なんでもないし!」
思わず漏れた言葉。那音君には聞こえてなかったみたいで、安心する。
それからまた数分。
「おーい日宮、樋いるかー?」
歯切れのいいノック音の後、担任の声が聞こえた。
「はい、います」
「入るぞー」
ドアを開け、入ってきた担任。
「今日会議ないぞ」
ズバッと衝撃的な事を言って、担任は生徒会室を出ようとした。
「え、ちょっ、なんで僕達に連絡してくれなかったんですか!?」
「いやぁ忘れてただけ」
「だけって・・・」
那音君が呆れ気味に肩を落とした。
「んじゃ、気をつけて帰れよ~」
担任は今度こそ生徒会室を出ていった。
「・・・僕達も帰ろうか」
「そうだね」
ホワイトボードの文字を綺麗に消して、先に出ていった那音君の後を追いかけた。
気づけば空は紅く染まっていた。
ドアノブに手をかけ、部屋に入る。
「あ、茜李ちゃん!やっと来たー」
中にはまだ私以外、彼しか来ていなかった。
「やっとって・・・そんなに遅くないでしょ」
「僕が遅いって思ったらもう遅いんですー」
「そういうの屁理屈っていうんだよ、那音君」
那音君は副生徒会長だ。私が生徒会に入ったのは自分の意思じゃなくて、那音君が立候補してたから。
「他の人は?」
「風紀委員会の人と書記の人からは大会ひかえてるから来れないって連絡もらった。だけど他は分からないなぁ」
「そっか」
えぇ、書記の子来ないのか。書記担当である1つ年下の白木朝陽ちゃん。いつもほのぼのとした雰囲気でコロコロと笑う、とっても可愛い女の子。生徒会の中の癒し的存在なのに・・・。
私は少しガックリとしたが、そんな事よりも今のこの状態に危機を感じていた。
那音君と二人っきり。
しかもそこまで広くもない生徒会室。心臓が破裂しそうだ。
「今日の会議何話すの?」
そんな私の気持ちも知らず、那音君は呑気にそんな事を聞いてくる。今まで会議の時、私が来る時には朝陽ちゃんを始め、他の人も既にいたから、二人きりになる事なんてなかった。
「・・・校則について。最近校則違反、特に女子が多いから」
「あぁ確かにそうだね。髪染めてたりとか。派手な人はお化粧もしてるよね」
「なんであんな事するんだろうね。不思議」
「女の子なのになんで僕と同じような感想なの」
那音君はホワイトボードに「校則について」と書きながら笑った。
「だってこんな若い頃から化粧しても肌に悪いし、髪だって痛むだけじゃん。それに、自然体が1番だよ」
「茜李ちゃんらしいね。・・・あ!そろそろ生徒会選挙だからそれについても話さないとね」
ぽんっと手を叩いて那音君は「生徒会選挙」と書き加えた。
「もうそんな季節かぁ・・・」
「後2ヶ月くらいだよ」
「文化祭の時だったよね?確か」
「うん。生徒会長誰になるかな。楽しみ」
「朝陽ちゃんになってほしいな~」
今は9月。今月は体育祭、11月には文化祭があって、その日に生徒会選挙を行うのだ。そしてそれか数カ月もしたら卒業・・・いや、受験か。夏休み、何個か大学見学しに行ったけど、ピンとくるような学校無かったなぁ。好きな事とかがあったら別なんだろうけど。
「・・・皆来ないね」
あれから10分。誰一人生徒会室のドアを開けて入ってくる人はいない。
「実は今日無いとか?」
「それはないんじゃない?私そんな連絡もらってないよ」
「だよねぇ」
那音君はそう相槌を打ちながら、スクールバッグから原稿用紙とペンを取り出し、サラサラと白い紙を黒で埋めていく。
「なんで原稿用紙?」
「ん?秘密ー!」
那音君は唇の前で人差し指を立てた。その仕草はとてもかっこいい。心臓が大きく跳ねた気がした。
「・・・反則だよ馬鹿」
「なんか言った?」
「な、なんでもないし!」
思わず漏れた言葉。那音君には聞こえてなかったみたいで、安心する。
それからまた数分。
「おーい日宮、樋いるかー?」
歯切れのいいノック音の後、担任の声が聞こえた。
「はい、います」
「入るぞー」
ドアを開け、入ってきた担任。
「今日会議ないぞ」
ズバッと衝撃的な事を言って、担任は生徒会室を出ようとした。
「え、ちょっ、なんで僕達に連絡してくれなかったんですか!?」
「いやぁ忘れてただけ」
「だけって・・・」
那音君が呆れ気味に肩を落とした。
「んじゃ、気をつけて帰れよ~」
担任は今度こそ生徒会室を出ていった。
「・・・僕達も帰ろうか」
「そうだね」
ホワイトボードの文字を綺麗に消して、先に出ていった那音君の後を追いかけた。
気づけば空は紅く染まっていた。
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