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「....あまり驚かないのですね」
「まぁ、大体予想はしてましたしね....」
そもそもあの王様がそんな感じのことを言っていたのだ。配慮の全くない言葉だったが、最悪の状況は想定できる。ただ想定ができるだけだとしても。
「ただ死ぬだけではこちらの世界に来ることは出来ません」
彼は顔の前で手を組み、少し顔を俯けた。こんな状況下だがなかなかにイケメンに似合うポーズに少しだけ気分が上がる。これ普通の人がやったらゲンドウポーズにしかならないからね。
「これまでの流れ人は全て他者によって殺害された結果として、こちらの世界に辿り着いたことが記録されています」
ハインリッヒを眺めていたはずが、脳裏にあのときの景色がちらついた。反転した大地と、無意味でしかなかった自分の伸ばした腕。そして夕日に照らされた由実の顔を振り払うように、頭を少しだけ振りかぶった。
「詳しく話して貰う必要はないのですが、死因だけ教えて欲しいのです。構いませんか?」
あれを他殺と取るか、事故と取るかは人によるだろうがどうやら神は他殺と判断したらしい。
何故死因だけを訊ねられたのか疑問に思うが、別に話しても問題はないだろう。
「おそらくですけど....転落死だと思います」
私の答えになぜか彼は少し驚いたようだ。
「転落死ですか....その割には怪我が少ないですね」
「え、死んだ時の怪我ってこっちに来ても治らないんですか?」
それでは異世界に転生したといってもすぐに死んでしまうのではないのか。
「そうですね、流れ人は大体がすぐに死体に変わってしまいそうな人がほとんどです」
「それじゃあこっちの世界に来た意味が無いんじゃないんですか?」
「実はですね、彼らはエロスによって生命を維持しているのですよ」
「エロス....あぁ、あの魔法っぽいやつですか」
エロスかぁ....もうちょっと別の名前をつけても良かったんじゃないのだろうか。呼ぶときに恥ずかしいと感じなかったのか。
「まずはエロスについての説明をしましょうか。語源としてはプラトンのエロスから来てますね。プラトンについては存じていますか?」
「えぇ、まぁ名前ぐらいなら....」
まさかの哲学からだった。結構お堅いところが由来だった。
「詳しい話は省きますが、プラトンのエロス観についてシンプルに説明するならば、自分に欠如したものを追い求める衝動として定義されています。これには男女間の恋愛なども当てはまりますが、もっと広義的意味合いでもちいられます。が、今はこれを論じる必要は無いでしょう。」
あらかじめ台本でも用意されていたかのように説明を始めるハインリッヒに素直に聞き入る。
「そしてエロスを所有する人達には程度の差はあれ、他の人達と比べて明らかな欠損があります。そしてその欠損を自らのエロスで補って常人と同じ生活を行っています。この状態をプラトンのエロス観と結びつけた人がいたためこの呼び方が定着したと言われています」
「へぇー」
なんかよくわかんないけど凄そうな概念だな~としか思えない。何せ普通に恋愛しててそんな考えにたどり着くわけがないし、そもそも自分は恋愛はゲームの中でしかやってこなかった。
「また、このエロスが出現したのも三十年戦争の終結とともにだったので、宗教観と深く結びついたプラトン哲学を関連付けたのでしょう。といっても今の時代で少年愛など説こうとしたならば重罪に問われますが」
「少年愛って何ですか?」
「有り体に言えば同性愛のことですね」
「........」
何故プラトンは同性愛について説こうとしたのかが酷く気になるが、ハインリッヒは特にそれ以上話しを深めるつもりもないらしく話題を移した。
「エロスは欠損を抱える全ての人間が発現するものではありませんが、流れ人については例外なくエロスを発現させています」
「じゃあ、自分も持っているんですか?」
「ええ、所有しています」
異世界転生っぽいやつキターー!!
ハインリッヒの言葉にこれまで低飛行を続けていたテンションが一気に盛り上る。
異世界に転生したらチートの能力を授かり異世界無双をするのはテンプレの1つだろう。特に転生する前が普通かそれ以下の生活を送っていた場合などほとんどがそうだ。
「これから貴方のエロスを調査したいのですが、構いませんか?」
「何かいかがわしいですねその言い方」
「女性がそのような言動をしないでください」
はぁ、とため息をつかれたが、ぶっちゃけそういう方向にしか聞こえなかったのだから仕方がない。文句を言うならそんな名前をつけたやつに言ってくれ。
ただイケメンにこんな風に言われるのは乙女ゲーが趣味だった私としては顔がにやけそうで表情筋を引き締めるに必死だ。この名前をつけてくれた人ありがとう。
「しかしその調査は限られた人にしか行えないのですよ」
「誰がするんですか?」
「もうすぐ来る頃だと思うのですが....遅いですね」
すでにハインリッヒと話はじめて大分時間が経っている。これからさらにその調査に時間がかかるとなると解放されるのはかなり後になりそうだ。
すでに色々あって疲れているので早く休みたいが、自分がどんな魔法をもっているのかも早く知りたい。どちらにせよその調査してくれる人がこない限りどちらも叶えられないのだが。
「まぁ、大体予想はしてましたしね....」
そもそもあの王様がそんな感じのことを言っていたのだ。配慮の全くない言葉だったが、最悪の状況は想定できる。ただ想定ができるだけだとしても。
「ただ死ぬだけではこちらの世界に来ることは出来ません」
彼は顔の前で手を組み、少し顔を俯けた。こんな状況下だがなかなかにイケメンに似合うポーズに少しだけ気分が上がる。これ普通の人がやったらゲンドウポーズにしかならないからね。
「これまでの流れ人は全て他者によって殺害された結果として、こちらの世界に辿り着いたことが記録されています」
ハインリッヒを眺めていたはずが、脳裏にあのときの景色がちらついた。反転した大地と、無意味でしかなかった自分の伸ばした腕。そして夕日に照らされた由実の顔を振り払うように、頭を少しだけ振りかぶった。
「詳しく話して貰う必要はないのですが、死因だけ教えて欲しいのです。構いませんか?」
あれを他殺と取るか、事故と取るかは人によるだろうがどうやら神は他殺と判断したらしい。
何故死因だけを訊ねられたのか疑問に思うが、別に話しても問題はないだろう。
「おそらくですけど....転落死だと思います」
私の答えになぜか彼は少し驚いたようだ。
「転落死ですか....その割には怪我が少ないですね」
「え、死んだ時の怪我ってこっちに来ても治らないんですか?」
それでは異世界に転生したといってもすぐに死んでしまうのではないのか。
「そうですね、流れ人は大体がすぐに死体に変わってしまいそうな人がほとんどです」
「それじゃあこっちの世界に来た意味が無いんじゃないんですか?」
「実はですね、彼らはエロスによって生命を維持しているのですよ」
「エロス....あぁ、あの魔法っぽいやつですか」
エロスかぁ....もうちょっと別の名前をつけても良かったんじゃないのだろうか。呼ぶときに恥ずかしいと感じなかったのか。
「まずはエロスについての説明をしましょうか。語源としてはプラトンのエロスから来てますね。プラトンについては存じていますか?」
「えぇ、まぁ名前ぐらいなら....」
まさかの哲学からだった。結構お堅いところが由来だった。
「詳しい話は省きますが、プラトンのエロス観についてシンプルに説明するならば、自分に欠如したものを追い求める衝動として定義されています。これには男女間の恋愛なども当てはまりますが、もっと広義的意味合いでもちいられます。が、今はこれを論じる必要は無いでしょう。」
あらかじめ台本でも用意されていたかのように説明を始めるハインリッヒに素直に聞き入る。
「そしてエロスを所有する人達には程度の差はあれ、他の人達と比べて明らかな欠損があります。そしてその欠損を自らのエロスで補って常人と同じ生活を行っています。この状態をプラトンのエロス観と結びつけた人がいたためこの呼び方が定着したと言われています」
「へぇー」
なんかよくわかんないけど凄そうな概念だな~としか思えない。何せ普通に恋愛しててそんな考えにたどり着くわけがないし、そもそも自分は恋愛はゲームの中でしかやってこなかった。
「また、このエロスが出現したのも三十年戦争の終結とともにだったので、宗教観と深く結びついたプラトン哲学を関連付けたのでしょう。といっても今の時代で少年愛など説こうとしたならば重罪に問われますが」
「少年愛って何ですか?」
「有り体に言えば同性愛のことですね」
「........」
何故プラトンは同性愛について説こうとしたのかが酷く気になるが、ハインリッヒは特にそれ以上話しを深めるつもりもないらしく話題を移した。
「エロスは欠損を抱える全ての人間が発現するものではありませんが、流れ人については例外なくエロスを発現させています」
「じゃあ、自分も持っているんですか?」
「ええ、所有しています」
異世界転生っぽいやつキターー!!
ハインリッヒの言葉にこれまで低飛行を続けていたテンションが一気に盛り上る。
異世界に転生したらチートの能力を授かり異世界無双をするのはテンプレの1つだろう。特に転生する前が普通かそれ以下の生活を送っていた場合などほとんどがそうだ。
「これから貴方のエロスを調査したいのですが、構いませんか?」
「何かいかがわしいですねその言い方」
「女性がそのような言動をしないでください」
はぁ、とため息をつかれたが、ぶっちゃけそういう方向にしか聞こえなかったのだから仕方がない。文句を言うならそんな名前をつけたやつに言ってくれ。
ただイケメンにこんな風に言われるのは乙女ゲーが趣味だった私としては顔がにやけそうで表情筋を引き締めるに必死だ。この名前をつけてくれた人ありがとう。
「しかしその調査は限られた人にしか行えないのですよ」
「誰がするんですか?」
「もうすぐ来る頃だと思うのですが....遅いですね」
すでにハインリッヒと話はじめて大分時間が経っている。これからさらにその調査に時間がかかるとなると解放されるのはかなり後になりそうだ。
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